zokuダチ。セッション12 バイト編&異世界からもお客様編
「やあ、今朝は有難う、早速だけど、夜間の部もお願いするよ……、
明日の早朝はお休みして貰って構わないからね」
「お任せあれ!」
「実は、夜間の部に後2人、新人さんが入ったのだが……、
ジャミル君、君になら、サポートを任せて、教える立場に回って
貰っても大丈夫かなと思ったんだよ」
「え?も、もうスか……、幾ら何でも早くないかな……、俺だって
今朝入ったばっかなのに……」
「いや、君はもう立派だよ、仕事を覚えて熟すのも実に早い!
大したモンだ!」
「えへへ、それじゃあ……、やってみます……」
「うむ、宜しく頼むよ!」
余りにもベタボメされた為、ジャミルはつい、いつもの癖で
調子に乗る。
……しかしダウドは薄々感づいていた……、この話で……。
「……おい……」
……誰かがマイクを持ってボソボソと喋っていた様であったが、
すぐに逃げた様であった……。
「まあいいや、仕事、仕事……!」
と、意気揚々で再び職場に顔を出すと、……其処にいたのは……。
「やあ、ドナルドだよ!はっはあーっ!」
「ガーネルです、今夜から夜間の部で働く事になりました……」
「……ファッ!?」
「新人のドナルド君とガーネル君だ、じゃあ、2人の教育は
君に任せたよ、君達も、分からない処はどんどん先輩に聞くんだよ」
「……あんの……」
店長は店の奥に引っ込んで行ってしまう。
「はっはあーっ!ドナルド、張り切っちゃうよーっ!」
「……チキンはスパイスが命です……」
「何でっ……、ファーストフード出身者がよっ……、よりによって
コンビニでバイトなんかすんだーーっ!!言ってみろコラアーーっ!!」
「ドナルドわかんなーいっ!!」
「分りません……、教えて下さい……」
「……う、わあああああーーーっ!!」
夜間のコンビニにジャミルの絶叫が響き渡る……。……やはり、
ダウドのしつこい呟きは的中した様であった……。
ジャミル、働いたら負けに負ける コンビニ編・2
ジャミルは成り行き上、パイセンとしてコンビニで突然入って来た
ピエロとガーネルの面倒を見る羽目に……。
……本日最後の運送業者のトラックが店に到着した。
「この箱の中の商品を棚に納めればいいんだねっ!ドナルド、
やりまっす!」
「素早く、丁寧に……、だかんな、ちゃんとやれよ……」
「よいしょ……、私も頑張ります……」
「あんたさあ、その、いつも手を突き出したままのポーズ、疲れね?」
「いいんです……」
「そうかよ……、んじゃ俺……、他の仕事あっから、任せたぜ……」
「ハンバーガーが少ないねえっ、このおにぎりを全部ハンバーガーに
替えればいいのにねっ!チーズバーガー!ベーコンレタス!」
「……自分でコンビニ建てて、発注すれば……?」
「るーっ!」
それはもはや、コンビニではなく、……ハンバーガー屋である……。
「はあ……」
ジャミルは溜息をつき、再びレジへと戻った……。
さて、コンビニの客も観察していると、玉に珍客や面白い客に
出くわす事もある。中には便所だけ借りてさっさと出て行く
最悪の客もいる。しかし、深夜業は比較的暇なのでジャミルは
気が抜けてしまう。と、ボーっとしていると、自動ドアが開き、
お客さんが入って来たかと思われたが……。
「……やいっ、金を出せ、なのねー!」
「なのねー!」
「のねー!」
まるで、何処かで会った事のある様な、変な3人組の強盗が来た……。
「きゃあっ!?ど、どうしましょう!?て、店長を……!!」
ジャミルの隣にいたレジ担当の女の子がパニックになり、顔が青ざめた。
「……いや、慌てなくていいよ、大丈夫だから……」
「ええええっ!?」
(……こいつらもこっちに出やがった……、ああ、頭痛くなって来た……)
「金を出せって言ってるのねー!」
「出さないと、このコンビニ破壊するのねー!!」
「レジにある金を全部こっちによこしやがれーなのねー!!」
変な3人組はスタンガンをジャミルに近づけるがジャミルは
微動だにしない。
「ジャミルさんっ……!あああ、危ないですよおおっ!!」
「大丈夫、金ならあるぜ、これやるから早く帰れよ」
「……ん~?」
『ごえんがあるよ。』
「……」
「ふ、……ふざけんじゃねええのねええ~!!これは駄菓子じゃねーか!
なのねえ~!!」
ジャミルから渡された、5円型のチョコレートを見、リーダーが激怒する……。
「じゃあ、万円札チョコはどうだ?少しはリッチだろ?」
「……うおおおーっ!!お前おーーー撃ち殺してやるのねええーーっ!!」
「なのねえーーっ!!」
「ねえーーっ!!」
「……そうかよ、こっちはこれ以上払えねえよ!諦めな!」
「くそーーっ!一斉射撃ーーっ!!」
しかし、スタンガンを撃たれる前よりも、ジャミルの方が動きが
素早く、やはり相手にならず。即、3人揃ってノックアウトであった。
「フン……」
ジャミルは3人組を殴って気絶させると、更に蹴り飛ばした。
「すごいですーっ!ジャミルさーんっ!」
「いや、慣れてっから、色々と……、それより正直、あんま俺も
サツは嫌なんだけど……、店長にも急いで話して警察に連絡してくれ……」
「はあーいっ!」
女の子は急いで、一旦店の奥へと引っ込み、店長の処へ報告に行った。
「……あーーれーーェーー?」
「……?」
突如、店に絶叫が響き渡り、見ると、いつの間にか、リーダー格が
動いたようで、ピエロが人質になっていた。
「油断したのねえーっ!……大人しくしないと、こいつがどうなるか
分からんのねえーっ!」
「アニキーっ、凄いのねえーっ!」
「なのねーっ!」
「……またあいつは……、どうして、こう……」
再びジャミルが頭を抱えた……。
「うわあーっ、ドナルド、人質になっちゃったよ!こんなの初めてだよ!
ワクワクもんだねーーっ!興奮するねーーっ!!」
「……すんなーっ!自分で何とかしろーーっ!!」
「……ジャミルさんっ!」
「大丈夫かいっ!?」
丁度、店の奥からタイミング悪く、女の子と店長が出て来てしまう……。
「……来ちゃ駄目だっ!早く逃げろっ!!」
「きゃあああっ!!」
後の子分二人も動き出し、女の子と店長にスタンガンを突きつけた。
「よくやったのね、子分A、B!」
「のねー!」
「なのねー!」
「ジャミルさん……、私達の事は大丈夫ですから……、は、早く、
警察へ……」
女の子が震えながらジャミルに訴える……。
「連絡したらっ、問答無用でこいつら撃つぞ!?なのね!」
「……くそっ、馬鹿で屑な処もほんっと、変わってねえなっ!
別世界に来てもよっ!!」
3人組を睨みジャミルが歯噛みする……。
……皆さん、私をお忘れではないですかな……?
「あ……?」
「胸に七つの傷を持つ男……、ガーネル参上、……ほあああーーっ!!」
「……」
ガーネルは、白スーツを脱ぐと、たぷたぷメタボ腹をさらけ出し、
ポーズを取って構えた。
「……ドナルドもやるよっ、ほああああーーっ!!」
「な、何ねえーっ!?」
作品名:zokuダチ。セッション12 バイト編&異世界からもお客様編 作家名:流れ者