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バイオハザード Fの起源 第3話 ソニアの脱走~エイダの罠

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レオンはすぐに、ジェイクとシェリーに連絡を取った。
「ソニアがペンタゴンを脱走した。エイダが絡んでいる可能性が高い」

レオンは簡潔に状況を伝えた。
ジェイクの声には焦りがにじんでいた。

「なに!? あのバカ女、また勝手な真似を…!」

ジェイクの怒鳴り声がスピーカーから聞こえる。
しかし、その声には、怒りだけではない、ソニアの身を案じるような響きも含まれていた。

シェリーは冷静だった。

「レオン、ソニアの目的地は?」

「おそらく、母親の過去に関わる場所だろう。データチップが示唆する、Fウイルスの初期研究が行われた廃墟の研究所。クリスが東欧で掴んだ情報とも繋がる場所の可能性がある」

レオンは直感的にそう答えた。

「廃墟の研究所ですか。分かりました、こちらでも情報を追います」

シェリーは即座に状況を理解し、協力を申し出た。

レオンは通信を切ると、自身の端末に位置追跡システムを起動させた。
ペンタゴンの脱走者は追跡対象となる。
ソニアが不安定になり始めたあたりから、それを危惧したラボ担当のハドソンが、こっそり彼女の耳の奥に埋め込んだ小型発信器から、彼女の現在位置が地図上に示された。
それは、大都市の廃れた工業地帯の一角を指していた。
ここで一度身を隠すつもりだろう。

「まずい。思ったより近いな…」

レオンは呟いた。

彼がその工業地帯に向かおうとすると、ペンタゴンの中の不穏な動きを察知した。
彼らは武装しており、出動の準備をしている。

ペンタゴンがソニアの脱走に対し、特殊部隊を派遣した可能性が高い。

レオンは走った。


[newpage]


ソニアは、高級車を駆り、夜の都会を疾走していた。

これまでペンタゴンの厳重な管理下にいた彼女にとって、この自由は初めて味わうものだった。
ビル群のネオンサイン、車のヘッドライト、街の喧騒。
全てが新鮮で、彼女の心を高揚させた。

目的地は、エイダのデータチップが示した廃墟の研究所。
カーナビに住所を打ち込むと、そこは、市街地から少し離れた、古い工業地帯の奥深くにあることが示された。
その場所に到着すると、ソニアは車がうまく隠せる場所を選び、車を降りた。

そこは荒廃した建物が立ち並び、まるで時間が止まったかのような場所だ。

廃墟の研究所に近づくにつれて、ソニアの「鷹の目」が周囲の異変を察知した。
建物の陰に潜む複数の人影。
不自然な車の配置。
そして、空気中を舞う埃の不自然な動き。

(まずい…待ち伏せされてる?)

ソニアは直感で危険を察知した。
あわてて車に戻るとアクセルを踏み込み、車をさらに加速させる。

しかし、時すでに遅し。
彼女の車が廃墟の敷地内に入った瞬間、四方八方から銃声が轟いた。

AK-47のけたたましい発砲音、H&K MP5の鋭い連射音。
容赦なく車の窓ガラスが砕け散り、車体には無数の弾痕が刻まれていく。
ソニアは身をかがめ、必死にハンドルを切るが、タイヤが次々とパンクし、車は制御を失ってガードレールに激突した。

その時ソニアは、自分が完全に射殺対象であることを理解した。
ペンタゴンが…私を……?

爆発音と煙が立ち込める中、ソニアは辛うじて車から這い出した。
左腕から熱い痛みが走る。弾丸が掠めたようだ。

しかし、そんなことよりも、彼女の目の前に現れた武装集団の姿に、ソニアは息をのんだ。
彼らは覆面で顔を隠し、統一された黒い戦闘服を身につけていた。

彼らの動きは洗練され、明らかに訓練されたプロフェッショナルだ。
ペンタゴンの追っ手とは違う。

「ソニア・ホークアイズ、確保する!」

リーダー格らしき男が、威圧的な声で命令した。
ソニアは腰に差したベレッタ・ナノを抜き、応戦する構えを取る。

一発の銃弾で三体のゾンビを屠るほどの腕前を持つソニアだが、相手は人間、しかも精鋭の武装集団だ。
状況は絶望的だった。

ソニアは、自身の「鷹の目」を最大限に活用し、敵の動き、銃口の向き、わずかな視線の揺れまでをも読み取る。
数発の銃弾をかわし、正確な射撃で二人の敵を負傷させた。
しかし、多勢に無勢。彼女の弾丸は限りがある。

「くっ…!」

弾丸が尽き、ソニアは建物の中に逃げ込んだ。
廃墟となった研究所の内部は、錆びた機械、散乱した書類、そして不気味な影が支配していた。
背後から追ってくる敵の足音が響く。

ソニアは、薄暗い廊下を駆け抜け、かつて研究室として使われていたと思われる部屋に飛び込んだ。
そこには、ガラス製の大型培養槽がいくつも並んでおり、その中にはどす黒い液体が満たされていた。
埃とカビの臭いが鼻をつく。

(まさか…ここで、私の母親が…)

想像を絶する事実に、ソニアは一瞬、思考を止めた。
その隙を突いて、敵が部屋に突入してきた。

「終わりだ、ソニア・ホークアイズ!」

リーダー格の男が銃口をソニアに向けたその時、部屋の奥の窓ガラスがけたたましい音を立てて砕け散った。
黒い影が飛び込み、男の銃を叩き落とす。

「遅くなってすまないな、お姫様」

聞き慣れた、しかし少し呆れたような声が響いた。

レオンだ。
彼の手に握られたH&K VP70の銃口から硝煙が立ち上っている。
レオンは素早く武装集団とソニアの間に割って入り、瞬く間に数人の敵を無力化した。
彼の動きは力強く、そして洗練されている。

「このスケベオヤジ…」

不意の援軍に、ソニアは安堵と、そしてほんの少しの不満を混ぜて小さく呟いた。

「うるさいぞ、お姫様。ほら、まだ立てるか?」

見事に聴こえていたらしい。
レオンはソニアの手を取り、彼女を立たせる。
彼は周囲の状況を冷静に把握し、残りの敵に指示を飛ばすリーダーを正確に狙撃した。
次々と倒れていく武装集団に、ソニアは驚きを隠せない。

「ペンタゴンからの援護か? なんだか、やけに手際がいいわね」

ソニアは、レオンの背後から迫る敵を「鷹の目」で捉え、銃を構えた。

同時にレオンは振り返ることなく、まるで背中に目があるかのように敵を正確に撃ち抜いた。

「ペンタゴンのお偉方が、君みたいな世間知らずのお姫様を放っておくわけないだろう。護衛チームがすぐに駆け付ける。…それに、俺を誰だと思ってる?」

レオンはそう言うと、残りの敵を次々と倒していく。
彼の戦い方は、まるで舞踏のようだった。
弾丸の軌道を読み、敵の動きを予測し、最小限の動きで最大の効果を出す。
それは、長年の経験に裏打ちされた、まさに「洗練された力」だった。

瞬く間に、武装集団は壊滅した。
部屋には、レオンとソニア、そして倒れた敵だけが残された。

レオンは銃を構えたまま、周囲を警戒する。

「全く…君はいつも俺をハラハラさせるな」

ソニアはふんと鼻を鳴らした。

「うるさいわね。別にあなたの助けなんて借りなくても、どうにかできたんだから」

「そうか? だいぶピンチに見えたけどな」

レオンはソニアの腕の傷に目を向け、小さく舌打ちした。

「全く。ペンタゴンに戻るぞ。君の傷の手当ても必要だ」

「やだ! 私はまだ…」

ソニアは抵抗しようとしたが、レオンは有無を言わせない表情で彼女を見つめた。