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バイオハザード Fの起源  第一話 ホークアイズ(鷹の目)

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彼女の声には、張り詰めた緊張感が滲んでいた。

ソニアは、じっとモニターを見つめた。
その瞳は、波形の一つ一つを分析するかのように、鋭い光を放っている。

「これ……」
ソニアが呟いた。
「このパターン、どこかで見たことある」

レオンとシェリーが、同時にソニアに視線を向けた。
ソニアの「鷹の目」は、ただ遠くを見るだけでなく、微細な情報やパターンをも捉えることができるのだ。

「どこだ?」
レオンが問い詰めた。

ソニアは目を閉じ、何かを思い出そうとしているようだった。
やがて、彼女は目を開き、一点を指差した。

「これだ。過去のテロ組織の残骸データの中にあった。ほとんどの解析ではノイズとして処理されてたけど、このパターンは…」

彼女の声が、静まり返った情報室に響き渡る。ジェイクは、ソニアが作戦時に見せる集中力と分析力に、改めて感嘆していた。


[newpage]


ペンタゴンのトレーニング室で、ジェイクはすさまじいパンチを繰り出し、彼がいたぶり続けるサンドバッグが悲鳴を上げていた。

「こーら、そんなに力んで何やってるわけ?、サンドバッグがかわいそうでしょー、ジェイクちゃん」

休憩スペースから、ソニア・ホークアイズの声が飛んできた。
彼女は片手でタブレットを操作しながら、もう一方の手でミネラルウォーターを傾けている。

F因子の器、あるいはFの血統と呼ばれる彼女は、その異常な視力――「鷹の目」でジェイクの一挙手一投足を正確に捉えていた。

ジェイクは汗を拭いもせず、サンドバッグから離れた。

「うるせえな、バカ女。たまには真面目にトレーニングでもしてみろよ」

「シェリーに会えなくていらついてるんでしょ?たまにはメールくらいしなさいってばさー」

「うるせえな!それにお前 こないだ メールしてたら、隣のビルの3階上からから覗いてたろ!どういう目してたらあんなところからスマホの字が読めるんだよ!」

「こういう目!」

自分の金色の目を指さし、クスクスと少女のように笑うソニア。実際彼女は二十歳のジェイクと大して齢は変わらないのだが。

余計なお世話だ!
ジェイクはため息をついた。
彼女はFウイルスへの完全適合とそれに伴う規格外の能力をもち、早くからペンタゴンに保護されていたので、それが彼女をどこか世間から浮かせている理由でもあった。

「確かにジェイクは私が知っている人間の中では最強だけど、もっと愛は必要よ。愛は世界を救って言うじゃない、ねっ」

ソニアのかわいいウインクつきの皮肉めいた言葉に、ジェイクは眉をひそめた。
内心では、ジェイクはソニアを有能で頼りになる仲間だと高く評価している。
彼女の冷静な判断力と卓越した分析能力は、数々の局面で彼を救ってきた。

また、声には出さないが 数少ない友人の一人だと思っている。

そんなジェイクの心にいるホワイトハウスのエージェント、シェリー・バーキン。
ソニアは何かと自分とシェリーの仲を後押ししようとする。
うるせえ 、余計なお世話だバカ女、とついつい ジェイクは心の中で文句とも感謝とも言えるような気持ちを持ってしまう。

シェリーはソニアを優秀なエージェントで、友達だと思っているので、ジェイクのソニアに対する口の利き方がいつも気になって諌めてしまう。
実はジェイクにとっては、シェリーへの思いが、ソニアへの表向きの粗野な態度を維持する理由の一つでもあった。

ジェイクはソニアの挑発を軽く受け流し、タブレットの画面に集中した。
ホークアイズはまるで別人のような引き締まった顔つきになっている。

「それより、また奇妙なデータが上がってきてる。東欧の某所で、原因不明のウイルス感染者の報告が増加してる」

ジェイクは興味なさそうに、天井を仰いだ。

「いつものことだろ? どこかで誰かがヘマをやらかしたって話か。今度はどんな間抜けがやらかしたんだ?」

「それが…今回のパターンは違う。感染者のバイタルが、まるで意図的に調整されているかのように安定しているんだ。まるで、私と同じ…Fウイルスへの適合者の初期症状に酷似している。本当に馬鹿馬鹿しい話だ。こんな危険なものを、また誰かが弄んでいる」

ソニアの言葉に、ジェイクの表情から笑みが消えた。
彼自身が知る、Fウイルスの恐ろしさ。
そして、ソニアが背負う宿命。
それが、ただの訓練の日々を、一瞬にして不穏な現実に引き戻した。

その時、施設内の緊急警報がけたたましく鳴り響いた。
赤色の警告灯が点滅し、天井からは無機質なアナウンスが流れる。

「緊急事態発生! 未確認のB.O.W.がセクションBに侵入! 全員、直ちに避難…!」

アナウンスは途中で途切れ、代わりに断末魔の叫び声が響いた。
ジェイクとソニアは顔を見合わせる。

「B.O.W.だと? ペンタゴンに?」

ジェイクが呟く。
ソニアは即座に立ち上がり、銃を構えた。彼女の金色の瞳が、急速に状況を分析していた。

「冗談はやめろ。こんな厳重なセキュリティをどうやって突破したんだ? それに、この反応…まさか!」

ソニアの「鷹の目」が捉えたのは、施設の奥から押し寄せる、おぞましい形をした生物兵器の群れだった。

その動きは異常なほど素早く、従来のB.O.W.とは明らかに一線を画している。
体中に赤や青の血管が網目のように浮かび、元は人間だったろう目は真っ赤に血走しっていた。

「待て、このB.O.W.、 これまでのとは違う! まるで、私をコピーしようとした失敗作のようだな」

ソニアの声が、ジェイクの耳に届く。
彼の脳裏には、ソニアが示した
「適合者の初期症状」
という言葉がフラッシュバックした。


『フォルティス(最強の)ウイルス。一時的に感染者の能力の一部を最強にまで押し上げる』

これは、単なる偶発的な事件ではない。何者かの明確な意図がそこにある。

「クソッ、援護を呼ばないと――」

ジェイクが腰の通信機に手を伸ばした、その時だった。
けたたましい電子音が鳴り響いたかと思うと、通信機から火花が散り、沈黙する。
「ちっ、システムを破壊されたか……! これで完全に孤立無援だぞ!」
彼の脳裏に、この施設に侵入する直前、敵が何らかの電波妨害装置を展開していたという情報がよぎる。

まさか、通信システムまで破壊されているとは。
陸海空軍を束ねるペンタゴンが、まさかこんな形で連絡手段を失うとは、悪夢でしかない

「チッ、面倒なことになりやがったな!」

ジェイクは舌打ちし、愛用の拳銃を抜き放った。訓練施設は、一瞬にして戦場と化した。
次々と押し寄せるB.O.W.の波を、ジェイクは持ち前の戦闘能力と、彼自身の身体能力で切り裂いていく。

ソニアもまた、正確無比な射撃でジェイクの死角をカバーし、彼を援護する。
一撃三殺。
一発の銃弾が3匹のゾンビを重ねて射抜いた。

しかし、敵の数は圧倒的だった。
そして、このB.O.W.たちは、ペンタゴンのセキュリティシステムを熟知しているかのように、主要な区画へと向かっていく。
彼らの目的は、単なる破壊ではない。
何かを「探し」ているかのように見えた。