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バイオハザード Fの起源 第4話 ケネディ捜査官 F

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「ソニア、分かってくれ。これはお前やジェイクのような若者に背負わせるには重すぎる情報だ。それに、もしこの情報が外部に漏れれば、パニックを引き起こし、収拾がつかなくなる可能性がある」

レオンは必死にソニアに事情を話した。
彼の脳裏には、ソニアとジェイクの顔が浮かぶ。

優秀なエージェントであることは認めているが、彼らにはまだ危険な世界を知り尽くしていない「子供」の部分があった。
あると思いたかった。

自分が20歳そこそこの時はどうだったか?
ただ夢を追うだけのおめでたい警察官だった。
それがエイダ・ウォンの裏切りにあった時に、どんな気持ちがしたか。

それなのに彼らは…
生まれた時から厳重な監視下のもと、エリート教育を受けてきたエージェント。
17歳の時から、非情な世界で命を削ってきた傭兵。
それでも…

「そんなもので納得できると思うか?エージェントとして戦う人間に、命を危うくするような情報を渡さないでいるとは…我々は真実を知り、戦う義務があるはずだが」

ソニアの声はあくまで冷静だった。

[newpage]


その時、ソニアの視線が、レオンの背後にある壁に釘付けになった。
レオンも彼女の視線を追った。
壁には、ごく微細な奇妙なシミが浮かび上がっていた。
だがソニアの異常な視力は、そのシミが、単なる汚れではないことを瞬時に見抜いた。

それは、非常に微細な生物の痕跡であり、さらに深く視線を凝らすと、その痕跡が、まるで何かの細胞が分裂したかのようなパターンを形成しているのが見えた。

「これは…」

ソニアは思わず声を上げた。
レオンはソニアの反応を見て、警戒しながらソニアを庇うように壁に向かって一歩前に出た。

その時、廊下の向こうから聞き慣れた声が聞こえてきた。

「おい、レオンのおっさん、バカ女、何やってんだ?」

ジェイクが、近づいてくる。
彼はいつも通りの態度だったが、ソニアがレオンと口論しているのを見て、何かあるのを理解した様子だった。

「ジェイク、来るな!」

レオンが叫んだ瞬間、ソニア以外、肉眼で見えなかった壁のシミが巨大化し、まるで生き物のように蠢き始めた。

ソニアの視界には、その微細な痕跡が、急速に成長、増殖していく様子が映し出された。
それは、ウイルスが物質の表面で活動している、まさにその瞬間だった。

「ここにまで来ていたか…」

あの変異株が、既にここまで侵入している。
そして、このペンタゴンの壁にまでその痕跡を残しているということは、既にこの施設自体が危険に晒されていることを意味していた。

ジェイク彼も壁のシミに目を向けたが、何の情報もない彼にはそれが何なのか判断することはできなかった。
しかし、レオンの表情とソニアのただならぬ様子を見て、事態の深刻さを肌で感じ取った。

「…何なんだよ、一体」

ジェイクの顔に警戒と戸惑いの色が混じった。

ソニアは、その微細な痕跡が、わずかな熱を放ちながら、ゆっくりと壁を這い上がっていくのを捉えていた。
それは、まるで見えない何かが、静かに、そして着実に、この場所を侵食しているかのようだった。

「これは…ウイルスの痕跡だ。それも、ただのFウイルスじゃない。空気中に漂う微粒子が、壁に付着して、そこで増殖している…」

ソニアは掠れた声で説明した。
その言葉に、レオンの顔色がさらに悪くなった。
空気感染の脅威が、彼らの目の前で現実のものとして姿を現し始めていたのだ。

「クソッ…どこまで広がっているんだ…」

レオンは歯噛みした。
彼の脳裏には、このペンタゴン全体がウイルスの温床となる可能性がよぎっていた。

「おい、バカ女。まさか、お前のそのとんでもねえ目には、それが見えてんのか?」

ジェイクがソニアに詰め寄った。

「ああ。見えてる。そして…この部屋だけじゃない。廊下、他の病室…空気の流れに乗って、あちこちに広がってる」

ソニアは苛立ちを隠せない声で答えた。
彼女の視界には、建物の空気中に漂う、目には見えないはずのウイルスの微粒子が、かすかな光の点となって無数に漂っているのが映し出されていた。
そして、それらの点々が、建物内の構造図のように、感染の経路を示しているのが分かった。

「一体、どこまでが安全なんだ…」

レオンは、無線でホワイトハウスに連絡を取ろうと手を伸ばした。
しかし、その瞬間、天井の照明が、まるで停電したかのように点滅を始めた。

「…電力が不安定になってるな」

ジェイクが呟いた。
クラシックピアノを弾く彼は、その繊細な耳で、照明の点滅に伴う僅かな電力変動の音を捉えていた。

「まさか、これもウイルスの影響なのか…?」

ソニアは不安そうに周囲を見渡した。
この異常事態は、ただの停電ではない。
まるで、このウイルスが、病院のシステムそのものに影響を及ぼしているかのようだった。

その時、レオンの無線から、人の声が聞こえた。しかし、その声はひどく途切れ途切れで、ノイズが混じっていた。

「…レオン…応答しろ…ペンタゴン内…異常発生…ウイルス…広範囲に…」

驚くべきことに、それはクリスだった。
だがクリスの声が途切れると、無線からはプツン、と通信が途絶した。

「クリス!」

レオンは無線を握りしめ、叫んだ。しかし、応答はない。

「状況が、急速に悪化しているようだな…」

ソニアは、視界に映るウイルスの広がりを追っていた。
彼女の視界が捉える光の点が、建物内のあらゆる場所に広がり、その密度を増しているのが分かった。
まるで、ペンタゴン全体が、目に見えないウイルスの海に沈んでいくかのようだった。

「くそっ、こんな所でボーッとしてる場合じゃねぇ…」

ジェイクは苛立たしげに壁を殴りつけた。
彼の内側で、焦りと苛立ちが渦巻いているのが、ソニアにも伝わってきた。
傭兵だった彼は、常に状況を打開しようとする衝動に駆られる。

レオンは無線機をベルトに差し込み、冷静な判断を下した。

「分かった。ジェイク、ソニアの護衛を頼む。俺はなんとかホワイトハウスに連絡を取る。先日の騒ぎとこの事態だ。報告が必要な上、場合によっては増援がいる。ペンタゴンを除菌のために爆撃しろ、とでも命令が出たらたまらない。ソニアの視力で、ウイルスの広がりを把握してくれ」

「おいおい、俺がバカ女の面倒見んのかよ。俺だって戦えんだぞ」

ジェイクは不満そうな顔をした。しかし、レオンの真剣な眼差しに、彼は口を閉じた。

「ソニアにしか微弱なウイルスが見えない。状況を正確に把握する必要がある。だが彼女の腕はその通りだ。自分の身を守れるかどうかもあやしい。それにお前なら、この状況でも冷静に対処して彼女をサポートできる。ついでに俺は、お前たちと違って感染しないとは限らないからな」


レオンはジェイクの能力を認め、彼に重要な役割を与えた。
ジェイクは照れくさそうに顔を背けたが、レオンの言葉に悪い気はしなかったようだ。

「…しかたねえな、おっさん、さっさと連絡付けて来いよ。さっきのゴリラがどうなってんのかも気になるしな。早くしねえとこのバカ女、足手まといになりかねねぇからな」

ジェイクは悪態をつきながらも、ソニアの傍らに立った。