zokuダチ。セッション1 新生活暴走編
皆のお手紙とお荷物届けるのー、はんこ下さーい!」
「分ったよ……、たく、で、何だ?」
「お隣のダウからお届け物でーす!自宅のあまりのお菓子みたいだよおー!
糖尿病になるから、ジャミルに押しつけるって!」
「……あのなあ、ったく、隣なんだから……、自分で届けに来いっつんだよ……、
でも、美味そうな匂いすんなあ…」
「きゅっぴ、超ジャンボどら焼き、気持ち悪くなる程、あんこ2倍だって!」
「ふーん?どれど……」
箱を開けて中身を確認したジャミルは目が点になる……。
「……何で半分食い掛けなんだ?……おい……、しかも歯形がしっかり
付いてんだけど……」
「じゃあ、チビ帰るー!お仕事すんだ!げっぴゅ!」
「お仕事すんだ!……じゃねえだろ!お前半分食っただろ!……こら待て
チビーーっ!!」
「きゅぴぴぴー!」
……午後。
「……あーつまんねー、アイシャ、まだ来ないのかなあー……」
住人もまだ数は増えず、施設も少ないのでする事も無い為、
ジャミルは只管部屋でゴロゴロ転がっていた。
「ジャミルー、いるー?オイラだよー!勝手に入るよ!」
部屋にもノックもせず、インターホンも鳴らさず、ダウドが部屋に入ってくる。
これは二人が親しいから出来る行動である。
「……何だよ、ダウド、何か用か?」
「暇ならオイラと、食べ物屋さんに行ってみようよおー!」
「そうだな、動かないのもアレだし……、行くか……」
二人は買い出しに早速、食べ物屋へ……。中には黒子がいて店員をしていた。
「……いらっしゃいませ、本日のメニューです」
黒子から本日のお品書きを渡され、二人して覗き込む。
「えーと、今日は……、何があるんだ?」
メニュー
※オレンジジュース
※お茶
※牛乳
※ガム
「おい……、殆ど飲み物ばっかじゃねえか……」
「毎朝、ランダムで決まるので仕方ないのです、文句言わないで下さい」
やかましいジャミルに黒子は逆切れする。
「仕方ないよお、これを全種類買って……、胃袋をいっぱいにしよう……、
やり込みというか、色々収集コンプの為にも買わなきゃ……」
……ジャミルは諦めてマンションに帰る……。
その日の夕飯は全て飲み物だったので、ジャミルの腹と胃袋は
水分で満たされタッポンタッポンになった……。
「う、動くと……、口から噴水の如く……、水が出そうだ……、げえ……」
ピンポーン……
「はいよー、うぷ……、今あけるよー!」
インターホンの音がし、ドアを開けると……、クローディアが立っていた。
「あの、今晩は……、この間はちゃんとしたご挨拶も出来なかったので…、
今日はきちんとご挨拶代りをと思って、……来たの……」
「はあ……」
「これをどうぞ……、召し上がって……、祖母オウル直伝のおはぎよ……」
クローディアは風呂敷に包んである箱をジャミルに手渡した。
「ど、どうも……、……うっ、な、何なんだい、これ……、風呂敷に
包んであってもすっげー、臭ってくるんだけど!!」
「はあ、だから……、おはぎです……」
クローディアは困った様な顔をして立ち尽くす……。
「貴様……、彼女の作った料理が食えんというのか……?」
クローディアの横から……、又もグレイが姿を現した。
「……うわあああっ!」
「グレイ、いいのよ、ジャミルはあまりおはぎが好きで
なかったのよ、……失敗してしまったかしら、……変な物を
作って来てしまってごめんなさい……」
「……貴様……」
……グレイがちらちらと、武器……、アイスソードを
ちらつかせている……。
「わああああっ!分ったよ、食べるよ、頂きますっ!!」
「フン……」
「良かった……、食べて頂けるのね…、有難う……、
では、私達はこれで……、行きましょう、グレイ」
「……」
クローディアとグレイは共に去って行く……。
そして、残されたジャミルは……、臭うおはぎを腹の中へと
押し込んだのだった……。
「げえ……」
何が何だか、何か来た。
その日は朝から雨だった。暇コンビのジャミルはダウドと部屋で
寛いでオセロをしていた。
「次は誰が来るのかな、可愛い女の子だといいね」
「んー?ああ、そうだな……」
「なーんか、どうでもいいって顔してるねー!」
ダウドはムッツリした顔で口を尖らせる。
「それにしても、此処の部屋にいるとさ……、通常の倍以上に
尻がムズムズして屁が出たくなるんだけど……、何でだろう……」
「やめてよお……、実はオイラの部屋もそうなんだけど……、
何かの呪いなのかなあ……」
「……」
ピンポーン……
「あっ、またインターホン鳴ったよお!」
「ダウド、お前出てくれや……」
「はーい!今出まーす!」
ダウドが急いで部屋のドアを開けた。
「こ、こんにちは……」
立っていたのは……、坊主頭に学ランの少年であった。
「あの、こんにちは、僕は谷口タカオといいます、今度親元を離れ、
暫くの間、このマンションにお世話になる事になりました……」
「ハア……、ちょっと待っててね……、ジャミルー!」
「あーん?」
「今度来たの、中学生だか、高校生ぐらいだけど……、すっごく
真面目そうな子だよおー……」
「……ふーん、どうでもいいや、けど、一応顔出しとくか……」
頭ぽりぽり、ジャミルものそのそ立ち上がり、部屋の入口に行った。
「あっ、こ、こんにちは……、僕は谷口タカオと言います、
それで、えーと、あの……」
「さっき聞こえたよ……、俺はジャミル、で、こっちのタレ目がダウド」
「わ、分りました!えーと、そちらの方が、俺は・ジャミルさんと
タレ目が・ダウドさんですね!!」
「……先のは苗字じゃねえよ……」
「はっ!はい……!分りました、俺はさん!」
「……」
物凄いハニカミ屋なのか、谷口タカオという名の少年は
顔を真っ赤にし、早口で喋りまくる。
「はあ、もういいや、んじゃな……、また……」
「あの、何か有りましたら……、今後とも……、では宜しく
お願いします……」
谷口は被っている古めかしい学生帽を取り、ペコリと頭を下げると
去って行った。
「……色んな奴が来るなあ……」
「本当だねえ……」
それからさらに10分ぐらい立ち、再びインターホンが鳴った。
ピンポーン!ピンポーン!!ピンポーン!!!てやんでぇーーいっ!!!
「……うるせーな!んなに何回も鳴らさなくたって分かってるよっ!」
けたたましいインターホンの音に呆れつつも、再び部屋の入口に行くと、
今度立っていたのは、おむすび頭に鼻が黒く、背の小さい少年であった。
「おれっちは今度、此処に引っ越してきた丸井だっ、大先輩である
谷口さんを尊敬し、追ってきた、で、谷口さんは何処だ?」
「もう自分の部屋に行ったと思うけど……」
「そうか、分った!谷口さああーん!」
作品名:zokuダチ。セッション1 新生活暴走編 作家名:流れ者