zokuダチ。セッション7 夏はすぐ其所編
「♪はーっ!!おにぎり握るのってたのしーい!」
こっちの、はーちゃん&モフルンの天然コンビであるが……、
モフルンがおにぎりを握っても、誰も突っ込まないのであった。
ちなみに、毛だらけである……。
「ふう、お塩の加減も量も計算通りねっ、完璧っ、パーフェクトだわっ!」
自分で握った塩おにぎりの味見をし、満足感に浸るリコ。
「おいしそーっ!私にも味見させてーっ!」
「ちょっと、みらいっ!アナタもお行儀が悪い……!あ、あ、ああ……」
「えへへ、おいしーい!」
「……みらいったら、もう~……」
「あらら~、失敗……、でも、問題は中身よ、中身!……うんっ!」
そして、アイシャの方も、おにぎりをせっせと握っている様だったが、
ぐちゃぐちゃにひっ潰れ、形をしていない、そして、もう一人……。
※前作ではおにぎりぐらい握れたアイシャですが、この話では
料理の腕がより破壊急になっております。
「……お姉ちゃん、お願いだから……、ちゃんと握ってよ、それ、
ぺちゃんこじゃないの……」
「サラ、うるさいわねっ、問題は形じゃないのよ、中身よ、中身っ!
ね、アイシャ!と、其所のリボンのアンタもっ!」
「そうよそうよ、外見じゃないってのよっ!味が良ければ
全てヨシってね!」
「……美奈あ~、とほほ~、情けな……、君の場合、味も全く
保証出来ないから……」
「う、うん……、そうだねえ、あはは……」
エレンはアイシャに同意を求め、開き直る美奈子と肩を落とす
アルテミスを見てアイシャも苦笑い。
「本当にもう……、お姉ちゃんたら……」
「バーバラ、そっちのお嬢さんも、ちょいと見てやった方が
いいんじゃないかい……?」
シフに言われ、バーバラがダガーの方を見ると、……麺棒で
お米を伸していた……。
「中々、コツが要りますね……、よいしょ……」
「ちょいと、……クッキー焼くんじゃないんだよ、アンタ……」
「はあ?そうなんですか……?てっきり、型を抜いて、オーブンで
焼くのかと思いましたので……」
「なになにっ!?クッキーやくのっ!?こむぎもたべたいーーっ!!」
「はい、まゆ、あーん……」
「ユ、ユキ……、そんなに食べられないよう……」
「……たく、どいつもこいつも……」
疲れてきたらしいバーバラが頭を抱えた。
「ははっ、差し入れだよー!ハンバーガー持ってきたよ!」
「チキンも、あります……」
……何処へ行っていたのか分らない二人組、ピエロとガーネルが
パーティルームに入って来た。
「うわ、気が利くじゃないのさあ~!みんな、休憩、休憩!」
バーバラが声を掛け、皆に休憩する様に言った。
「さあ、どうぞ、チキンです、召し上がれ……」
「あっ、ドナルドのハンバーガーの方が先だよっ!!」
「……ちょ、ちょいと……」
「私のチキンの方を食べて頂く方が先なのですっ!!」
「うるせー!ドナルドのハンバーガーの方が先だって
言ってるんだよっ!!」
ファーストフード店の変態マスコット2体は、又取っ組み合いの
喧嘩を始めた。
「……どっちだっていいよ、あいつらが揉めてる間に食っちまうかね、
両方とも……」
バーバラが遠慮せず、差し入れに食いついたのを見て、他の女子達も
手を付け始めた。
「……」
「おや?あんたら、何してんだい、んなとこでさ、アルまで……」
廊下で、居残り組のお子様連中がずっと突っ立っており、
ドアの隙間から状況を覗っていた、この場には何となく似合わない、
野球小僧達の姿もあった。
「シフ、あのさ……、僕達にも何か手伝える事はないかなと、思って……、
来てみたんだけど……」
「そうかい、偉いよ、坊やも、あんた達も!……バーバラーっ!、
お子ちゃま達が助っ人に来てくれたよーっ!」
シフが呼ぶと、バーバラがすっ飛んで来た。
「じゃあ、あたしらがこれ食べてる間に、おにぎり握っといて
くれるかい?握るぐらい出来るだろ?頼むねー!」
「レディと……、お姉さま達の匂いがする、あああ……」
中に入ったジタンが、鼻をヒクヒクさせた……。
「ジタン、ちゃんと手伝ってね……」
「わ、分かってるって、ダガー!へへ……」
「……犬飼さんのおにぎり、……おにぎり……、おにぎりの匂い……、
臭い……」
「……」
「あっ、悟くーん!大福ちゃーん!いらっしゃ~い!
沢山作ったから悟君達もいっぱい食べてねーーっ!」
悟と大福に笑顔を振りまき、特製おにぎりを見せるいろはに……。
破壊ダークマターおにぎりと、いろはの笑顔を交互に見ながら、目を
回し始める相方に大福は静かに目を瞑るのだった。
「……うわあ……、うまそうやなあ~……」
美味しそうに、ハンバーガーを食べながら、賑やかに休憩する
女子達の姿を見て、近藤が涎を垂らしそうになる……。
「近藤、……丸井さんが睨んでいるぞ……」
イガラシが慌ててゲンコで近藤の背中を叩くと、近藤は我に
帰った様であった。
「わ、分かってますがな……」
……そして、きゃあきゃあ華やか?な、女子のクッキングタイムとは裏腹に、
屋根の上では……。
台風に備えよう・3
男性陣 その頃。
「うわー、結構、穴が大きいなあ、防げるのか、これ……、
本当に凄い穴だなあ……」
ユリアンが再び、下へと繋がる大きな穴を覗き込んだ。
(……だから、オメーとエレンが最初に穴開けたんだろうが、それにしても……)
「あくまでも、仮止めだ、今日は雨風が凌げりゃいいさ、けど、
これから夏が来るし、台風の数も半端じゃねえからな、ちゃんと
修理屋に直して貰わねーとな……」
「……」
ジャミルはどうしても、カッパスーツのホークに目が行くらしい。
後は皆、レインコート着用なのだが……。
「おい、ジャミ公、ぼーっとしてねえで、釘取ってくれや!」
(うわ、頼むからこっちみんな、吹く……、ププ……)
「はいよ、分かってるよーっ!」
……こつん!
「……れ?」
ジャミルの頭の上に硬くて冷たい物が降って来た。
「うひょうーっ!ヒョウだあーっ!!」
「……今一瞬……、寒気がしたな……、まあ、すぐに止むだろう……」
板を押えていたグレイは血管を浮かせ……、屋根の上を慌ててわきゃわきゃ
すっ飛び回るジャミルを見る。グレイの言う通り、雹は数分で止んだ。
「ジャミルさん、静かにしてないと、滑って穴に落ちますよ……、ぎゃ……」
「お、ゲラ=ハ、お前、珍しく喋ったな!」
「……貴様もそれぐらい、大人しくしていて貰いたい物だな……、
アホめ、見習え」
「……なんだとう!?こんの、エロ爺!!」
「だから、喧嘩してる場合じゃないって……」
どうしてもウマが合わず、ぶつかりまくるジャミルとグレイにユリアンは
呆れ気味……。アルベルトともしょっちゅう衝突する事が多いジャミルだが、
グレイの場合は自ら構って面白がり、引き金を引く事が殆どの為、騒動の数は
倍以上かと思われる……。
「……ホーク、板の長さはちゃんと図って調節して切った方がいい、
適当では駄目だぞ……」
「おお、流石、トーマス坊ちゃんだな!おい、ジャミ公!巻尺だ、巻尺!」
作品名:zokuダチ。セッション7 夏はすぐ其所編 作家名:流れ者