ゆゆゆの日々。たまにちけふとおかーさん
10.大声出して走り出す
ゆ「唯ちゃんはさ、突然、大声出して走り出したくなったことある?」
唯「ありません」
ゆ「ないかぁ、まだまだだね」
唯「なんで上から目線?」
縁「ゆずちゃんは突然、大声出して走り出すプロだもんね」
ゆ「はい、そうです」
唯「それ、偉いの?」
ゆ「プロですから」
唯「おまえが大声出して走り出すの、見たことないけど」
ゆ「プロですから、簡単には見せません」
縁「でも、こないだのはすごかったよねー」
ゆ「あれは私の才能が存分に出ちゃったかな」
唯「へー、縁には見せてんだ」
ゆ「ん? 嫉妬しちゃった? 唯ちゃんも見たい?」
唯「いや、別に」
ゆ「もー、唯ちゃんのその自分にすぐウソつくとこ、良くないよ」
縁「ねー」
唯「いきなり叫んで走るだけだろ、別にいいよ」
ゆ「わかってないなあ、そこに技術を込めるのがプロなんだよ」
唯「……じゃあ、見せてみろよ」
ゆ「え?」
唯「この蒸し暑い中、登校中の女子高生がいきなり叫んで走ってみせろよ、プロなら」
ゆ「あぁ……、うう」
唯「そう言えば、少し先に交番もあったな」
ゆ「唯ちゃん、あのね……」
唯「できないんだな?」
ゆ「……はい」
唯「プロでもないな?」
ゆ「はい」
唯「ったく」
ゆ「でも、唯ちゃんに怒られるのはプロ級だよっ」
唯「めげないなあ、おまえは」
縁「あはははははは」
作品名:ゆゆゆの日々。たまにちけふとおかーさん 作家名:六色塔