ゆゆゆの日々。たまにちけふとおかーさん
17.トングカチカチ鉱脈
ゆ「パン屋さんでさ、みんなトングカチカチするじゃん」
縁「あ〜、する〜」
ゆ「あれ、絶対トングから命令されてるよね」
唯「そんなわけないだろ」
ゆ「もう、唯ちゃんわかってないなあ」
唯「いや、トングがちゃんと動くか確かめるとか、そんな理由だろ」
縁「え〜、唯ちゃん、違うよ〜」
唯「縁も?!」
ゆ「唯ちゃん、私らもそうじゃないことはわかってる。でもここ、鉱脈っぽいから続けさせて、ね?」
唯「……しょうがないなあ」
縁「トング、やっぱりカチカチされたいのかな〜?」
ゆ「そのために作られてるからねえ」
縁「きっと、犬が頭を撫でられる感じで気持ちいいんだろうね〜」
ゆ「うん。『ニンゲンだ、ひゃほーい。もっとカチカチしろっ』みたいな気持ち、あると思います」
唯「…………」
ゆ「ほら、唯ちゃんもなんかあるでしょ。カチカチさせたいトングの気持ちを慮ってみなよ」
唯「……パン以外のものも挟みたい、とか」
ゆ「あー、あるかもしれません。たまにはパスタを挟んでネジネジに盛り付けたいとか、取り放題のケーキやサラダを挟みたいとか」
縁「トングもいろいろな経験をして、大人になっていくんだね〜」
ゆ「そして、いつか壊れて廃棄される」
唯「ゆずこさん、見つけた鉱脈、勝手に閉じないでください」
作品名:ゆゆゆの日々。たまにちけふとおかーさん 作家名:六色塔