zokuダチ。セッション15 ジャミ公の夏休み(?)編・3
主催になって俺達の為に、寺修行ご苦労さん打ち上げ会を立ち上げて
くれたらしいんだ……」
シノン組と肉を焼いていたユリアンも、ジャミルの姿に気づくと、
すっ飛んで来た。
「……ホークとバーバラが……?俺達の為に?あのケチが……?」
「ケチなんて言うなよ!……やっぱいい女は考える事が違うぜっ!
バーバラお姉さまあ~ん……!」
「そうだぞ!肉くれる人に悪い奴はいねえんだぞ!」
ジタンは尻尾をぴんぴん立て、そして、肉を齧るシグの姿は、
まるで餌付された犬の様である。やがて、ジタンはダガーに
耳を引っ張られ、シグもマリカに仲間の処へと、連れ戻されて行った。
「グレイさんはドコッ!?美奈子が焼いた愛情たっぷりのお肉を
あーん♡させるんだからッ!……グレイさあ~んっ!」
「よお、アルテミス、オメーも相変わらず苦労してんだな、猫の癖に」
「ジャミル……、何だったらウチの美奈……、お嫁さんに貰うかい……?」
アルテミスは遠い目でジャミルを見た。ジャミルは勘弁とばかりに
スタコラその場を去る。
「……此方スネーク!良質肉感知!よし、獲物捕獲まで後数秒!」
と、ジャミルの横を、巨大な段ボールがガサガサと通って行った。
「あいつも何やってんだよ……」
「バナナー!バナナも焼いちゃおうー!」
「ゆ、ゆーなっ!バナナは焼いちゃ駄目なんだったら!」
此方も滅茶苦茶である。バナナ好きが度を過ぎ、バナナを串に刺し焼いている。
その様子を見て、突っ込み担当のマモルは肩を落とす。
「はーっ!じゃあ、みかんも焼いてー!焼き串みかんっー!」
「……はーちゃんもっ!いい加減にしなさいっ!!」
此方もである。はーちゃんはみかんを焼こうとし、リコに注意される……。
だが、皆、それぞれ好き勝手で、実に楽しそうであった。
「いいねいいねえ!俺こういう雰囲気大好きだよ!んー!」
「……おっさん、アンタもフラフラ何してんだよ……」
ペンとノートを片手にラグナがウロチョロ歩き回っていた。
また自身の仕事の雑誌取材の様であるが。
「今度、ウチのマンションの皆さんの日常体験を取材で
奥様系雑誌に書くことになってさあ、マンションの宣伝にも
なって一石二鳥でお客も増えるかもしんねよ!」
「はあ……」
「んじゃね、ジャミちゃん!」
ラグナはふらふらとまた歩いて行ったが。直後、石につまづいて
グリコのポーズになり、勢い止まらず何処かに走って行った。
「大丈夫かよ、……何処かのテーブルにでも突っ込まねえと
いいんだけど……、?こっちの組はと……」
「な、なあ、ダガー……」
「はい?」
「その、……やって欲しいなあ、……お口開けて、あーん……、とかさ、
……ダメ?」
ジタンはテレテレ頭を掻きながらダガーの方をちらっと見る。
「もう……、ジタンたら、今日は特別よ、はい……」
「おおおー!ダガーっ!あ、あー……」
もう勝手にして下さい、ラブラブモードが始まりそうであった。その時。
「やっばー!どうも胸がごわごわすると思ったら!出てくる前に
シャワー浴びてそのまんまブラすんの忘れちゃった!
……ま、いいか、もう夜だしね!あはは!誰も分かんないわね!」
「お姉ちゃんたら……、普通忘れないわよ……、女子の大事な嗜みよ……」
「いいのっ!たまにはあたしだってハメ外す事あるんだから!
それよりも、肉肉!サラは痩せすぎなんだからもっと食べなさいっ!
あたしがどんどんお皿に持ってあげる!どんどん太りなさい!
トムっ、じゃんじゃん肉焼いてーっ!ほらほら、無愛想なアンタもっ!
皿貸す!」
「あ、ああ……、ユリアン、お前、鼻血が出てるが……」
「は、はうううーーっ!?ち、違うんだよトム!これはそのっ!
はうううーー!!」
「お、お姉ちゃんたらあー……、本当にもうー……」
「……僕に構わないで……」
「……」
「ジタン、何処を見ているの?……あなたも鼻血が出ているわ……、
これじゃ今日はもうお肉を食べるのは控えた方が宜しいのでは
ございません事……?早く鼻を拭いた方がいいわ……」
「!!ち、違うんだアアッ!ダガあああーー!!これはその、
君に肉を食べさせて貰えると思ったらつい興奮してえええっ!!」
「……知りませんっ!」
言い訳通じず。ラブラブモードから一転、ジタンの発情による噴気ブラブラ
モードになってしまい、はい、あーんしてはお預けとなった……。
「はい!ハンバーグどんどん焼くよーっ!ドナルド特製だよーっ!
……眼鏡デブ親父が邪魔しに来ない内に沢山食べてねーっ!」
「へえ……、おっさんにしては随分と真面な事するじゃない!」
「おおー!うまそーっ!」
「……それにしちゃ、随分と肉が薄っぺらいな……」
「ジェイル……、失礼だよ……」
珍しくピエロが真面な事をしており、シグ達4人組も集まって感心している。
ジェイルが言う通り、確かに焼いている肉はノーマル100円単一の
ハンバーガーの肉で薄っぺらいのだが……、ドッグフード、バナナ、
みかんを焼いていた方達よりは今日はあの変態ピエロが真面に輝いて見えた。
「きゅっぴ!ジャミルっ、来たよっ!」
「おお、チビ……、って、……おおおおっ!?」
「ほほ、今日は儂らまで御招待にあずかりまして申し訳ありませぬのう、
……騒々寺の住職ですじゃ……」
チビとドラゴン集団に護衛された住職も到着する。その姿はまるで
モンハン状態である。
「おお、あんたが住職さんかい?いやあ、その節はウチのマンションの
馬鹿ガキ共がお世話になっちまってなあ……、迷惑も掛けただろう、
悪かったなあ……」
「いやいや、此方こそ、この子達のお蔭で、儂は助かったのですから、
感謝しても感謝仕切れませぬよ、ほほほ……」
チビの頭を撫でながら、住職が微笑み、ホークと握手を交わした。
……その馬鹿共を派遣したの何処のどいつだよと、ジャミルは不貞腐れる。
「うむ、美味い肉だ……、しかし、見ればやはり野菜の減りが
悪い様だが……、これではいかんぞ、野菜も肉も平等に食べるべき
ではないか?なあ、ジャミル……」
「ちょ、何で俺の方みんだよ、堅物ガラハドめっ!」
「う~む……」
「ふっ……」
「って、相変わらずむかつくなあーー!縮れ糞頭!人を小馬鹿にした様な
その笑い方っ!」
「いや、小馬鹿ではないが?……大馬鹿だが?」
ジャミル、キーキーぴょんぴょんジャンプし、グレイに激怒と八つ当たり。
……どうやっても今の処、グレイに勝つのは無理の様である。
「……バーバラ、大変よ、確かにこれじゃお肉が足りないわね、
お野菜ばかり余ってしまってるわ……」
肉を焼いていたクローディアが困った顔をする。
「大きい客が増えたからな、でも大丈夫さ……」
「シフ……?あ、あああ…、成程……」
アルベルトもシフの顔を見上げ妙に、納得した様であった。
「そうさね、よしっ!ジャミルっ!!」
「は、はあ?」
「お客さんが増えたからね、担当責任者!今から追加分の肉を買いに
大急ぎで買い出しに行っておいでっ!!」
バーバラ、ジャミルにびしっと指を付き付ける。
作品名:zokuダチ。セッション15 ジャミ公の夏休み(?)編・3 作家名:流れ者