zokuダチ。セッション2 楽しき?マンション生活編
「別にあたしはいいよ……」
「ほらほら、早く来るっ!」
バーバラはシフを無理矢理、ショッピングツアーへと
駆り出すのであった。
「……う~、お腹が……、ねえ、さん……」
「きゃー、……痛い痛ーい!……お腹いたーいっ!!……もういや~っ!!」
「……いたいよお……、あうう~……」
「……死ぬ……、腹が破ける……」
と、ジャミルの部屋へ、はーちゃんが駈け込んで来た……。
「はーっ、ジャミルー!冷凍みかんまだですかー!?私、昨日から
ずっと待ってたんだよー!プンプン!!」
「あの、……僕もたい焼きを届けて貰えると……、まだ……、
でしょうか……?」
顔を赤くしておずおずと……、谷口までやって来た……。
ジャミルは今……、切実に胃腸薬が欲しいという悩み事を
誰か解決してくれと思うのであった……。
宿命の子、来る
その日。
コンコン……。
「はいよ、ドアは開いてる……、やべ、変な雑誌出しっぱなしだった!」
暫らくぶりに、マンションに新しい住人が訪れ、ジャミルは部屋に
錯乱しているエロ雑誌を慌てて押し入れに投げ込んだ。
「どうぞ、入っていいよ!」
「あの、こんにちは……」
来たのは、パーマウェーブネントヘアで後頭部にリボンを付けた
女の子で、一緒に別の男の子も連れていた。
「初めまして、私はサラです、自立したくて、……この島に来ました……」
「はあ、……隣は弟さんかい……?」
「……僕に構わないで下さい……」
「駄目よ、私達は今日から暫くの間、このマンションの方達に
お世話になるのだから……、あの、それでは私達はこれで……、
また……」
「……」
サラは少年を連れ、他の部屋にも挨拶回りに行った様であった。
「……もう、昨日までの私じゃないの……、お姉ちゃんがいなくても
平気よ……、平気なんだから……」
と、呟くのがジャミルの耳に聴こえたのであった。
「家出人かな……、それにしても複雑な事情があるんだな……」
午後、ジャミルの部屋にアイシャが遊びに来ていた。
「ジャミル、今朝新しく来た子……、連れの男の子と、一緒の部屋に
住んでるみたいなの、やっぱり、御姉弟さんなのかなあ、……恋人同士には
見えないんだけど……」
「色々あるんだよ、多分……」
「なーんかジャミルらしくない言い方ーっ、面白くなーい!それでね、
あの子……、サラちゃんだっけ……?が、常に一緒じゃないと、
ぜーったい、連れの男の子部屋から外に出たがらないんだってー!
変わってるねー!」
アイシャは食べていたクッキーのカスをジャミルに飛ばしながら喋り捲る。
「おい……」
「ごちそうさまあーっ、それじゃ、私、これからバーバラ達とお洋服見に
行ってくるねーっ!!」
「あの……」
「あっ、サラ……ちゃん?」
アイシャがドアを開けると、……浮かない顔をしたサラが立っていた。
「ど、どうかしたか……?」
「お願いが……、あるんですけど……」
「で、どうしたい……?」
ジャミルはサラを部屋に招き入れ、話を聞いてみる事にした。
アイシャはとても何故かワクワクしている……。
「お前、買い物に行くんだろ……」
「いいじゃないっ、もう少しいたって!」
「……実は、私の連れの事なんですけど……」
「ハア……」
「複雑な事情がありまして……、心を閉ざしているんです……」
「自閉症か……、グレイと野球猿とは又違ったタイプのツンデレ系か……」
「聞いたんですけど……、あなたはこのマンションで一番の、ア……、
コホン……、ではなくて、暴走系のお笑い担当だと聞きました……、
お願いです……、今日、半日だけ……、あの子と一緒にいて
貰えないですか……?」
「な……、何だってえ……?」
「あの子にも……、笑う事の楽しさを知ってほしいの……、
……駄目かしら……?」
サラは切実な目でジャミルを見て訴えた……。
「け、けど、人間、そんなすぐ変わるモンじゃねえぜ……」
「……少しずつでもいいと思うの……、お願い……」
「あはっ、じゃあ今日はジャミル先生に任せて、サラちゃんも
私達と一緒にお買いものにいこっ、ねっ?」
「そうね、私がいない方がいいかも知れない……、アイシャ、
一緒に行ってもいい?」
「もちろんよっ、じゃあ、いこいこ!ジャミル、それじゃお願いねーっ!」
「お願いね、……ジャミル……」
サラは申し訳なさそうにジャミルに頭を下げると、アイシャと一緒に
外に出て行った。
「何でこうなるんだか……、とほほ~……」
ジャミルは仕方なしに、助っ人を連れて、少年がいるサラの部屋に向かった。
「で、オイラも?結局、駆り出されるの……?」
「でへへ~、お世話になります~、ワイ、近藤いいまんねん」
「現時点での、このマンションでのアホを集めて来た、さあ作戦開始!」
「ジャミル、それじゃ自分でアホだってもう認めてるんじゃん…」
「うるせーなっ、いいんだよっ!えーと……」
「……何を頼まれたか知りませんが……、僕に係らないでと
言ったでしょう……?頼むから帰って下さい……」
「うわっ!可愛くねえっ……、とにかく、要するに、お前が笑えば
いいんだそうだ、面白いだろ?笑えよ……」
「いてて、何するんでっか!乱暴やなあ!」
ジャミルは近藤の頭をむんずと鷲頭髪にすると、顔を少年の前にアップで
近づけさせた。
「……」
「何だか……、見てると余計イライラする……、虫唾が走る……、
帰ってっ!頼むからこんなガマガエルみたいなの……連れて帰ってよ!!」
少年は近藤の顔を見ずに、そのまま顔を手で押し返した。
「あてて!あてててて!!揃いも揃って……、皆酷いがなー!!」
「ジャミルっ、これじゃ余計逆効果だよお……!!」
「おかしいな……、笑うと思ったんだけどな……」
「……もう~!!」
「ははっ、何だか最近ドナルド忘れられてるねー!」
部屋に突然、ピエロが姿を現した……。
「どっから入って来た?ドアは開かなかったよな……?」
「ドナルドマジックさっ!あははっ!!」
「……コイツの場合は……、アホっつーより、変態だからな……」
「らんらん、……るーーっ!!もう一度……、らんらん……」
「う、うう……、ううう……」
突然、少年が頭を抱え、唸り出す……。
「ジャミル、大変だよ!この子、怒って何だか錯乱しそうだよ……!!」
「ええー!?んな事聞いてねえぞ!!おい、……頼むから、
落ち着いてくれよ!!」
「何か怖いよおお~!!わわわ!!」
……近藤はいねがー、近藤はよ……
外で……、恨みの籠った様な声が聴こえた……。
「な、なまはげさんやあっ!!」
突然、近藤が泡くって慌て始めた……。
「いるぞー、此処に!!」
「ぎゃー!言ったらアカンっ!!」
「近藤っ……!!てめえ……、やっと見つけたぞっ!!」
作品名:zokuダチ。セッション2 楽しき?マンション生活編 作家名:流れ者