zokuダチ。セッション20 冒険編4
「ぴ?ジャミルっ、大変っ!ブウ子が起き上がりそうだよお!」
「何っ!?やべえっ!」
「……う、わ、私は今まで何してたんだ、確かルーゼに呼ばれて、
領主の部屋に……、その後の記憶がないぞ???ブウ~?」
ブウ子がむっくり起き上がり、キョロキョロと辺りを見回す。
「くんくん、くんくん……、でもさっきより何だか嫌な
ニオイしなくなった……」
チビが恐る恐るブウ子に近づきニオイを嗅いで確認する。
ふと、チビとブウ子の目線が合った。
「ぴ……?」
「お?何だこれは、うまそうな鳥だな、焼き鳥にして食うか?」
「ぴ……?ぎゅぴいいいーーっ!!」
嫌なニオイは感じなくなったが、チビは慌てて危機を感じ、
ジャミルの処に飛んで逃げた。
「ご、ご苦労さん、チビ……」
「ぎゅぴ……、……びい、びい、びいい~……」
ジャミルに張り付き、必死に息を切らし、チビが脅える。
「これって、い、一応、洗脳が解けたのかな、ねえ……」
「あんまり変わってない様な気もするけど……」
アルベルトとダウドも冷や汗を掻きつつ、口を開いた。
「美味いもん食わせてくれるつーから来たのに、結局何も
くれないじゃないか!頭きた!もう帰ってやるっ!ブウブウ!」
「はあ、やっといなくなるか、助かった~……」
「何か言ったか!?」
「いや、……何でもございませんので、どうぞ、早く
お家にお帰り下さい……」
「ああ、何か変な爺さんが地下牢に連れて行かれたみたいだっだぞ、
ギロチンにするってあの変な女が言ってた、じゃあな」
「っ、な、……何だとっ!?……爺さんっ!!」
散々暴れて一行を妨害したブウ子であったが、最後に重要な
情報を伝え、ブウ子はその場を後にする。……結局、領主が
何の為にブウ子を拉致したのか今はそれは分らず終いでは
あったが、どうでもいい故、別に誰も気にもとめていなかった。
「その、連れて行かれたって言うお爺さんが、もしかして……」
「ダウド、そうだ……、庭師の爺さんだ、俺達の為にっ!
くそっ、ルーゼの奴っ!……絶対に許さねえっ!!」
「こうしてはいられないね、急いで助けにいかないと!」
「で、でも、アル……、アイシャも捕まっちゃってるし、
どうしたら……」
「……ハア、ハア……、て、てめえら……、やっと
追いついたぞ、糞が……、絶対許さねえのはこっちだ……、
全員纏めてブッ殺してやる……」
「いろは、あのヒトっ!……あのおじさんもイジワルなガルガル
おじさんだよっ!」
「此処まで私達の後を追って来たんだね……」
……全身びしょ濡れのゲスが、等々屋敷まで戻って来たのであった。
「くそっ、またこんな時にっ!邪魔すんなよっ!!」
「……僕らが戦わなくちゃ!……子供達と女の子達を
守るんだっ!」
「ひいい~!ンモー、勘弁してよおー!」
「チビもやるよおー!」
いろは達女の子とお子ちゃま達を守る様にジャミル達男衆と
チビがゲスの前に出る。何としても邪魔をするゲスを倒して
此処は突破しなければならない処であるが……。
……そうはいかないのよ、あんた達、此処で全員バラバラになりな……
「え、えっ!?ジャミルさんっ!?チビちゃんっ!?」
「アルベルトっ、ダウドっ!……み、みんなが……、
消えちゃったよっ!」
いろは達を守れる唯一の男衆は突然その場から姿を消してしまう。
ルーゼが小細工をし、女の子勢と引き離し、屋敷内の別場所へと
送ったのである。その場には、いろはとこむぎ、お子ちゃま達と
シロだけが取り残され、絶対絶命に……。
「……お、おお……、いろはちゃん、こむぎちゃん、
ど、どうしよう……」
「び、びええ……」
「ボオ……」
「クゥゥ~ン……」
「しんちゃん、ひま、ボーちゃん、シロっ!大丈夫だよっ!
わたし達がついてるもん!」
「おやおや、頼もしいナイト様方はどっか行っちゃったのね、
そーかいそーかい、かわいそーにね、げっへへへっへ、残ったのは
嬢ちゃん達だけってか……、威勢がいいねえ、でも、いつまで
意地張ってられるのかなー!?」
ゲスは薄ら笑いを浮かべ刃物を取り出す。いろはは怯える
しんのすけ達を側に寄せ、ぎゅっと抱き締めると守る様に
抱擁する。だが、いろはの胸も恐怖で震え始める……。
しかし、歯をぎゅっと食い縛るとこむぎの方を振り返る。
「こむぎ、覚悟は出来てる?今、この子達を守れるのは
私達だけだよ!」
「うんっ、いろは!しんちゃん達を守ろ!例えプリキュアに
なれなくても……!」
「そうだね、こむぎ……」
黒子はこむぎに人間への変身用にワンダフルパクトだけは
返してあるが、どう言う訳か、プリキュアには変身出来ず。
ヒーロー編でヒーローのアルカールが彼女達に力を貸し、
プリキュアに変身する事が出来た。……あの黒子は正体も、
やる事なす事、全てが謎である……。 いろはとこむぎは
そっと手を取り合う。だが、……ゲスは手に持った刃物を光らせ、
どんどんと迫って来るのだった……。彼女達はこれまで
優しき心でガルガルに変えられ苦しんでいる沢山の動物達を
癒やしてきた。その彼女達が、今、心無い人間に追い詰められ
最大の危機を迎えていた。
冒険編20 それぞれのステージ
「嬢ちゃん達、どうするんだい?泣いて助けを呼んで
お兄ちゃん達呼んでみるかい?呼んでも誰も助けになんか
来ねえけどな、あーゲスゲス!弱者を甚振るのは楽しいなあ~」
ゲスは刃物を持ちながら、もう片方の手で鼻糞をほじくると、
鼻糞を床に捨てた。
「大ジョーブだよっ!……おじさんみたいなイジワルガルガル
おじさんにわたしたちは絶対に負けないよっ!」
「……そう言う事ですっ!女の子だからって甘くみたら
ダメですよ!しんちゃん、ボーちゃん、ひまちゃんと
シロちゃんをお願い、すぐに終わらせるから、守ってあげてね!」
「……いろはちゃん……、こむぎちゃんも……、気を付けるんだゾ……」
「やい~……」
「クゥ~ン……」
「むり、しちゃ、だめだ、よ……」
こむぎはおぶっていたひまわりを兄のしんのすけに預けると
いろはと一緒に子供達を守る様に正面に立ち、ゲスを強く見返す……。
「げへへ、だから何だあ?てめえらみてえな弱ええ糞共に
何が出来るってんだい?言ってみろ、オラっ!」
「いくよ、こむぎっ!」
「うんっ!」
「「……せーのっ!ワンダフルWおしりぱーんちっ!」」
いろはとこむぎは後ろを向くと、揃っておしりを突き出し、
思い切り力を込めておしりでゲスを突き飛ばす。案外凄い力の
気合いの入ったパンチの様で……、食らったゲスは勢いで吹っ飛び
そのまま床にぶっ倒れた。
「ゲスゲスゲス……、ゲ……」
「やったねっ!おじさんたおれちゃったよっ!わたしたちの
おしりってすごいんだあ~!えへへ!」
「お、おおお……」
「ボ……」
「アンっ!」
「……こむぎってば……、あはは、ちょっとしたテレビでの
作品名:zokuダチ。セッション20 冒険編4 作家名:流れ者