zokuダチ。セッション7 夏はすぐ其所編
「……あてっ!」
ギャングは一撃で、後ろにひっくり返って倒れて死んだ。
……が、すぐに復活し、逃げて行った。
「何だよ、身体の割に根性ねえなあ!」
彼方此方に見えている扉に入りまくり、ハンマー、キーホルダーなど
次々とアイテムを回収して行く。
ピーッ……
と、又誰かから、トランシーバーで通信が入ったらしい。
『あの、……ジャミル?』
「アイシャか!?今、何処にいるんだ?」
『……私、自分の部屋で、エレンに貰ったサンドバック
叩いてたら……、急に違う処に来ちゃって……、いきなり
人魚の姿になってて、う~……、それで、……ふ、ふぇぇぇ……、
何で古典的人魚の胸にお星さまなのよっ!!』
「分った、分ったからっ!すぐ助けに行くからっ!待ってろや!
てか、……胸、ねえのになあ……」
『……早く迎えに来てよっ!もう何がなんだか分からないのよっ!
あと最後、余計な事言ったでしょ!……ジャミルのバカっ!』
ピ~……
通信はそれだけ只管、最後は罵声を伝えると、途切れた。
「……あいつの事前の行動が怖しいなあ~……、何が何だか
分からんのは俺も同じだっつーの……」
次の扉に入ると、行き止まりであったが。
『……きこえますか?壁をハンマーでドンするのです、
……きこえますか……?』
いきなり謎の声が頭に響いたので、ハンマーで扉を叩いてみると、
隠し通路が出て来た。
「あ!ジャミル、助かったああ~、早く此処から出してよお!」
部屋の奥に、牢屋に閉じ込められているダウドがいた。
「間抜けだな、お前、立場的にそういう役割になるか……」
「いいから早くしてよお!」
持っていたキーホルダーで鍵を開ける。
「はあ、助かったあああ!あのね、オイラの他にもまだ後5人、
捕まってるみたいなんだ、全員助け出さないと、最後まで
行けないみたい、んじゃ!」
「おい、ちょっと待てよ!何処行くんだよ!?」
「ん?出番終わったみたいだから、オイラはこれで元の世界に
帰れるの、じゃっ!」
ダウドはジャミルを置いて、さっさと姿を消した。
「薄情なヘタレめえ~……、今に見てろ……」
マップがやたらと広い、表ルート、裏ルートとと、
ジャミルは無造作に言ったり来たりで疲れて来ていた。
途中で手に入れたパチンコで、倒しても倒しても何回も
出てくる歯掛けギャングを撃ちながら、あっち行ったり、
こっち行ったり……。
「……マジで疲れたな、ちょっとこの部屋で一休み……」
「よくぞ来た!ここはワープの部屋よ!!……でも、此処を通るには
イケメンの男を連れて来ないと通さないわ!!」
「おい、オメー、何してんだよ、んなとこで……」
ワープの番人は、ミーハー女、美奈子であった。
「んな事言われてもなあ、……てか、俺がいるじゃん」
「あーっはっはっ!御冗談をーっ!アンタなんか問題外だってのよっ!」
ジャミルは無言でさっと、ハンマーを取り出す。
「キャーッ!それで乙女を殴る気っ!?へんたーい!
サドーっ!いやーん!」
ばしっ!
「……ハア、ご、ごめんよ……、ウチの美奈子が……、
で、でも、此処を通るには、このアホにいい男を渡さないと
通れない様になっているんだ、ゲームのシステム上……」
「アルテミスーっ!アンタよくも叩いたわねーっ!」
ジャミルの代わりにアルテミスが美奈子を後ろからハリセンで一発叩いた。
こうなると本当にイケメンを連れてくるしかないので、仕方なしに
一旦その場を離れる。そして、何故かウロチョロしていたグレイを
後ろからハンマーで殴って拉致、捕獲。先程の部屋に入りそのまま
美奈子に手土産として渡す。
「……貴様……、後で覚えていろっ!……う、うううう……」
「グレイさあ~ん、ん~、美奈子がちゅっちゅしてあげま~す!ちゅ!」
美奈子に迫られ、……全身蕁麻疹状態のグレイ、泡吹いてコロっと気絶……。
「わりィな、……お前の犠牲は忘れねえ……、んじゃ、そゆ事で!」
「……美奈も外道だけど、ジャミル、君も外道だ……、とほほ~……」
ジャミルは肩を落としているアルテミスを尻目に、さっさと奥の扉から
別ルートへと逃げた。さらに先のルートへと進み、別の扉を開きまくって
手当たり次第中に入ると、今度は座布団の上に正座し、特に意味もなく
冥想している猿……、イガラシがいた。
「何ですか?用がないなら早く出て行きなさいよ!」
「……」
ジャミルは無言で本日3度目のハンマーを取り出す……。
「……ロウソクあげますからっ!早く出てって下さいよっ!!」
「ちぇっ!……クソ猿め……」
外に出て、どうにか休憩出来そうな別の扉を探し回る……、と、
又、トランシーバーで誰かから通信が入った。
『……ちょっと、ジャミルっ!僕だけどっ!』
「……やっぱり……、アル、お前かあ~、で、今何処だ?」
『それが分れば苦労しないよ!いきなり牢屋に閉じ込められてさ、
いい迷惑だよ……、一つだけ、状況が分るとすれば、凄く寒い!
それだけ!』
……ピ~……
「……あいつ相当ブチ切れてたな…、けど、俺が悪いんじゃねえやい!」
次の扉に入ると、真っ暗で周囲が何も見えない。
「ロウソク、付けてみるか……」
タバコ用に所持しているライターでロウソクに火を付け、周囲を照らす。
周りが明るくなり、扉が二つ見えた、試しに、正面の扉に入ってみると。
「!!!」
「オウ!ヤア、ボクハ、〇ナミマン二アラズ、……ドナルドマンダヨッ!!
キミノライフヲカイフクシテアゲルヨ!!オウ!ティ~ンティ~ン……」
……下半身、〇ン全開の……ピエロがジャミルに迫って来た……。
「いーらーねええええっ!!」
ハンマーでピエロをブン殴って、とっとと部屋を退散したのであった。
「……次の扉は……、頼むから、何も出て来ませんように…」
祈りながら、別の扉を開くと……。今度は違う場所に出る。
「……!?な、何か……、急に寒くなった様な……」
扉の先は、極寒の氷雪地帯、ゲーム上で言うと氷ルートであった。
「……ォアアアアアーーーーーーーーー!!」
「ちょ、……アンタ誰?何やってんの……?んなとこでさ……」
「……意味は無い、ただ、このゲームの役柄の立場上……、
此処は通さぬ……」
氷の崖上に立ち、ジャミルを迎え撃つ奇怪な筋肉ムキムキの人物。
超サイヤ人モードのブロリーである。
「ま、待てっ!早まるな、あ、あ、……うわーーーー!!」
「ォォォォォーーーーーーーーー!!……ォーーーーーーー!!」
気合いを入れ過ぎたブロリー。氷が解けて、足場が崩れそのまま崖下に
落下して行った。……飛んで戻って来る気配もなし。
「多分、大丈夫だよな……?」
心配しつつ、……次の扉へ行き、ハンマーで壁を叩くと金庫が出てくる。
キーホルダーで鍵を開けると、今度はメガネが出てきた。
「メガネか、何かの役に立つのかな……、俺も頭良さそうに見えるかな……」
別部屋のブーメランも一緒に回収し、更に隣の扉を潜ると。
「?」
床にどうやら海底への穴が開いており、其処を通って何処かへ
出られそうであった。
作品名:zokuダチ。セッション7 夏はすぐ其所編 作家名:流れ者