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zokuダチ。セッション19 冒険編3

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(チビちゃん駄目っ!今は堪えてっ……!)
 
カバンの中で唸り声をあげるチビをアイシャが必死に宥めた……。
 
「いえ、彼もこのまま旦那様に提供するわ……」
 
「……ええっ!?」
 
(ぴっ!?)
 
アイシャもカバンの中のチビも驚きの声を上げる。
 
「おい、ルーゼ、そら本気で言ってんのかよ、冗談だよな?」
 
「いいえ、ゲス、私は本気よ、だって彼は本物の変態だわ、
いいじゃないの、きっと女の子に憧れる夢見るオカマちゃんなのよ、
面白いもの……、旦那様、きっと気に入って下さるわ、顔は結構
イケメンだし、もっと高級なお化粧でもさせたら一層綺麗になるわよ」
 
「何よ、変態って……、酷いわ…」
 
「さあ、そうと決まればあなたもお部屋にご案内するわ、いらっしゃい……」
 
「分ったわよっ!……行ってあげるわよっ!!」
 
言われるがまま、アイシャはルーゼに付いて行った……。
 
「さあ、此処があなたのお部屋よ、衣服はクローゼットの中に
入っているわ、どれでも好きなのを着なさい」
 
「はあ、……何よこれ、女の子の洋服ばっかり……」
 
「あなたはオカマなんでしょ?だったら女の子の洋服を着るのが
当たり前でしょ、カツラはこっちよ、じゃあ、私は仕事に戻るから……」
 
ルーゼが部屋を去ったのち、チビがカバンから顔を出した。
 
「アイシャ、大丈夫……?」
 
「うん、どうにか、お屋敷には入れたけれど、これからどうなるのかしら……、それにしてもこのお洋服、元の姿だったら嬉しいのにね……」
 
「アイシャ、元気出して、チビが付いてる!」
 
アイシャを元気づける様、チビがアイシャの頬をなめた。
 
「ありがとう、チビちゃん……」
 
「ぴい!?くんくん、くんくん……」
 
……と、急にチビが彼方此方匂いを嗅ぎ始めた。
 
「どうかしたの……?」
 
「近くから何となく、ジャミルの匂いする……」
 
「ええっ!……ジャミルがこの近くの部屋にいるの!?」
 
「ぴい、チビ、行ってみる!」
 
「で、でも此処、鍵が掛かってるわ……」
 
「大丈夫!」
 
チビはそう言うと爪を使い、器用にロックされている鍵を外した。
 
「ぴっきゅ、開いた!チビ、ピッキュング!」
 
「チビちゃん、凄いわっ!で、でも……、あの怖い人に
見つかったら……」
 
「……平気、今はあの嫌なおばさんの臭いしないから、
でも、もしも部屋にいきなり来たら大変、だからチビが
お部屋出た後、又、鍵を掛けておくね」
 
「うん……、でも、チビちゃん、どうか気を付けて……」
 
「きゅっぴ!」
 
チビは廊下に出ると、又、爪を使い、元通りに部屋に鍵を掛けた。
 
「ぴ、ぴ、ぴ……、ジャミル、どこ?会いたい、ぴい~……」
 
ジャミルが閉じ込められている部屋を探し、チビは廊下を
ふよふよ飛び回る。……どういう訳か……、今はメイド集団も
不思議と姿が見えず。
 
 
そして、ジャミルの部屋……
 
「はい、おねえさま、横になって下さいな、耳掃除してあげまっす!」
 
「いいよ、んな事より、ユウ、お前平気なんか?」
 
「何がです……?」
 
「何がですじゃねえよ、このまま此処にいたら、いずれは
お前、手籠めにされんだぞ、分かってんのか!?」
 
まだ幼いユウに対して使う言葉ではなかったが、
ジャミルはムキになり、ユウの肩を掴んで揺さぶる。
 
「はい、おねえさまの言ってる事何となく分かります、
でもお家の借金を返せない以上、どうする事も出来ないんです、
私が領主さまのところへお嫁に行くしか……」
 
ユウは下を向いて顔を曇らせる。相手が絶大な権力を持ち、
警察でさえも歯が立たない以上、ジャミルにもどうする事も出来ず……。
 
(どうにか、どうにかなんねえのかよ……、しかしとんでもねえ所だな、
未知の場所っつー話だったけど、悪ィ奴は何処にでもいるわ、
何も変わんねえや……、はあ~……)
 
……ガチャリ……
 
「!」
 
急に部屋のドアが突然開き、ジャミルは又ルーゼが来たのかと思い、
身構えるが……。
 
「きゅぴっ!」
 
「……チビ……、チビなのか……?」
 
「ぴいっ、ジャミルっ!やっと見つけたよおお~!!」
 
「チビっ!あははっ、来てくれたんだな、サンキューな!!」
 
「ジャミル、ジャミルううう~!」
 
ジャミルはチビを抱いて再会を喜び合い、床にねっ転がる。
 
「あのう……、これは一体……?それにおねえさま……、
ジャミル……、って……」
 
状況が分からず、ユウが唖然とする……。
 
「あ、悪い!この際だから、ユウにも後でちゃんと説明して
おかなくちゃな、チビは俺達の仲間のドラゴンだ、安心して
くれていいよ」
 
「はあ……、アイシャおねえさまは、実は本当はアイシャ
おねえさまではないと言う事ですか?何だか複雑なのですね……、
私、頭がぐっるぐっるです……」
 
「初めまして、こんにちは、チビです!」
 
チビが丁寧にユウにちょこんと頭を下げてご挨拶した。
 
「わあ、この子、お話出来るんですね、凄い……」
 
「そうだ、又お部屋に鍵を掛けておかないと、よいしょと、
きゅっぴ、これで大丈夫!」
 
「す、すごいです、本当に、チビさん、鍵も開けたり閉めたり
出来ちゃうなんて……」
 
「まあな、こいつ頭は凄くいいからな、玉にする屁は臭いけど……」
 
「……ぎゅっぴ!そうだ、アイシャもいるんだよお!今、別の
お部屋に閉じ込められてる!」
 
「何だって!?アイシャもか!?き、来てるのかっ!?」
 
「うん、それじゃチビ、一旦戻って、アイシャに連絡してくるね、
夜中になったら、こっそりアイシャをこのお部屋に連れてくるよ、
待ってて……」
 
「た、頼む、チビっ……」
 
「うん、怖いおばさんの臭いしない、大丈夫……」
 
チビはルーゼが来ないか確認すると、部屋の鍵を開けて再び
アイシャの部屋へと戻って行った。
 
「……アイシャ……、やっと、会えるのか……?」
 
 
そして、夜中、ジャミルはチビがアイシャを連れてくるのを
只管待つ……。
 
「……ぐうぐう、眠いのです……」
 
「お~い、ユウ……、頼むから今夜は寝ないでくれよ、ちゃんと
全部説明するからよう……」
 
「……ぐうぐう、分かってます……」
 
ガチャリと部屋の鍵が開く音がし……。
 
「来たっ!ア、アイシャかっ!?」
 
「……そうよ、私よ……、アイシャよ、ウィッグ着けてるけど……」
 
「ぴー!来たよお!」
 
「チビっ!」
 
紛れも無く、チビがアイシャを連れて来たのである。
 
「ちょっと着替えるね、よいしょ……」
 
アイシャはジャミルの姿の所為か、特に気にもせずスカートを
脱いでウィッグも外し、ジャミルがいつもマンションで着ている
パーカーを羽織り、ジーパンも履くと、野球帽子も後ろ被りで
ひょいっと頭に被った。
 
「着替えも持ってきたの、ジャミルの姿なら、これじゃないと
落ち着かなくて、あの嫌なおばさんに見つかったら怒られちゃう
処だけれど……」
 
「そ、そうか……、悪いな……」
 
「っ……、ジャミルのバカっ!!もうっ!心配ばっかり掛けてっ!