ゆゆゆの日々。たまにちけふとおかーさん
34.工場長を訪ねて三千里
ゆ「あ、お菓子落とした」
唯「ほら、ティッシュ」
ゆ「ありがとう」
縁「…………」
唯「縁、どした?」
縁「お菓子、やっぱり逃げたかったのかな……」
唯「いや、ゆずこが単に大雑把だっただけだぞ」
ゆ「むー。ちゃんと取りましたー。お菓子が逃げたんですー」
縁「お菓子にも、やっぱり帰る場所と家族があるんだね」
唯「袋の中、みんな兄弟姉妹だと思うぞ」
縁「きっと、母に会いにお前だけ言ってこいみたいな」
ゆ「俺たちは食われてもいい。けどお前はなんとしても母に会うんだ!」
縁「お菓子もがんばってるだね……。グスン」
唯「ああ、もう。そんなのないから、食べていいから」
ゆ「唯ちゃん、だめだよ。ここはきちんとお菓子を開発元に送り届けなきゃ」
唯「だってこれ、製造したとこ遠いぞ」
ゆ「リアル母をたずねて、だね。三千里はさすがにないけど」
唯「だいたい母、というか工場長?、に会わせてどうすんだ。下手したら怒られるぞ」
縁「いや、絶対に感動の再会だよ!」
唯「うーん。そうはならないと思うけどなあ」
ゆ「唯ちゃん、いいことをするまたとないチャンスだよ。歩いて行こう、母の元へ」
唯「歩くの? その間の食事とかどうすんだよ」
ゆ「ん? このお菓子食べちゃおう」
唯「じゃ、行く意味ないだろ!」
縁「あははははは」
作品名:ゆゆゆの日々。たまにちけふとおかーさん 作家名:六色塔



