zokuダチ。セッション1 新生活暴走編
美味しさを広める為、このマンションにやって来たんだよー!
それっ、ドナルドマジックっ!!」
……次から次へと変な住人が現れ……、ジャミルの熱は
余計上がりそうであった。
「それじゃ、ドナルドは帰るよ、これから宜しくね!」
「……宜しくしなーいっ!……靴履いたまんまじゃねーかよっ!!」
赤い頭のアフロピエロは引っ越し祝いとお近づきの印に大量の
ハンバーガーを置いて屁をこいてスタコラ逃げて行った。
春真っサカリ
「……ぎゃーん、ひゃおー……、あっふにゃー……」
「あほあ……、あふお……、あ……にゃああ……」
春が来て、陽気もすっかり良くなり、道端では沢山の猫達が
子孫繁栄の為の大事なお仕事中。
「……うるせーぞ、この野郎!静かにしろっ!!」
ジャミルが外に飛び出し、猫達に向かって大声を張り上げると
猫達は集団で逃げて行った。
「ぎゃほおあー!」
最近、このマンションの付近でも猫達がぎゃんぎゃん春真っ盛りで
あった。特に目立つのがオスを誘っているメスのシャムネコ。
フェロモンを振りまいて、うっふ~ん、あっは~ん、状態。
「ジャミル、猫に八つ当たりしたってしょうがないでしょ」
かっぱえびせんをぼりぼり齧りながら、ダウドもマンションから出て来た。
「……だってさ、アイシャは中々来ねえし、代わりに変なのばっか
来るし……、ぶつぶつ、はあ、いつ会えんのかなあ……」
「仕方ないよお、……待つしかないんだから……、ねえ……」
と、其処に。
「……やあ、ジャミル、ダウド……」
「あ?」
「アルっ!」
「久々だねえ!……っても、前のシリーズが終わってから、
あんまり時間立ってないけどね、でも、会えて嬉しいよお!」
ダウドはアルベルトに飛びついて握手を交わした。
「んだよ、……おめーが先かよ……、ハア……」
「また姉さんに……、その……、ね……、それにしても、ジャミル、
随分機嫌悪いね……」
「うん、実はね……」
アルベルトの耳元でこそっと話をするダウド。
「そうなんだ……、僕も姉さんから散々聞かされたけどさ、
今度あなたが一人暮らしするマンションは非常に危険地帯……、
住人の出入りが激しい所です……、ってね……」
「大変だね、アルも……」
「これも僕の将来の自立の為、一環の修行だから……」
ちなみに、此処での彼の今の服装はチョッキ、上はカーディガンに
ネクタイと下半身はベルトにズボンと、ノーマルなお坊ちゃま
スタイルである。
「ねえねえ、ジャミル!折角アルが此処に引っ越して来たんだからさ、
3人でお花見行こうよ、ねえっ!」
「やだよ……、俺、花粉症だし……、それに……、アイシャが
……いな……」
「嘘つきっ!そんな話聞いてないよお!ねえ行こうよおー!
お花見いー!!」
ダウドはジャミルの肩を引っ掴んでガクガク揺さぶる。
「あら、お花見行くのね…?……私達もご一緒して……、
宜しいかしら……?」
「……」
いつもの如く、クローディアがグレイを連れて現れる。
「こんにちは……、グレイ、クローディア……、僕も等々、
被害者……、引っ張り出されたよ……、今日から僕も此処に
住むんだ、この世界でもどうぞ宜しく……」
「こんにちは、アルベルト、こちらこそ宜しくね……」
「そうか、お前もか……、まあ、精々頑張れよ……」
「は、はあ……」
「……いずれ、ガラハドの奴も来るらしいがな……」
「そうなんだ……、うん、それはそれで……、楽しみだね……」
「うわーい!これで皆でお花見行けるねーっ、ねー、ジャミルーっ!!」
ダウドが跳ねて喜ぶがジャミルは何となくムスッと不満顔……。
それでもダウドが無理矢理ジャミルを引っ張って、5人は公園へ。
桜の下でシートを敷き、クローディアが手作り弁当を広げる。
……前回彼女が持って来たおはぎとは違い、今回はとても真面なお弁当。
「沢山食べてね、あまり美味しくないかも知れないけれど……」
「ふっ、……そんな事はないだろう……、なあ……」
そう言いながら、グレイは何となくジャミルの方を見る……。
「……何で俺の方見るんだよ……」
「ジャミル、あそこのベンチにピエロさんが座ってるけど……、
あれは誰だい?マジックショーであちこち遠征してる人かな……?」
「それが……、あれも一応、マンションの住人だとよ、……たく……」
アルベルトが訪ねるとジャミルは嫌そうな顔をする。
♪テテッテテテ~
「♪もしもし?ドナルドです、……この本前に読んだな……、
♪もしもし?ドナルドです、……この本前に読んだな……、
……あら~~っ!?」
終いにはピエロが座っていたベンチが勝手にひっくり返り、ピエロは
ベンチごと後ろに転倒する。
「……何十年前のCMやってんだよ、しかもガラケーに
アンテナ付いてるし……」
「大丈夫だよ、実はね、ドナルドはね、スマホも持ってるんだよ、
ほらっ!」
ジャミルの声が聴こえ、癪に障ったらしくピエロが持っていたらしき
スマホを取り出す。
「さいですか、へえへえ……」
「色んな人がいるんだね、この世界でも……」
「恐らく、常識人は俺達だけだろう、……アルベルト、お前も
流されない様にしろ……」
……そう言いながら、グレイがクローディアの肩に触れた。
「はあ……」
「……何だよ!それじゃ俺がまるで非常識人みてえな言い方だなっ!!」
「……ふっ……」
グレイに食って掛かるジャミルをグレイが笑いのける。
「……グレイったら、駄目よ、もう!折角のお花見なんだから……、
皆で楽しくやりましょう、ね、ジャミルも……、ね?」
「そうだよお!」
クローディアが間に入り、一時収まったかの様に見えたのだったが……。
「アル、それでね、それでさ、あのねあのね!」
「うん、……ダウドも大変だったんだね……」
「ねえ、グレイ、白あえ……、食べるかしら……?」
「貰おうか……」
「……なーんか、すっげー、面白くねーんだけどっ!
……むしゃくしゃする……、あああーっ!!!」
ジャミルはイライラし、側に捨ててあった空き缶を蹴り飛ばす。
「ほにゃ~あ……」
「……あふう~……、にゃああ……」
「……だからっ!わざわざ人の目の前でするなっつってんだよ!
がうーーっ!!」
「ドナルドの靴のサイズ知ってる?何センチかな?ほら、らんらんるー!
君も一緒にやってみようよ!」
「うるせーぞ!糞ピエロ!!どいつもこいつも……!がううーーっ!!」
……前の話ではそれなりにアイシャとイチャイチャ出来たのだが、
今回はちと厳しいのです……。
「何だ、……あいつもサカリか……、相手のいない遠吠えだな……」
「グ、グレイ……、又、聴こえたらジャミルが怒るよ……」
アルベルトが慌てて注意するがグレイはふんと言った表情で知らん顔。
「……アイシャあ~、会いたい……、……あううう……、ああ~……、
作品名:zokuダチ。セッション1 新生活暴走編 作家名:流れ者