zokuダチ。セッション13 ジャミ公の夏休み(?)編・1
「ご、ごめん、ちょっとショックな事が有った物で……、シフが……」
恐らくシフに何か怒鳴られたのだろうが。……故郷の恐い姉といい、
どうもアルベルトはこの件になるとダウドに負けずヘタレ化する。
……シフにはどうしても立場が弱く、頭も上がらない所為もあり……。
「泣かれてても困るんだよ、取りあえず言ってみ……」
「うん……、シフがああああーー!……僕の本、み、みんな捨てろって
言うんだよ!自分で捨てなきゃあたしが捨ててやるって!……幾ら何でも
酷いと思わないかい……?」
……まるで言う事聞かねえ幼稚園児と母親じゃねえか……、と、
思うジャミル。
「はあ、遂にほぼ強行手段に出たか……、けど、オメーもわりィんだぞ、
アル!」
「何がさ!……僕は何も悪い事はしていない!……絶対!」
「……」
アルベルトはメソメソをやめ、急にきりっとした顔つきになる。
こう言う糞真面目で頑固で真っ直ぐに己の信念を貫き通そうとする……、
そんな処がジャミルは彼の最も苦手とする部分でもあった。
「……本ばっか読んでるからだろ……、メスゴリ……、昨日、シフも
愚痴ってたよ、流石に限度があるとさ、風呂場にまで本持ち込んで
上せて溺死しそうになったんだろ……?」
「!!言ったな、くそっ……、い、いいじゃないか!読書は僕の
趣味なんだから……」
「……それが過剰杉なんだっつってんだよっ!オメーの場合っ!
少しは本から離れろっ!!」
昨日もアルベルトは外出中、本を夢中で読みながら歩き電柱に
衝突した。しかもマンションに戻ってシフに注意されるまで
額から出血していたのにも気が付かず。
「……人に言う前にさ、……ジャミルも気を付けた方がいいんじゃ
ないのかな?アイシャも昨日、来たよ、僕の所に……」
「な、何がだよ……」
アルベルトは急に黒い顔つきになると立ち上がり、とてとてと
ジャミルの部屋の押し入れの前に立ち……、そして勢い良く、
押し入れの戸を開けた。
「ほら……」
押し入れの中には。……錯乱した大量の煙草の箱の山と、
……溜まったエロ本。
「……きゃああああーーーーっ!!」
昨夜、シフがジャミ公の部屋に訪れていたのと、ほぼ同じ時刻に……、
アイシャもアルベルトの部屋に相談に訪れていた。
「……最近ね、何だかまた心配なの……」
「うん、ジャミルの事かい?」
「分るのね……、最近、また煙草の量が増えた様な気がするの……、
うん、この話じゃあの人、多分吸い過ぎでも死なないと思うから、
大丈夫だと……、その辺は諦めているの……」
「うん……」
「ぐすっ……、ひっく……」
「!!ア、アイシャ、どうしたのさ、ほらほら、泣かないで……、
話してごらん、ね……?」
アルベルトが宥めると、アイシャは漸く落ち着き、嗚咽を止めた。
「この間……、夜……、用があって……、ジャミルのお部屋に行ったら、
返事がないの……、鍵は開けっ放しだし、心配だったから……、私、
お部屋に勝手に入っちゃったの、そ、そしたら……、う……、あーーんっ!!」
「……アイシャっ!!」
アイシャ、再び号泣しだす。どうもあまりこの件は彼女自身も
思い出したくなかった様だが、泣きながらアルベルトに事情を話した。
……どうやら、風呂でエロ本を読んで噴気し、……そのままあそこ
丸出しで風呂場の床に倒れていたらしい……。そして、アイシャは
倒れているジャミルのあそこをモロに見てしまい……。
「びっくりしたから……、思わず殴っちゃったの……、そしたら、
ジャミル、そこの処だけ、記憶が飛んじゃったらしくて……、ジャミル
自身は覚えていない筈よ……、で、でも……、少しは謹んで欲しいの
ようーーっ!ジャミルのバカーーーっ!!」
「あの野郎ーーっ!!……この間からどうも後頭部がイテエと思ったらっ!」
「……と、言う事……、です、泣いてたよ、アイシャ……、つまり、
僕が何を言いたいかと言うとだね……、君も僕に偉そうな事、言える
立場じゃないだろう……、と、言う事です」
「う、う……」
「うふふ、うふふ、う~ふふふ……♡」
アルベルトは腹黒モードになると、ジャミルに詰め寄る……。
……結局。この男、ジャミルもアイシャの尻には立場が弱いと
言う事である。次の日。ジャミルの部屋の押し入れの中には、
アルベルトの部屋の本が大量に押し込まれていた。シフの機嫌が
直るまでの間、彼の本はジャミルの部屋の押し入れの中に避難
させられ、こっそり守って貰う事になったのであった。
チビのお散歩 1
ある日、チビは郵便の仕事がお休みの為、マンションに遊びに来た。
まずはジャミルの部屋に向かうが、本日は本人不在。
「ぴいー?ジャミルいる?遊びに来たよー」
礼儀も兼ねているので一応きちんとドアをチビ式でペチペチ叩き、
ノックする。
「……返事がないきゅぴ、勝手に入るきゅぴ!」
こういう時は、少々強引なのである。
「ぴ、ジャミル、いない……、……ご本出しっぱなし、……駄目!」
チビは散らかった雑誌を積みかせね、雑誌タワーを作った。
「出来た、……このご本、裸の女の人がいっぱいる、変な本!」
チビはジャミルの部屋を出、今度はダウドの部屋に向かう。
「ダウー、チビだよ、遊びに来たよおー!」
「ああ、チビちゃん、いらっしゃい!」
「きゅぴ?ダウ、何してるの?」
「うん、明日晴れる様にね……、ちょっとてるてる坊主をね……、
ここの処、雨続きだからさあ……」
「……ふう~ん、このてるてる坊主さん、誰かに似てるねえ……」
「あはは、分る?本当はてるてるジャミルなんだよお、ジャミルの
図々しさで雨が呆れてどっか行っちゃう様にと……」
「ふう~ん?」
……この男は、時々、とんでもない事を考える……。
「でも、お顔変だよお、へのへのもへじさんだよ……」
「いいんだよ、気にしない、気にしない」
ダウドはそう言って、てるてるジャミルを窓の軒下にぶら下げた。
「明日、晴れるといいねえ……」
「うん、そうだねえ、もしも晴れなかったら……、ひ、ひひひ……、
許さないよお……」
「……ぴ、じゃあ、チビ行くね……、またね……」
「……五寸釘打っちゃうぞお~、ひひひひ……」
何だかダウドが良く分からなくなってきたので、チビは部屋を出た。
「折角だから、マンションの皆にご挨拶して回ろ……」
と、前方からバカップルがやって来た。紺若ゆうなとマモルである。
「ねえねえ、まも君、もうすぐ夏休みだねえ、夏休みになったら私、
もっと沢山バナナ食べちゃうよ!」
「……夏休みも何も関係なく、ゆーなはバナナ食べまくってる
じゃないか……、はあ、少しバナナから離れろよ……」
「えーっ、やだよ、そんなの……」
「こんにちはきゅぴ!」
チビが2人に挨拶する。
「あ、ドラゴン印の郵便屋さんのチビちゃん!こーんにーちーわー!」
「やあ……」
「どうもきゅぴ」
「この間は、バナナのお届けどうも有難うございましたー!」
「……あれは重かったきゅぴ……」
「あ、あのね、近いうちに又今度はバナナ5箱、バマゾンさんに
作品名:zokuダチ。セッション13 ジャミ公の夏休み(?)編・1 作家名:流れ者