zokuダチ。セッション14 ジャミ公の夏休み(?)編・2
(……これで、何とか人間不信が治ってくれるといいんだけどなあ~……)
「……ああ、ジャミル、少し待ってくれ、もうちょっと話が……」
「ん?何……」
此処で階段を降りようとしたジャミルを呼び止めたのが
いけなかったのか……。
……ぷううう~……
「や、やべっ!……詰まってるからものすげーくせー!うわ……!」
つい、ガラハドの前で一発、……した本人が焦る程のを
してしまったのである。
「……な、なにおするー!きさまーーっ!!うがーーっ!!」
「だから自然現象なんだよーっ!勘弁してくれーーっ!」
「……等々あいつも此処を動き回る様になったか、まあ、玉には
あの馬鹿も役に立つ事をするな、フ……」
ガラハドの引き籠りはジャミルのお蔭でどうにかなりそうで
あったが……、ジャミルは怒り狂ったガラハドに追い掛け回され、
……マンション中をマラソンする事態になってしまったのであった……。
ガラハドユルユル生活
「……いるか?別に貴様など用はないが、話がある、出て来い……」
部屋でピーナッツを齧っていたジャミルは部屋を訪れたグレイに
相変わらずつっけんどんな態度を披露させられ、カッとなるが、
仕方なしに部屋から出て来る。
「やっぱお前か……、用があるのか、ないのか、結局どっちなんだ……」
「貴様に用はない、だが、話はあると言う事だ」
「……はあ、で、何だい?」
「又、ガラハドの事だ……」
「お前の連れか、又何かやったのかい?」
「……あいつはどうも生真面目すぎる、此処ではそんなに
遠慮する事もないだろうに、貴様にまでまだ、何となく態度が
低い様だ……、もっと図々しくなって貰わないとな……、
そこでだ、あまり頼みたくはないが、貴様に課題を押し付けに
来た……、普段頭を使わないお前も頭が働くだろう、感謝しろ……」
……一体何を言いたいのか、……しかし本人は言いたい放題であり、
ジャミルは段々頭に血が上ってきた……。
「簡単に言えよ、要するに、俺ん処に奴を押し付けたいのか……?」
「フッ、そう言う事になるか、普段から砕けている貴様の生活を
参考にリラックスさせるのも奴の為にいいかと思ってな、どうも
生真面目すぎるからな、まあ、余りお前の処に居座らせるのも限度も
あるが……、完全なアホになったら困るのでな……」
グレイはベラベラ喋ると去って行った。彼が去った後、
ジャミルは部屋で一人、壁にまくら投げをしていたという。
「……キーっ!キィーーっ!!」
「はあ、ジャミルうるさいなあ~、又何かあったのかなあ~、
何か暴れてるみたいだけど、特撮の怪人じゃないんだから……、
オイラの部屋、隣なんだからさあ、静かにしてよお~……」
お隣さんは呆れた様に毛布に顔を埋めて潜り一眠りする。
……それから数日後、ジャミルの部屋にガラハドが訪れた。
「よう、まあ、上がれや……」
「うむ、悪いな、何だか知らんが、グレイに少しお前の
生活態度を観察して一息ついてみろと言われた物でな、
何だか知らんが……」
「……あんまりあいつのいう事は鵜呑みにしなくていいから、
それよりもゆっくりして行けよ……」
「ああ、失礼する……」
しかし、こんな糞真面目の堅物、軽い性格の自分がどうやって
相手をすりゃいいんだよと、……ジャミルはグレイを恨みつつも、
取りあえずお茶をガラハドに淹れ、自分はタバコを吸った。
「……若干、お湯が温い様だ、それにこれでは茶葉も出がらしだろう、
……ジャミル、客人に茶を淹れる時はこの様な行為は避けた方がいいぞ、
あーだこーだ……」
「……あのさ、あんたのそう言うとこを、若干抑えさせろって、
あの糞ラーメン馬鹿頭に言われたんだよ、頼むから黙って
座っててくれや……」
「……す、すまん、つい、癖でな……、俺は曲った行為は苦手なのでな……」
「これ、つまみに煎餅、食べていいよ……」
「申し訳ない、では頂こう、うむ、……煎餅を齧る時はなるべく音を
立てない様にと……、……」
ジャミルは頭が痛くなって、頼むから早く今日が終わってくれと
切実に祈る。そして、特に会話もないまま、二人は睨み合いを続け
1時間の沈黙が流れる。漸く時刻はお昼になった。……面倒くさいので、
お昼はテンヤモンにしてしまえと電話帳で適当に良さげな店を探す。
「いつもなら大体、コンビニで済ませんだけどな、夕飯もだけど……」
若干、月末の募金のお零れが有る為少しは贅沢も出来る状態でもあった。
「……ジャミル、君はいつも食事は外注なのか?」
「玉には気まぐれで簡単なモン作る事もあるけどな、めんどくせーし……」
「いかん、いかんぞ……、怠けては……、何でも自分で苦労して
作るからこそ喜びが有り味わいがある、さぼっては駄目だぞ!」
「……だ~ってよ~、アンタ客人じゃん!俺だってちったあ
気ィ遣ってんだよ!畜生!今日は生寿司を取るからな!」
……ちなみに、客人がダウドだとお昼にはほぼ激安カップラーメンの
場合が多い。
「そうか、では俺は遠慮させてもらう、こんな真昼間から贅沢に
寿司など食えん、……いいか、贅沢は敵だぞ、ジャミル……」
「何だっていいんだよっ!あーっ、もしもし!?偶々寿司ですか!?
……あ、違う……?電器屋、……すいません、間違えました……」
「ジャミル、アンタは少々落ち着きが足りない様だ、……間違い
電話は大事な用の時に人様に大変な迷惑を掛けてしまう事も
有るのだ、……もう少し周りを見てだな……」
ガラハドがジャミルのやる事に対して次から次へと説教を始める。
ガラハドをリラックスさせろとグレイが押し付けて言ったのが、
やはり立場が逆になってしまったのだった。
「……何が俺に対して態度が低いだ、……全然容赦してねえじゃねえか……」
コンコン……
「はいよー、今行くよー!」
ドアを開けると、アイシャが立っていた。
「こんにちは……、ジャミル、あ、ガラハドも来ていたのね、
珍しいわね!」
「……客人はアイシャか……」
「おー、アイシャっ!」
救いの女神様、アイちゃん登場である。
「これ差し入れ、お昼まだなんでしょ?おすそ分けよ!」
アイシャが袋に入ったブツをジャミルに手渡そうとする。それを見た
ジャミルは……、何となく後退りする……。
「……えーと、これ……、自分で作ったんか?」
「そうよ、当たり前でしょ、おむすびよ、自分の分も作ろうと
思ったんだけど、材料が足りなくなっちゃって、私はいいわ、
丁度いいじゃない、二人で食べてね!」
「アイシャは偉いな、いい嫁さんになれるぞ、……ジャミル、お前も
見習ったらどうだ……」
「えへへ!ガラハドったら!お世辞でも嬉しいな!じゃあ、私、
これからバーバラ達とお買い物だから!じゃあね!」
「……あ、まいったな、こりゃ……、しかし……、ううーーっ!!」
アイシャはおにぎりを置いて去って行く。ジャミルは彼女の作る
破壊料理を知っているので……、好き勝手な事を口走るガラハドに
いい加減頭に来ていた……。
「良かったな、ジャミル、アイシャの手作りだ、……どうした?
作品名:zokuダチ。セッション14 ジャミ公の夏休み(?)編・2 作家名:流れ者