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zokuダチ。セッション19 冒険編3

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本当にっ……!!バカ、バカ、バカ、バカっ!!……私、此処に
来るまで本当に怖かったんだから……」
 
「わ、分ったよ……、あんまり大声で泣くなよ、あの変な薄化粧オバアに
聞こえちまうよ……」
 
「わかってるわよう……、ぐす……」
 
又自分で自分が泣いていると言う変な場面を見、ジャミルは
情けなくなる……。
 
「きゅぴ!アイシャは女装して、あの変なおじさんに自分から
捕まって此処まで来たんだよお!」
 
「……そ、そうだったのか、俺の為に……、又怖い思いさせちまったな、
ごめんな……」
 
アイシャは涙を拭くと、改めてジャミルの顔を見上げた。
 
「ううん、慣れてるもの……、それより、アルもダウドも、
いろはちゃんとこむぎちゃん、しんちゃんもボーちゃんも、
シロちゃんも、小さいひまちゃんだって、……皆本当に心配してるわ、
ジャミルが無事に元に戻ったら、アルがスリッパ連打叩きの
極刑だって、便乗してこむぎちゃんが、わたしもお手伝いしたいっ!
……って、言ってる……」
 
「ぎゅっぴ!チビもお仕置き参加するきゅぴ!」
 
「おいおい、……恐ろしい事言わないでくれや……」
 
「……ぐうぐう……」
 
「あら?この子は……」
 
「うん、同室のユウだよ、風呂で知り合ったんだ、……実家の
借金のカタで連れて来られたみたいなんだ……」
 
「ええっ?ど、どう見たって、まだ小さいじゃない……」
 
「12歳さ……」
 
「酷いわ……、こんなのって……」
 
「……此処のクソ領主は、テメエが満足出来る相手なら
何だって構わねえのさ……、くそったれめ……」
 
「……」
 
やるせない表情でアイシャがユウを見つめた……。
 
「おい、ユウ、起きろ……、ちゃんと全部説明するから……、
おい……」
 
「ふぇ?……アイシャおねえさま……?……と、この方は
誰ですか……?まっ、まさか……、おねえさまのっ、彼氏っ!?
とおーーっ!いけません!アイシャおねえさまにはっ、このユウがっ!」
 
「おいおい……」
 
寝ぼけ眼だったユウがぱっちり目を覚まし、アイシャの前に立ち身構えた。
 
「……そ、そんなんじゃないの、私とジャミルは……、
お、お友達なのっ!」
 
「はっ!そ、そでしたか、ご無礼をばっ!え?わ、私……、って……、
え?え?え?」
 
顔を赤くし、必死で否定するアイシャに(そんなにムキになんなくっても
なあ~)……と、ジャミルは心でこっそり思う……。 そして、アイシャと
ユウは互いに自己紹介をし、同時に自分達の抱えている秘密も話すのだった。


冒険編15 脱出

「そ、そうだったのですかあ~……、では、こちらのおにいさまが
アイシャおねえさまで、おねえさまの方がジャミルおにいさま……、
なのですね、はあ……」
 
「ややこしいけどな、分かってくれたか?」
 
「はい……、何だかまだ頭パニックですけど……」
 
「んじゃま、分かって貰った処で此処からすぐに逃げよう!」
 
「ええ!」
 
「きゅっぴ!」
 
「……ちょ、ちょっと待って下さい……、ど、どうやって……?」
 
「この窓ガラスは強化ガラスだ、けど、チビの炎のブレスなら
一撃で粉砕出来る!」
 
「はああ~……、本当に凄い……、でも、私、行けません……」
 
「ユウちゃん、どうしたのっ、逃げるなら今が一番いい時間帯なのよ!」
 
「他にもまだ、此処に取り残されているおねえさま方がいます……、
私だけ逃げるなんて嫌です、それに……、私が逃げたのが分ったら
父さん達にも迷惑が掛かります……、お家には帰れません……、
どうか、おねえさま達だけでも逃げて下さい……」
 
「ユウ……、お前……」
 
ユウはジャミルとアイシャを見つめると、堪えていた涙を一滴溢した……。
 
「作戦を練るんだよっ、作戦をっ……!!」
 
「作戦……?」
 
「街に俺達のダチがいる、今はそいつらと合流しなきゃ!クソ領主を
何とかブッ倒す作戦を考えるんだ!後で必ず、他の女の子達も
助けに来る!だから今は耐えろ、ユウ!……家に戻れなきゃ、
俺らと一緒にいればいい!」
 
「アイシャおねえさま……ではなくて……、ジャミルおにいさま……」
 
「ユウちゃん、一緒に逃げましょう!」
 
「ぴいっ!」
 
「ジャミルおにいさま、アイシャおねえさま……、ユウは、ユウは……、
本当は……、お嫁になんかいきたくない……、こわいです……、
う、ううう……」
 
今までは堪えていたのか、遂にユウが本音を見せ始める。
その姿を見、小さな彼女がどれだけ此処から逃げたかったのかが、
痛い程、ジャミルには伝わって来たのであった。
 
「分ったよ、ユウ、だから、此処から今すぐ一緒に逃げよう!」
 
「いいえ……、行けません……」
 
……しかし、ジャミルが差し出したその手をユウは拒む。
 
「ユウっ!何でだよっ!!」
 
「私、きっと又、おねえさまとおにいさまが此処に助けに
来てくれるのを待ちます、えへ、それに、捕らわれのお姫様
みたいで何だか嬉しいのです、皆にも伝えて、安心させて
あげたいんです、絶対大丈夫なんだって事を、それに、私も
一緒に付いていけば、足を引っ張ってお二人に迷惑が掛かります、
さあ、行って下さい……!」
 
「く……、頑固モンめ……、後悔したって知らねえかんな……」
 
「大丈夫です!ささ、早く、早くっ!」
 
「……約束する……、絶対助けに来る……」
 
「はいっ!もうおにいさまですねっ!信じてますよ!」
 
「……ユウちゃん……」
 
「チビっ!……頼むっ……」
 
チビが炎のブレスを吐き、強化ガラスをあっという間に燃やす。
ジャミルは後ろを振り返らず、窓ガラスのあった場所から
アイシャを連れて飛び降りた……。
 
 
「……おねえさま、おにいさま……、どうかご無事で……」
 
 
……しかし、警察でさえも太刀打ち出来ない大きな権力に
一体どう立ち向かえばいいのか……、アイシャの手を引っ張り
必死で走りながらもジャミルは考える……。
 
「アイシャ、……平気か?」
 
「うん、大丈夫よ……」
 
しかし、漸く屋敷の門が見え始めた処で、サイレンがいきなり鳴り始めた……。
 
「やべっ!もう見つかっちまったのかっ!?」
 
「……ジャミル、どうしよう……」
 
「ぴいい~……」
 
アイシャとチビが不安な顔をジャミルに向ける……。
このまま捕まってしまっては、2人に気を遣ってくれた
ユウの気持ちも全てが無駄になってしまう……。
 
「このままじゃ追手に追いつかれるな、一旦何処かに……」
 
「……あんたさんら、何しとるんだね、こんな夜中に……」
 
「まずいっ!!」
 
突然暗闇からぬっと、懐中電灯を持った人影が現れた……。
 
ジャミルはアイシャを庇って後ろに下がらせ、チビも威嚇の準備をする。
 
「ほほ~、これはこれは、面白い……、最近では女の子が王子様の如く、
男の子を庇うのか、これはこれは……」
 
「お、大きなお世話だっ……!」
 
「ひょっとすると、あんた、又旦那様に選ばれた新しいお妃様かな?
もしかしたら逃げて来たのか?……これは又根性のある娘だ……」