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zokuダチ。セッション15 ジャミ公の夏休み(?)編・3

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戯れてる幸せな夢を見るんだ……、は、ははは……」

諦めきっているジタン……、涙目になり、尻尾にも勢いがなくなっている。

「ぎゃあーーっ!やだやだやだーーっ!!肉食べてえよーっ!!」

「ワイもいややーーっ!!ママの作ったハンバーグ食べたいねん!!」

起き上がったシグと近藤、再びひっくり返って大暴れする……。
            
「……うるっせーな、おめーらはっ!苛々してんのは皆同じなんだよ!
おい、犬っころ!こいつ何とかしろよっ!!……犬っころ……?」

「もう、いい……、何もする気になんねー、おれっちはもう、疲れた……」

ジャミルが丸井の顔を覗き込むと、すでに意気消沈しており、気力も何も
無くなっている様子であった……。

(やばいな、こりゃ、犬ころでさえ気力がなくなり掛けてる……)

「……みんな、頑張ろうよ、あと半日我慢すればマンションに
帰れるんだから……、半日だよ……」

「そうは言うけどよ、その半日がどれだけ長いか……、それに午後、
又何か違う無茶な押し付け修行出してくるか分かんねんだぞ、アル……」

「それはそうだけど……」


……きゅぴーーっ!ごめんくださあーーい!!


「……この声、チビだっ!」

チビの声に反応し、ジャミルが本堂の外へと飛び出して行った。

「チビっ!配達か?」

「ぴいー?あ、ジャミルっ!どうして此処にいるの?
会えたのは嬉しいけど、チビ、とっても不思議だよおー!」

チビは本当に不思議そうな顔をして尻尾を振ってきょとんと
首を傾げた。

「話すと長くなるんだけどさ、色々とな……」

「そうなの、お中元シーズンだからチビも色々お届けしてるんだよ、
ハンコ下さい!」

「ハンコか、ちょっと待ってろ、住職に聞いてくら……」

ジャミルはハンコを借りに、本堂から廊下を経て、住職の部屋を
探し回る。

「……?こんな寺の中から……、微かにステーキの匂いがする、
……おかしい、俺の勘違いか……?腹減ってるからな……、い、
いいや!俺に限って間違いはねえ筈だっ!!」

……匂いのする方向を頼りにし、ジャミルは寺内の廊下を
歩き回るのであった……。


真夏の体験学習編 3

「此処だ、この先の2階から微かにステーキの匂いがする……」

ジャミルは怯む事なく、階段を上がって行き、そして誰かいるらしき
部屋を見つける。

「住職さんかい、いるんだろ?」

「……ひ、ひっ!こ、こんな処に何の様ですかな?儂も休憩中なのです、
邪魔せんで貰いたい物です、下に降りなされ、早くっ!!」

何となく、住職は慌てている様な……、そんな喋り方であった。

「俺だってどうでもいいんだけどさ、郵便の宅配ブツが来てんだよ、
ハンコくれよ……」

「……そんな物サインで済ませ!さあ、早く下に降りよ!」

「ちっ、分ったよ……、仕方ねえな……」

ジャミルはしぶしぶ階段を再び降りるが、やはり住職の様子が
おかしいのにうすうす感づき始めていた……。

(絶対にあの爺……、ステーキ食ってる……)


下に戻ると、チビも本堂に来て、皆と遊んでいた。チビは丸井の
黒い鼻の穴が気になる様で必死に探している様子であった。

「……チビ、爺がハンコ貸してくれないんだよ、ボールペンの
サインでいいか?」

「ぴ?ジャミル、爺なんて言っちゃ駄目だよ!此処のおしょーさんはね、
凄く優しいんだよ、チビ、いつもお寺にお手紙とかお届けに来るけど
配達ご苦労様って、いつもあんこのお餅くれるんだよ!」

チビは丸井の鼻の穴観察から離れると、ジャミルの処に飛んでくる。

「助かった……」

チビから解放された丸井はほっとするのであった。

「ぷっ……」

「笑うんじゃねえええーーっ!……近藤ーーっ!!」

「……あいたーーっ!!」

「ははは、何か元気が戻ったみたいだな、ははは!」

ユリアンがアホ笑いをする……。

「……オレは無理だ、可愛いレディがいなきゃ、元気が出ない……」

「オレもっ!!焼肉食べたいっ!!」

シグも不貞腐れる。煩悩制御修行は全く効果が出ていない……。

「優しいとか嘘言うなよ、……みんな午前中、爺に棒でばしばし
頭とケツ……叩かれたんだぜ……?」

伝票にボールペンでサインをしながら虚ろな目でジャミルが
チビの方を見る。

「うそっ!うそうそうそうそっ!おしょーさんそんな事しないよお!
……ジャミルのバカっ!!……びいいい~っ!!」

チビは怒って泣きながら、今度はアルベルトの処へ……。

「チビ、……よしよし、何かの間違いなんだね、チビはそう
言いたんだろう?」

アルベルトが優しくチビを撫で、宥めた。

「びい……」

「……だってさあ、なあ……」

「……」

ジャミルは困って他の被害者の皆さんに同意を求めると、
皆揃って頷き、……複雑そうな顔をする……。

「チビが今日の前にお寺に来たのは何時なんだい?」

「……一週間前きゅぴ、その時は冷たい水ようかん食べさせて
くれたの……」

「一週間前か、成程……」

「ぴ?待って、……くんくん、くんくん……」

「チ、チビ、……一体どうし……」

「しっ、アル……」

チビは急にアルベルトの手から離れると本堂を飛んで回り、彼方此方
くんくん、ニオイを嗅ぎ始めた……。

「……このにおい、おしよーさんのにおいじゃないよお、くさいよ……、
腐ったたくあんの臭いがする……」

「何ーーーっ!?」

「ま、待って、待って、……つまり、……あの爺さんは、偽物……、
って事か……?」

ユリアンが頭を抱え混乱しはじめる……。

「チビ、……もう少し頑張ってみる、……おしょーさん、何処……?
何処にいるの……?」

チビは全神経を集中させ、本物の住職の気を探している様であった。

「ぴ……」

「な、何か分ったのか……?」

「かすかにだけど……、地面の下から……」

「じ、地面……!?だと……」

「そ、それはつまり……、あれでっせ、……本物はんは……、
もしかして、もう土の下に埋められ……ひいいー!!」

丸っこい近藤の顔が急に細くなり、ムンクの叫び状態になった……。

「いや、それはねえ、チビは爺さんが生きてるのが分るから……、
気を感じる事ができんだよ、どっかにいる筈なんだ……」

「……あっ、やばいぜ、もう時間が……!休憩時間終わっちまうぞ!!」

時計を見たジタンが慌て始めた。時刻はもう12時40分を回っている……。

「……チビ、何とかして本物のおしょーさん探すよお、だから皆、
それまで頑張って修行してて……」

「おいおい、けど、チビ……、お前仕事の方大丈夫なんか……?」

「今日の分の荷物のお届はみんな済んだから平気だよお」

「そうか、なら……、丸井、近藤、お前らもチビと一緒に本物の
住職を一緒に探してやってくれ、頼む!……爺さんの無事が
確認取れるまで俺らは何も知らないフリしてた方が無難だ……」

「よし、おれっちに任せな!」

「お供しまっせー!」

「きゅぴっ、2人とも行くよお、チビに付いて来てね!」

チビと2人は本堂の外に出て行き、こうして、本物の住職探しの
捜索隊が出動した……。