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zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 チビ、いなくなる

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子供たちはファラに手を振って、元気に家に戻って行く。
 
「ジャミル、チビちゃんの具合はどう?」
 
「……ああ、寝たっきりだよ、返事はするけどさ……、飯もあんまり
食いたがらない……、リトルのバカも急にいなくなっちまったし……、
やっぱ……、淋しいのを相当堪えて無理してたんだろうな……、
チビの奴……」
 
「そうだね……、アイシャも今日帰るんだもんね、ねえ、アイシャ……、
出発、もう一日、遅らせられない……?」
 
「……ファラ……、私もそうしたいけど……、このまま出発を
先に延ばしても……、チビちゃんを余計に悲しませるだけだと思うの……、
私も余計お別れが辛くなっちゃうし……」
 
「そっか、そうだよね……」
 
「うん……」
 
 
そしてアイシャは……。辛くなるからとチビに顔を見せず、
静かに故郷へと戻って行った……。
 
 
「チービ!」
 
「きゅぴ……?」
 
ジャミルはチビの寝ている部屋に夕食を持って入って行く。
昨日まで、アイシャとチビはこの部屋で一緒に寝ていたのである。
……だが、今はアイシャも故郷へ戻り、チビは一人、ベッドの上で
丸くなって眠っていた。……淋しいのをひた隠しにして。
 
「夕飯だぞー!今日はオムライスに、ハンバーグ付きだぞー!
ファラがサービスしてくれたかんな、いっぱい食えよー!」
 
「ジャミル、ありがとうー!うわあ、美味しそうだねえー!!」
 
チビは喜んでジャミルが運んできた夕ご飯に被りついた。
 
「おいおい、……落ち着いて食えよ、鼻の処にケチャップついて
……鼻血みたいになってんぞ……」
 
「ぴい?」
 
ジャミルは笑いを堪え、いそいそと、チビの鼻と口周りの
ケチャップを拭いてやった。
 
「おいしいねえー!」
 
「……朝よりは少し元気になったみたいだな……、良かったよ……」
 
「うん、……心配掛けてごめんなさい、アイシャはもう帰ったんだ?」
 
「ああ、大分急いでたみたいだからな……、でも、凄く心配してたぞ、
チビの事……」
 
「きゅぴ……、うん……」
 
チビは食べる手を止め、下を向いた。
 
「あのな、チビ……」
 
「きゅぴ?」
 
「……俺は暇人だから……、何処も行かねえし、ずっとチビの傍に
いるからさ……、ダウドの野郎もいつもフラフラしてるし……、まあ、
俺らじゃ役不足かもしんねーけど……」
 
「そんな事ないよっ!……チビ、ジャミルもダウもファラも大好きだよっ!!」
 
「チビ……」
 
チビはそう言うと、ジャミルの腕にぎゅっとしがみ付いた。
 
「ありがとな、……んじゃ、明日はちゃんと近所のおチビと
遊んでやれるかい?今日もお前と遊びたくて家に押しかけて
来てたんだよ……」
 
「うんっ!大丈夫だよお!」
 
「そっか、それじゃ、明日は頼むな!」
 
「きゅっぴ、はあーい!」
 
ジャミルはチビが夕飯を完食したのとチビの笑顔を確認してから、
食器を下げ、部屋を出て行った。
 
「……大好きだから……、もうこれ以上……、皆の処に……
いられないよお……」
 
 
翌朝……、ジャミルの家に大急ぎでダウドが駆け込んでくる……。
 
「ジャミルっ、ファラっ、……チビちゃん、い、い、い!
……いなくなっちゃったんだって……!?」
 
「ダウド……、どうしよう……、近所中に聞いてみたけど……、
誰も分からないって言うんだよ……、……あたいの作ったご飯が
美味しくなかったのかなあ……」
 
「バカ!んな事関係ねえ……、それに、仮にそうだったとしても
チビは、んな事ぐらいで怒ったり、いじけたりしねえよ……」
 
「……チビちゃん……、どうしてよ……、黙っていなくなっちゃうなんて
悲しいよ、酷いじゃない……」
 
普段気の強い姉御なファラが両手で顔を覆い、わっと泣き出した……。
 
「ダウド、……行くぞ!」
 
「あ?えええ!い、行くって……、何処へ!?」
 
「決まってんだろ、チビを探しに行く……、チビが行く所っつえば、
一つしか思い浮かばない、……竜の女王の城だ……」
 
「だけど……、又誰かに連れて行かれちゃったのかも知れないじゃん、
……それに……、もしもチビちゃんが女王の城に行っちゃったんだとしても、
ラーミアはもう神殿に帰って貰ったし、船もちゃんと2体とも返したし……、
もう其処まで行ける手段がないよお!」
 
「……それでもどうにかして行くんだよ!チビをこのままに
しておけるか……!!」
 
「無茶だよお……、完全に切れてる……」
 
こう言う時のジャミルは……どうしても抑えが利かないと言う事を……、
ダウドもファラも承知していたのだが……。
 
「……ちょいと、ジャミルちゃん!!」
 
息を切らし、近所の家のおばさんが急いでジャミルの家に
押し掛けてくる。
 
「ああ?……何だよ、おばさん、俺ら今それどころじゃ……」
 
「大きな鳥に乗って、誰か訪ねて来てるよ、何だかあんた達に
会いに来たみたいだよ!」
 
「……ハア!?ど、何処の誰が…」
 
ジャミル達が慌てて家の外に出ると、……其処にいたのは……。
 
「アルっ……!!」
 
「久しぶり……、だね、……結局あれから、実家に帰ったのは
いいけど……、あなたはまだまだ修行不足……、と言う事で、
姉さんに又追い出されちゃってね、大変だったけど、又レイアムランドまで
ラーミアを借りに行って、今、世界中を回っているんだよ、それで、此処まで
来たから寄ってみたんだ……、お恥ずかしい話だけどね……」
 
皆の顔を見ながら、照れ臭そうにアルベルトが頭を掻いた……。
 
「……うう、アルーーっ!!……ぎゃうううーーっ!!がうおーーっ!!」
 
意味不明の唸り声を上げながら……、ダウドがアルベルトに飛びつく。
 
「ちょっと、ダウド!?どうしたの、な、何かあったの……!?」
 
 
ジャミルはアルベルトを家に入れ、チビが急にいなくなって
しまった事を話す……。
 
「そうだったのか、チビが……、僕のいない間に……、また大変な事に
なってたんだね……」
 
「アイシャも帰っちまったし……、俺らどうすりゃいいのか
途方に暮れてた処さ……」
 
「……えうっ、ううっ、ううう~」
 
「ダウドってば……、もう泣くのよしな、ほら……」
 
ファラがダウドの顔をハンカチで拭いてやる……。
 
「……チビが消えちまった本当の理由は今はまだ分かんねーけど……、
リトルやアイシャがいなくなっちまった淋しさだけじゃねえ様な
気がするんだ、……又何かがチビを狙って動き出した様な……、
そんな気がしてんだ……」
 
……ジャミルがそう言って、ソファーから立ち上がると……。
 
 
         ……いやあああああーっ!!誰か助けてえーーっ!!
 
 
「な、何だっ!?」
 
「何よ、今の音!!」
 
「何か物凄い落としたよお!何かが屋根を突き破って
墜落した様な……」
 
「台所の方だよっ!!行ってみよう!」
 
ジャミル達が慌てて早速台所に向かうと……。またまた、
其処にいた人物とは……。
 
「いたた……、もう~、何でこうなるのよ~……」
 
「……アイシャ……!お、お前……、何で……?」