zokuダチ。セッション12 バイト編&異世界からもお客様編
「あ、あああーーっ!!な、何しとんねん!えっちーーっ!!」
ゆうなと呼ばれた少女が近藤の部屋を開けた様である。ちなみに
近藤は全裸状態であった。
「あれ?……あれ?……あれれえー?」
「だからっ、駄目だろっ!どうもすみません!」
連れのマモルと言う少年が急いでゆうなを引っ張り近藤の
部屋のドアを閉めた。
「えっと、ゆうなちゃん?あなたのお部屋は2階よ、
さあどうぞ……」
「ごめん……、本当に……、駄目だろ、ゆーな、気を付けないと……」
「えへへ!ごめんなさーい!私、さっきのお部屋の人に謝ってくるね!」
「……だからっ!後でいいんだって!」
「でも、でも~……」
……マモルがゆうなを再度引っ張り、アイシャがゆうな達を
2階の部屋まで、案内する。
「なんか、又すげえのが来たなあ……、見てるだけで
頭痛くなってくるわ……、まあ、このマンションで真面な
住人を期待する方が無理か……」
気分転換にジャミルは外に出て行った。勿論タバコを買いに。
そして夕方……。
ジャミルがマンションに戻ると、玄関先にマモルがいた。
「どうかしたか?」
「さっきはゆーなが……、本当にどうもすみませんでした……」
「いや、別に……、此処じゃそんなに珍しい事じゃねえからよ、
どいつもこいつも此処は殆ど皆変人と変りモンばっかだから……、
気にする事ねえから」
「は、はあ……」
マモルは俯き加減で暫く黙っていたが、グルグル眼鏡をキラリと
光らせるとジャミルの方を見た。
「あの……」
「何だよ……」
「ゆーなは決して悪い子じゃないんですけど……、その……、
スーパー天然、……アレなんで……、色々ご迷惑お掛けすると
思うんですけど……、とにかく宜しくお願いします……」
「あ、ああ……、見てりゃ分るよ、大変な事ぐらい……」
「では……」
マモルはジャミルにそれだけ言うと、部屋に戻って行こうとする。
其処へ……。
「たいい~……」
「?」
こちらもスーパー面食い赤ん坊、ひまわりが出現。
「たいやっ!たいいー!にへえ~……」
「……う、うわっ!何っ!?」
ひまわりは、マモルによじ登り、眼鏡を必死で外そうとするのであった。
「たいっ!たいっ!」
「こ、こら!やめろっ……!」
「……やめろって言ってんだろ、お前はっ!たくっ!!いい加減にしろっ、
……赤ん坊の癖にっ!」
「たいやー!(放せっ!この短足っ!!)」
……ジャミルにマモルから引き離されたひまわりが暴れて抗議する。
ジャミルは背が低目なだけで別に本人は決して短足ではない……。
「まも君、何してるのーっ?あ、赤ちゃんと遊んでるんだー、
うふふ、可愛いねえー!」
再びゆうなも登場し、ジャミル達の側へとやって来る。
「……たいやいっ!(ケッ、タレ目女っ!)」
「?」
「……ひまっ!まーた、この子はー!黙ってお部屋抜け出しちゃ
駄目って何回言ったら分るのーっ、もうっ!いつもいつもすみませーん、
どうもっ!」
「たいやーっ!」
……今回もみさえにあっけなく捕獲され、ひまわり退場。
「じゃあ、僕らもこれで、ゆーな、ほら、部屋に戻るよ……」
「はあーいっ、ジャミルさん、又ねーっ!ねーねー、まも君、
このご近所でバナナの美味しいお店、どこかなあ~?私バナナ大好きっ!
ちょっと黒くなっちゃった処も甘くって美味しいよねえー!あ、そうだっ!」
ゆうなはジャミルの処に戻って行くと……。
「これ、バナ君シールです、バナナに付いてるの集めてたの!
ジャミルさんにも一枚あげますねっ、色んなバナ君がいるんですよ、
これはムッキムキーバナ君!じゃあー!」
「……い、要ら……ねええ~……」
(それにしても、……あの赤ん坊も侮れないなあ……、……何処かの
忍びの者だろうか……)
「♪ばーなな、ばななばーななっ!」
「……頭、マジで痛くなってきた……、バファリン……」
そしてその日の夜、ジャミルの部屋にマモルが訪ねて来た。
「あの……、ちょっと話が……」
「……鍵は掛けてねえから、どうぞ、入っていいよ……」
「すみません、こんな遅くに……」
マモルは周囲に誰もいないのを確認すると、静かにジャミルの
部屋のドアを閉めた。
「あの、……黒子さんから聞いたんですけど、あなたが……、
此処のマンションの管理人をされているとお伺いしたので……」
「またその話かよ、どうでもいいんだけどよ、んな事はさ、実際……」
「はあ、なので……、あなたにだけは話しても大丈夫だと黒子さんが
言っていたので……」
「……あん?」
「僕とゆーなの事、此処に来た理由、聞いて貰いたいんだよ……」
今までジャミルに対して敬語を使っていたマモルは、急に為口になる。
マモルから聞いた話と諸事情を簡潔に纏めると……。
マモルの家系、陰守一族は、主君であるゆうなの一族、紺若家に
代々使える忍である事、マモルは幼い頃から常にトラブルメーカーで
危険に巻き込まれる体質のゆうなを守っている事、彼女が最近余りにも
何時にも増して危険に巻き込まれる可能性が増えて来た為、
ゆうなをマモルのボディーガード付きで暫くの期間、安全な
場所に避難させる為に……。
「で、此処に来たのか?」
「……僕がいつも陰から常に危険からゆーなを守っている事は……、
彼女にも内緒だから……」
なんか、そうなると、俺らも巻き添え喰らって色々巻き込まれる
可能性もある訳で、危ねんじゃね……?と、ジャミルは思ったのだが。
それに此処のマンションも変わりモンが多数所属している為、決して
安全とは言い切れないのであるが……。
「僕らの事は……、誰にも言わないでいて欲しい、それだけだよ……」
「分ったよ、ま、内緒を抱えてる奴は他にもいるからさ……」
「ハア?」
「い、いや、何でもねえ……」
「じゃあ、今日はそれだけ、また……」
「……」
マモルは部屋を出て行くが、数分後に又すぐジャミルの処に
戻って来る。
「ごめん、又ちょっと……、今ゆーなの部屋にちょっと顔を
出してみたら、ゆーながいない……」
「こんな夜遅くにか……?何処もいかねえだろ、幾ら何でも……」
と、部屋の外に出ると、丁度廊下を歩いていたアイシャと
ばったり出くわす。
「ジャミルと、マモル君?こんばんは、お散歩?」
「いや、ゆーながいなくなって、それで……」
「あ、探してるの?」
「コラ!ガキはもう寝る時間だろっ!フラフラ歩いてんじゃねえよっ!
お前こそ何処行く気だったんだ!?」
ジャミルがアイシャに軽くデコピンする。
「……いった!何よっ、ジャミルのバカっ!ゆうなちゃんなら
さっき共用玄関の処にいたわよ、バナナ持ってチョロチョロしてたわ……」
デコピンされたデコを抑えながらアイシャが声を出した……。
「はあ……!?僕が探し回ってた時は玄関にいなかったのに……」
んでもって、玄関先に行ってみると、確かにバナナを抱え、
チョロチョロしているゆうながいたのである。
「……ゆーなっ!」
「あ、まも君、ジャミルさん、アイシャちゃん、こんばんわー!」
作品名:zokuダチ。セッション12 バイト編&異世界からもお客様編 作家名:流れ者