zokuダチ。セッション13 ジャミ公の夏休み(?)編・1
頼むのでお届けお願いしまあーす!」
「ぎゅ、……ぎゅっぴ……」
「ご、ごめんよ、じゃあ、僕らはこれで……」
「じゃあね、チビちゃん!」
マモルは慌ててゆうなを連れ、その場を去って行った。
「ぴい~、ジャミル、どこにお出掛けしたのかな?アイシャなら
いるかなあ……、ぴきゅ?」
更に前方から、影の薄いピエロが走って来た。
「ほっ、ほっ、ほっ……」
「……ポナルどさん、何で走ってるの……?」
「はっは!ポナルどじゃないよ!ドナルドだよ!ハハっ!」
「ぴい……」
「筋肉を鍛える為に特訓しているんだよ!ドナルドマラソンだよ!
大分筋肉が付いたと思うんだけど、見てくれるかな?」
ピエロはそう言って、服を脱ぎ、逞しい筋肉をチビに
披露しようとする、が。
「どうだい!?……あら~?」
「……ぎゅっぴーーっ!!」
ドナルドの筋肉処か、いつものタプタプ脂肪腹全開、下半身には
何も履いておらずで、チビは怯えて逃げていってしまった。
「おやー?おやおやー……?何で逃げるのかなー?」
「はあー、恐かった……、……そうだ、次はアルのお部屋に
行ってみよう……」
チビはふよふよ飛びながら、アルベルトの部屋を目指す。と、
エントランス付近に女の子3人が集まり、何やら揉めていた。
魔法ガールズだった。
「食べてないよ、私、食べてないったらあ!」
「……昨日の土曜日、午前中部屋にいたのは、はーちゃん
だけだったでしょ!」
「リコ、そんなに怒らなくても……」
ちなみに、此処のマンションでグループで部屋を借り、共同で
住んでいるのは、まほプリ組、野原ファミリーである。
どうやら、昨日、みらいの元に届いたお中元のみかん一箱が
急に部屋から消えたらしい。と、いう事であった。それを今頃に
なってはーちゃんがみらい達に口を割ったらしかった。
「ぴ、ケンカ駄目きゅぴ……、やめて……」
「あっ、チビちゃん、こんにちは!」
みらいがチビに手を振った。
「みらいっ!今は大事な話をしてるんだからっ!あ、ごめんなさいね、
チビちゃん、私達、今取り込み中で……」
「チビちゃーん、聞いてよーっ!部屋に置いてあったお中元のみかん、
箱ごと急に消えちゃったの、……全部私が食べて箱だけ捨てたんじゃ
ないのって、リコが言うのっ!幾ら何でも私だって箱ごとなんか一人で
食べないよーっ!」
「……じゃあ、何で消えたのよ!おかしいじゃない!」
「ぴきゅ……」
チビが困っていると、女の子の匂いに釣られたのか、何かやって来た。
「やあ、レディ達、何を揉めているんだい?喧嘩は良くないぞ、
このオレに話してごらん?万事解決するぜっ?」
(……かっこつけマン来たきゅぴ、ちょっと齧りたいぎゅぴ……)
「ジタンさんには関係ないですよ、私達の事ですからっ!すぱっと
こっちで解決しますっ!」
「おお、リコ……、麗しいぞ、きっぱり言い切る君はやっぱ
かっこいいなあ~、ねえ、今度オレとデートしてよ!」
……結局、やはり目的はそっちの方らしい。
「とにかく私は……、みかんが消えた原因を知りたいのよ、みかんが
消える前ははーちゃんは何してたのか……、それも知りたいだけ!
私だって、はーちゃんがみかん全部一人で食べたなんて思ってないわよ……、
それは冗談だから……」
「……オレを無視しないでェ~……」
「ぴきゅ、昨日、皆の処にチビがお届けしたおちゅーげん?」
「うん、そう!私、確かにチビちゃんから受け取って、部屋に
持って行ったの、みらいのお婆ちゃんからだったよ、代表で私が
受け取ってハンコも押してちゃんとお部屋に運んだんだからっ!」
はーちゃんは両手を広げてオーバーに話した。
「その後、みかんが消えちゃったんだよねえ?」
指を口元に当て、みらいも不思議そうな顔をした。
「あのね、……もう夏なのに焼き芋屋さんが来たの、珍しいでしょ?
だから、つい……、それでね、焼き芋屋のお兄さん、喋り方が
面白かったんだよ!……イーモダーァ~、ウ~ィエエエエ……、
ハーヤークシナイトォォォイオイヨイヨ、……って」
「はーちゃん、それで外に出て行ったの……?」
リコが呆れた顔をする……。
「だ、だけど、その間にみかんが箱ごと無くなるなんて
普通思わないよ、もしもマンションに不法侵入者が入ったの
なら、誰かが見てる筈だからだからすぐに分ると思うし……、
でも、お婆ちゃんから、みかんは送ったって連絡は受けてたから……、
土曜日には届く筈よって……」
「……謎の、みかん紛失事件か……」
魔法ガールズとジタンは頭を抱える……。
(……?くんくん、くんくん、このニオイ……、分ったきゅぴ、
皆に分からない様に、黙ってこっそりお部屋に入れる……、こんな事
出来るのは、どう考えても……)
「チビちゃん、何処行くの?」
はーちゃんがチビに聞いた。
「ちょっと待っててね、すぐに戻るから……」
チビは怪しいニオイのする方向を目指して飛んで行った。
「このマンションの何処かのお部屋に犯人が隠れてるきゅぴ……」
チビのお散歩 2
「ぴ、ぴ、ぴ……、此処のお部屋かなあ……?……違う、此処は
ポークのおじさん……」
それではブタである……。
「ぴい~?」
ホークの部屋から、いつもと違う泣き声と、罵声と悲鳴が聞こえて来た。
少し気になったので、部屋の隙間から様子を窺うと、知らない
小太りのおじさんとホークが酒を飲んで酔っ払い、肩を組んで
おいおい泣いていた。側にはゲラ=ハもおり、二人の対処に呆れて
困り果てている様子……。
「きゅぴ、何だかお邪魔しない方がいいみたい……」
チビはホークの部屋から離れる。ちなみにホークと一緒に酒を
飲んでいたのはホークの宿敵、ブッチャーであり、チビは知らない……。
「モフ?チビちゃん、何してるモフ?」
モフルンがとてとてと、チビの側にやって来た。
「ぴい、みらいちゃん達の処から盗まれたお中元のみかん、犯人が
此処のマンションの何処かに隠れてるきゅぴ、チビ、犯人捜すの!」
「モフーっ!すごいモフー!モフルンも一緒に探すモフ!」
「ぴ、じゃあ一緒にお部屋回ろ?」
「モフ!」
心強い?助手も加わり、チビは次の部屋を探す。
「今度は、ここ!」
「モフ?……お化粧くさいにおいのお部屋モフ……」
「入る、入る、どんどん入るぴい!」
「モフモフモフ!」
チビとモフルンは構わず部屋に入って行く。其処はバーバラの
部屋であった。しかし、現在、部屋の主はおらず、代わりに
いたのは……。
「……ぬひええ~……」
「きゅぴ、……赤ちゃんきゅぴ……」
ひまわりである。ちなみに、チビはまだ、ひまわりの事を
良く知らず……。
「ひまわりちゃんモフ、何してるモフ?」
ひまわりはバーバラの化粧箱から、化粧道具を引っ張り出し、
メイク中であった。鏡を見ながら化粧した自分の姿に見惚れて
いるらしく、チビ達にも気が付かない。
「何か怖い……、ぴ、他のお部屋行こう……」
「モフ!」
2匹はきゅぴきゅぴ、モフモフと、別の部屋を探す。
「今度は此処!」
チビは器用にドアノブを回した。
作品名:zokuダチ。セッション13 ジャミ公の夏休み(?)編・1 作家名:流れ者