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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 始まりの地で

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「どうでもいいりゅ……」
 
「……あたいもこんな生臭いのどうでもいいわ、それよりも、
チビちゃんどこ!?」
 
「きゅっぴ!チビ、いるよおー!」
 
アイシャのバッグからチビが元気に顔をだし、ファラに愛想を振りまく。
 
「きゃあーーっ!チビちゃーん!会いたかったわーっ!きゃあーっ!!」
 
ファラは夢中でチビに飛びつき、ハグをする。
 
「本当にうるせー、ミーハー女りゅ、バカドラゴンより、リトルの方が
可愛いのりゅ……」
 
「さりげなく、焼きもち妬いてない?リトル」
 
「……知らんりゅ、けど、可愛いキュートなラブリーアイドルは
このリトル様りゅ」
 
ダウドが聞くと小悪魔はくねっとポーズを取り、隣でさり気無く
会話を聞いていたジャミルは腹を抱えて爆笑しだす。
 
「失礼なバカ猿りゅねっ!こんな糞面白くない所いられんりゅ!」
 
「あ、リトル、町をお散歩するんだったら、ちゃんとリィトになるのよ!」
 
「ふんっ!!」
 
アイシャが声を掛けるが、小悪魔は機嫌を損ね、外に出て行った。
 
「それでな、ファラ、またちょっと、話したい事があるんだけどよ……」
 
「後後、皆お腹空いてるでしょ、そっちが先だよっ、シチューも
追加分作んないとね、アイシャ、ちょっと手伝ってくれる?下ごしらえ
しちゃうから!」
 
「おっけー、手伝うわ!皆、チビちゃんをお願いね」
 
アイシャは男衆にチビを預けるとファラと台所に入って行った。
 
「きゅぴ、アイシャ嬉しそう、本当にお料理作るの好きなんだねえ」
 
「お言葉に甘えさせて貰って、僕らは休憩させて貰う?」
 
「そうするか……」
 
「こら、誰があんたらだけ休んでいいって言ったんだい、
皆で協力してくんなきゃ夕飯間に合わないでしょっ!!ほらっ、
買い物!」
 
「……え、えええ~?」
 
ファラがアルベルトの目の前に買い物籠を突き出す。
 
「大体、買う物はその中のメモに書いてあるから、頼んだよ!」
 
ファラはそう言って、再び台所に引っ込んだ。
 
「誰も逆らえねんだよ、あいつには……、わりィな……」
 
「いや、……確かに何も手伝わないのは悪いね、僕、
行ってくるよ」
 
「きゅぴ、チビも行くー!」
 
アルベルトはチビを連れてお使いに出て行った。
 
「……じゃあ、オイラ達は部屋の掃除でもしようか、
ね?ジャミル」
 
「ああ……」
 
残されたコンビ二人は、ほうきとちりとりを持って部屋の中を
のそのそ動き回る……。
 
 
そして、リィトになって小悪魔も町をふらふらと徘徊する。
 
「全く、冗談じゃない……、何故この僕がコケにされなければ
ならないんだい、僕は魔界の将来を担う王子だぞ……」
 
リィトがブツブツ言う横を、町民達はまるで誰も目に付いて
いないかのように通り過ぎて行った。
 
「大体……、そもそも、なぜあんなバカ奴らと行動するように
なってしまったのか……、さっぱり分からない……、人間とモンスターは
本来相容れない物なのだから……、だけど……、あいつは……」
 
リィトは呟きながら、青空を見上げた。初めて唯一心を許した
たった一人の人間の友……、彼の魂は今、本当に何処にいるのか……、
約束通り又新たな命に生まれ変わり、地上にいるのか……。
 
 
「……えーと、鶏肉も野菜も買った、後、足りない物は……」
 
渡された買い物メモを見ながら町を歩くアルベルト。
 
「きゅぴ、お魚のソーセージ!」
 
チビが少しだけバッグから顔を出し、アルベルトの顔を見上げた。
 
「……それは、チビが食べたいんだろう、駄目だよ、これは
ファラから預かった大事な買い物代だからね、余ったら返さないと……」
 
「きゅぴ~……」
 
「だから、最後に僕の分のお金で買ってあげるから……、ちゃんと
買い物を済まそうね」
 
「きゅっぴ!アル、大好きっ!」
 
「ふふ、チビってば……、あれ?……リィトかな……」
 
アルベルトの目に、町をまだふらふら歩いているリィトの姿が目に付く。
 
「リィトー!」
 
「金髪……、何か用……?」
 
「うん、そろそろジャミルの家に戻っておいでよ、夕ご飯になるからさ、
君もお腹空いただろ?」
 
「……あのさ」
 
「ん?」
 
「やっぱりいいや、……もう少ししたら……、戻る……」
 
「そう、じゃあ、遅れない様にね!」
 
リィトに手を振り、アルベルトが去っていく。
 
「やっぱり、分らないよ、確かに最初、僕はあのバカドラゴンが
目的であいつらと対立してたけど……、その後、どうして何事も
無かったかの様に僕と平気で図々しく接するんだろう、……全く、
考えれば考える程、頭がおかしくなる、イライラする……、でも……、
何だか悪くない様な、どうしてなんだろう……、本当にあいつらと
いると頭が変になりそうだ……」
 
リィトは更に考えてみると……、何故か脳裏にアイシャの笑顔が浮かんだ。
 
〔私達、もうお友達だもの!ね?〕
 
「……特にあの団子だよ、凶悪なのにお節介で……、でも見てると
何だか物凄く不思議な気持ちになる……、それで何故かいつも側に居て
イチャイチャとひっついているバカ猿が異様にむかつくんだ、殴りたくなる……、
何なんだよ……、あ~っ、もう~!!」
 
……小悪魔もモンスターだが、一応年頃なのである。本人は自分の気持ちに
芽生え掛けている、その気持ちが何なのか……、まだ理解
出来ないのであった……。
 
「……いーらーいーらーすーるーりゅー!!」
 
「ママ、あのお兄ちゃん変だよ、吠えてるよ……、りゅーだって!
りゅー!」
 
「こらっ、真似しないの、構うんじゃないのよ、行きましょう……」
 
通りがかりの親子連れが笑いながらリィトを眺めて行った……。  
して、夕方、シチューも出来上り、皆はテーブルに着いて小悪魔を
待ちながら色々とファラに話を聞いて貰っていた。
 
「……お腹すいたよお~、我慢出来ない……」
 
「ダウ、駄目だよっ、リィトが来るまで待つのっ!」
 
「あははっ、ダウドよりもチビちゃんの方が大人じゃないのさ!
……それにしても又、大変な事になってんのねえ、けどさ、あたいは
全然何も心配してないからね!」
 
「……ファラ?」
 
「あんたら、大魔王ゾーマだって倒したんだから……、何が来たって
絶対心配ないって、……あたいは信じてるよ……」
 
「ファラ、ありがとうな……」
 
ジャミルがそう言うと、ファラは小さく笑い、そして……。
 
「あんたなら殺しても死なないもんね!」
 
「だからなあ、……俺はサイボーグじゃねえって……、たく、ブツブツ……」
 
「りゅ~……」
 
と、言う処にリィトから元の姿に戻った小悪魔が帰ってくる。
 
「帰って来たね、皆、あんたが来るまで待ってたんだから……、
ほら、早く席に着きなよ!シチューあっためるから!」
 
「フン、世話になりゅ……」
 
シチューを温めに再びファラは席を立つ。小悪魔はそれだけ言うと、
皆のいるテーブルの方に向かった。
 
「どうしたのかな……、リトル、何か昼間と違う様な……」
 
「リトル、早く早く、オイラもうお腹ぺこぺこだよお!」