zokuダチ。セッション8 さらにトラブル続発編
はーやーく、子供にもどせええええっ!!」
ジャミルは小悪魔にガジガジ噛み付くのであった。
「我儘な奴りゅ~、他にいい処がねえから、せめてポ故陳だけでも
立派に偉そうにしてやろうと思ったこのリトル様の親切が分からない
のかりゅ……」
「うるせーこの野郎っ!!大きなお世話だっ!!」
ジャミルが暴れ出したので、小悪魔は仕方なく、ジャミルにも、
もう一度魔法を掛けた。
「はあ、やっと縮んだ……、あそこも縮んだ……、これじゃまるで
『zoku立ちコレクション』……、だよな……」
「んじゃ、リトルはかえりゅ!後はシラーねりゅよい!」
「……自分でやった癖に何が知らねーだ、糞小悪魔め、
……けど、原因が分かって安心したわ……」
組にやっとこさ戻ると、皆もう先に戻ってお昼タイムであった。
園児達にとっては一日のうちで一番楽しい時間帯である。
「何処行ってたの~?駄目よ、お昼はちゃあ~んと、
皆で、いただきます、しないとよ?」
「はいはい……」
珍しく真面な先生らしく美奈子が注意する。ジャミルは少し
戸惑うのであった。
「あ、どっちみち、俺、昼飯持って来てねえから……」
(この間に……、外でヤニを吸う、完璧……)
「そうなの~?でも、駄目よ、ちゃんと食べないとお腹すいちゃうわよ!」
「じゃあ、ネネの唐揚げ分けてあげるー!」
「オラのピーマンもあげるゾー!」
「に、ん、じ、ん、どうぞ……、あ、まくて、おいし、い、よ……」
「僕の、タマネギも良かったら……」
「や、焼きナスなんだけど……、えへ、食べる……?」
「ふふ、よかったわねー、凄いお弁当になったわね!」
「……何か、残飯処理させられてる様な気分……」
……園児から……、嫌いな物、好意で分けてくれたおかずとで、
残飯処理弁当が出来上がったのであった。
「はあ……」
「何処行ってたの?それにしても、すごいお弁当だねえ……」
「ほっとけよ……」
同じグループの、ダウド、アイシャ、アルベルトはすでに席に着き、
先にお弁当を食べ始めている。
「ま、いいや、せっかくだから頂くかね……」
好意に甘えて、ジャミルも分けて貰ったおかずを食べ始めた。
「ねえ、午後からゆるキャラさん来るのよね?何か楽しみだなあー!」
「アイシャ……、分かってんのか?ただの着ぐるみだろ……、
チャック開いたら中にはむさいおっさんが入ってんだぞ……」
「何よっ!、ぜーったい、一緒にお写真取ってもらうんだからっ!
ゆるキャラさんはゆるキャラさんよ!何言ってんのよ!……中からなんか
誰も出てこないわよ!ジャミルのバカっ!」
「そうかい、良かったな……」
「オイラも楽しみだよーっ!」
「……僕も、握手して貰えるかなあ……、えへへ……」
どうやら、ジャミルは幼児化していても、中身は本来のままだが、
一部、 頭の中まで完全にポンコツ幼児化してしまっているメンバーが
二部、 いるのであった。特に、此処の席のメンツはその傾向が強い様で……。
「……ハア、ヤニ吸いてえ、限界だよ……」
傍から見ると、ジャミルはタバコ中毒の危険なヤバイ幼児である……。
「そろそろ、ゆるキャラさんが到着する時間ね、みんな、拍手でお迎えして
あげて頂戴ね!」
「はあーいっ!」
美奈子先生のお言葉に園児達、元気にお返事。
(……着ぐるみより、タバコだっつーの……)
(……着ぐるみより、カッコイイイケメンのアイドル歌手よ……)
それぞれに、心の中は好き勝手放題なジャミ公と美奈子……。
ところが、時刻は13時を回ったが、ゆるキャラは一向に到着する
気配を見せず。楽しみに待っているお子ちゃま達はそわそわしだす。
「来ないわね、ま、来れないなら来れないで別にいいけど……」
「……美奈っ!」
「ぶう~……」
「美奈子先生ーっ!」
不貞腐れる美奈子。其処へ組長……、園長が慌ててひまわり組に
駈け込んで来る。園長は美奈子にこそっと耳打ちで話を伝える。
「あらそうなの、残念ねえ~……」
「先生、なんかあったの?」
しんのすけが聞くと、美奈子は園児達にちゃんと事情を話し始めた。
「あのね、本日、幼稚園に来てくれる筈だったゆるキャラさんは、
高速道路で車が渋滞してて、今日は間に合わなくなっちゃったみたいなの……」
「えーっ!ひどいよーっ!」
既にどうでもいいジャミルを除き、他の園児達はブーイングを足れ始める。
(……色々と事情があるんだよ、これだからガキは……、たくよ……)
ジャミルがちらっと見ると、ダウド、アイシャ、アルベルトまで……、
抗議中である……。
(もう完全に精神的にガキになってんな、写メ撮りたいぐらいだ……、
後であいつらに見せてやりてえ……、ぷっ)
……園児達のブーイングが止まない中、又、組をこっそり覗く者が一人、
……小悪魔である……。
「けけっ、何やらお取込み中みたいりゅね……、ふんふん、来る筈だった
着ぐるみが来ないので抗議中なのりゅ、けけっ、よーし、リトル様に
任せろりゅ……!」
「♪ふんふんふふーん、らんらんる~」
と、其処に……、意味もなく都合よく、園の門の前をターゲットが通り掛かる。
「よしっ、あのアフロピエロがいいりゅ!……けっけけーっ!!」
「はーちゃん、つまんないよーっ!楽しみにしてたのにーっ!」
「……がっかりだねえ、でも仕方ないよ……」
「二人とも、駄目な物は駄目なんだから……、落ち込んでも
仕方ないでしょ……」
肩を落とすはーちゃんとみらいに、子供になっていても何処かやっぱり
お姉さんなリコ。
「いろは、ゆるきゃらさんにあいたかったよう~……」
「こむぎもーーっ!」
「らんらんるー!来たよーっ!!どうもー、ゆるキャラでーす!!」
「あら?……間に合ったのかしら、はあーいっ!」
美奈子が教室の戸を開けると……、立っていたのは……。
「……ぎゃーーーーああああーーっ!!」
「あっは!ゆるキャラの怒鳴ルドくんだよっ!悪い子はいねがー!?
ちなみに、秋田出身だよ!!」
……鎌を持ったなまはげ状態、下半身あそこ丸出しのアフロピエロが
立っていたのであった……。
突然目の前に、ぬっと現れたあそこに美奈子は泡を吹いて気絶し、
一部の園児達はパニックになって泣き叫ぶ……。
ジャミ公の暴走幼稚園体験記・4
「いやあああーっ!こわああーいっ!!」
「ぬほほー!悪い子はいねがー!悪い子はいねがー!」
……遂に怒鳴ルド、園児達を追い掛け回し大暴走……。
「お姉ちゃん、怖いよ……」
サラが震えながら姉のエレンにぎゅっとしがみ付いた。
普段はもう姉には頼りたくないとは言っているが、小さな子供に
戻ってしまっている手前、エレンを慕う素直な心にも還っていた。
「大丈夫よ、サラ、あんたはあたしが守るんだからっ!!
この化け物っ!!変態ーーっ!!」
「るーっ?」
エレンは怒鳴ルドの股間を蹴りあげ動揺させると、両足を引っ掴み、
お得意のジャイアントスイングでブン回し始めた。
「どっか飛んでっちゃいなさーいっ!ええーいっ!!」
「……あーれえええーっ!!るーっ!!」
作品名:zokuダチ。セッション8 さらにトラブル続発編 作家名:流れ者