zokuダチ。セッション13 ジャミ公の夏休み(?)編・1
「♪ふんふふ~ん、ふふふ~ん……」
今度は近藤の部屋らしかった。
「……くさいにおいがするモフ……」
「ぎゅっぴーーっ!……此処にもいない、行こう!」
「モフ!」
チビは急いでドアを閉めて撤退する。近藤は又も全裸で着替え中であり、
チビ達はうっかり近藤の生ケツを見てしまったのだった。
「……なんや?今物凄い、失礼な言葉が聴こえた様な、
気の所為やろか……?」
「此処のお部屋はどうかな、ぴい?」
「ねえ、ユリアン……」
「……な、何だい?……エ、エレン……」
次はエレンの部屋に、ユリアンが呼ばれている様子。
「何だよ、急に呼び出すなんてさ、は、ははは……、エレンも……、
漸く分かってくれたのかな、……俺の気持ちに……」
「アンタ何言ってんの、……早くとっとと練習相手になってよ!
……アンタもさっさと構えんのよっ!ホラっ!」
「……え……、エレン……さん……?」
エレンは飲んでいたコーラを置くと、さっと身構え、戦闘スタイルの
構えをとった。
「新技の練習台に呼んだんだけど?でなきゃ、ユリアンなんか
用はないわよ!」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ……、エレンさん……、ちょっと待っ……、
……ぎゃあああああーーっ!!」
「……此処にもいないきゅぴ、……次行こう……」
「モフモフ!」
「次は2階行ってみるきゅぴ!」
「行くモフーっ!」
……みかん窃盗の犯人捜しより、もはや、突撃!あなたのお部屋
お邪魔します状態になっている。
「……それではこれから、夏のお仕置き座禅修行会を行います……、
まずは、こむぎ、いろは、……美奈子……、前に出なさい……」
「ユキ~、そのでっかいアイスのぼうみたいなの……、どうするの?」
「ユキちゃんっ!?……な、なんか、言葉遣いも変わってない!?」
「ごめん、こむぎちゃん、いろはちゃん……、美奈子ちゃん……、
ユキ……、昨日テレビで見た、密着、お寺の尼さん24時間!……に、
影響受けちゃったみたいなの……」
「ちょっと!何であたしもなワケっ!?……おユキちゃんっ!!」
猫屋敷ルームに集められ、何やら女の子達が正座させられている。
こむぎ、いろは、美奈子……、の、系3名。そして、3人の側で
仁王立ちし、めっ!をしている、人間化後、急に最近壊れて
来たらしい、ポンコツユキとオロオロ、見守っている相方のまゆ……。
「近頃の皆さんは日々悪戯ばかりし、欲望と煩悩に明け暮れている
様子とお見受けしました、今日はそんな気が抜けている皆さんを集め、
少し精神を鍛え直して差上げるべく、……この猫屋敷ユキ、立ち上がる
事に致しましたの……」
「ユキだって、ヨクボー?だらけでしょっ!こむぎみたもん!
きのう、おへやでこっそりひとりでミルクのアイスクリーム
たべて、ほやああ~っ……♡って、なってて、すっごくしあわせ
そうなかおしてたでしょっ!」
「んまあッ!?ユキちゃんっ、アンタってコはっ!」
「……ユキ?一人でアイス食べたんだ、……私を置いて?
……ふう~ん……、そうだね、私が手芸道具買いに行ってた
時間かな……、ユキ、その時は猫のままでお昼寝してたから……」
「あの、……ユキちゃん?」
「……それとこれとは話が別です、てか、こむぎ、よくも
覗き見したわね、……さあ、気を取り直して、修行を開始します!
お覚悟は宜しくて!?」
「……なにがべつなのっ!いったーーっ!」
「かーつ、かーつ、……かーつ!ニャンっ!!ニャニャニャ!」
手始めに、こむぎが精神棒で肩を叩かれ、その後、美奈子、いろはと……。
「さあ……、しっかり修行をしましょう、これも……、
プリキュアとしての試練……」
「じゃあ、こむぎもユキをしゅぎょうしてあげるっ!ユキばっかり
ずるいよっ!こむぎもおぼーさんになるっ!」
「ちょ、止めなさいっ、こむぎっ!……フギャーーっ!!」
現場は既にしっちゃかめっちゃか。……いつもの事であるが。
チビとモフルンは、恐ろしい光景を暫く覗き見していた……。
しかし、もう一人と一匹、この光景を覗き見している者が。
「……犬飼さん、が、頑張れ……、君ならきっと、どんな厳しい修行も
乗り越えられるよ……」
「……(フッ、相変わらず皆アホだぜ……、そこが個性的で
いいんだがな……)」
「次行こう、きゅぴ……」
と、2匹がその場からそっと去ろうとしたその時。現場が更に
大混乱する事態が起きた。
……ぷうう~、ぴい~ぷう……
「ぴ、出ちゃったきゅぴ……」
「モフ~?」
「今、おならをしたのは……、美奈子かしら……?」
「ちょっ!まーたアタシに振んのっ!?アタシはジャミ公じゃ
ないってのよっ!」
「……この中で一番やりそうなのは、ズバリ、美奈子しか
いないからよ……、では、行きます……!お覚悟は宜しくて?」
「……だから宜しくないってのヨッ!」
「……何か、凄い事になっちゃったきゅぴ……、でもチビ知らないっ!
次いこいこきゅぴ!!今度は隣のお部屋に行ってみよう、ぴっきゅきゅぴ!」
「モッフーっ!」
チビとモフルンは騒動を起こしたまま、猫組勢の部屋から離れ、
住人がいそうな部屋を探して移動してみる。
「次はこの部屋見てみるモフ!」
2匹が次に覗いてみたのは、野原家ファミリールームであった。
夫婦のみさえとひろしがお茶を飲んで寛いでいる。
「ハア、今日はしんちゃんとボーちゃんが風間君達と遊びに
行ってくれてるから静かね……、恐ろしいほど……」
「本当だな、……玉にはこんな時もないとなあ……」
どうやらしんのすけとボーちゃんは今日は出掛けているらしく、
姿が見えない。
「ねえ、しんのすけが本格的に夏休みになったら、ジャミルさんの
処に預かって貰って遊んで貰いましょうか?あのお兄さん、年中無休
だからホント、助かるのよーっ!」
「そりゃいいなあ、……俺らも、ちったあ寛げるか……」
「でしょーっ!」
……内緒で恐ろしい事を目論む夫婦。……ひまわりが又勝手に
脱走したのにも気が付いていない様である……。
「ねえ、処であなた……、ん、……ねえ~ん、夏のボーナスの
事なんだけどお……、私、新しい健康器具が欲しいわあ……、
又体重増えちゃって……」
「聞こえな~い!……オラあ、何も聞こえない……」
「……あなた~っ!!」
「多分、此処にもいない、……次行こう」
「モフっ!」
「ぴきゅ、思い切って……、今度は3階に行ってみるきゅぴ!
もしかしたら犯人さん、3階に隠れてるかもしれないぴー!」
「じゃあ行くモフ!」
……いい加減な推理お騒がせコンビ、等々3階へ進出する。
「……ぴい~……」
……3階はシーンと静まり返っている。今、3階に住んでいるのは、
最近、異世界から事故で越して来た、シトロ村4人組だけである。
しかし、好奇心旺盛な若いシグ達4人が日中じっとしている筈なく、
いつも揃って出掛ける事が多い為、本当に嘘の様な静けさだった。
「ぴ、くんくん、くんくん……」
チビが飛んで回り、においを嗅ぎ始めた……。
「反応あったモフ!?」
作品名:zokuダチ。セッション13 ジャミ公の夏休み(?)編・1 作家名:流れ者