zokuダチ。セッション22 冒険編終
……寂しいですけど、私は明日、実家に帰ります、あっ、
ケイおねえさまは此処に残るんですって、領主さまの正式な
ご養子になられるそうなんですよ!……なーんか、ルーゼが
居なくなったら急に私達からも変な力が消えちゃいましたあ!
あはっ!」
「そうか……、身内がいないからな、ケイの奴、取りあえず
良かったな!ユウもな……」
「はい!ジャミルおにいさま達も、もう元のお世界にお戻りに
なられるんですよね?」
「ああ、方法が分かり次第な、なんか難しい様な気もするけど……」
「大丈夫ですよ、きっと領主さま達が良い方法を探して下さいますよ!」
「だといいけどな……」
「……あの、ジャミルおにいさま……」
「ん?」
ユウがジャミルの顔をじっと見つめた。だがその表情は淋しそうである。
「これでお別れじゃないですよね?またいつかきっと会えますよね……、
ユウはそう信じています、元の世界に戻っても、どうかユウたちの事、
絶対忘れないでいて下さいね、約束ですよ……」
「ああ、何処に居ても俺らは友達だ、な……?」
「はいっ!ずっとずっと友達ですっ!!あははっ!!」
ジャミルの言葉に、ユウは明るい笑顔を見せ、ジャミルと握手を
交わすのであった。
そして、翌日。娘達はそれぞれの旅立ちを迎える。ケイは養女として
屋敷に残留、ユウ、ブウ子、マフミは実家へと帰って行った。
「……やっぱり、お別れって本当に寂しいわね、……覚悟してたけど……、
でも、皆、幸せになれるといいな……」
段々と姿が遠のいていく3人娘を見つめながらアイシャが呟いた。
「きゅぴ……」
「うん、……ぐしゅっ、あ、垂れた……」
「ダウド、鼻水拭きなよ、ハンカチ……」
「ぶん、アル、いづもいづもあびがどう、……ぢいい~んっ!!」
「……ハア」
「ジャミルさん、皆さまも、お話があります、どうぞ旦那様のお部屋へ……」
外でユウ達を見送っていたジャミル達は、庭師に呼ばれ、領主の部屋へと
赴くのだった。
「遂に、元の世界に戻れるのかな、この日が……」
「おちびさん達は儂が見ておりますので、どうぞ皆さんは旦那様の処へ、
さあ、おじいちゃんと遊ぼうかの!」
「ほーい!」
「たいや!」
「ボー」
「アンっ!アンっ!」
庭師にしんのすけ達を預け、ジャミル達は領主の部屋へと入って行く。
其処はかつて、領主との初対面を行ったあの部屋でもあった……。
「おお、ジャミル君達、漸く分ったぞ、……もしかしたら君達の世界に
戻れるかも知れん方法が……」
「マジで?本当に早いなあ、……信じらんね……」
「ふむ、その資料なのだが、此方に来たまえ……」
6人とチビは領主の側に寄り、不思議な昔の文献を見る。
……其処に書いてあった事は……、こうである。
500年に一度、月の輝く夜、この世界ともう一つの世界を結ぶ、
不思議な扉が開かれるらしい……、その500年に一度の日が何と……
「……今日と言う事らしいのだが、もう一つの世界というのは、恐らく
君達の世界の事だ……」
「うっわー、すんげー強引にきやがった、幾ら今月中に話纏めたい
からってよ……」
「……やっと元の世界に帰れるんだ……、きょ、今日を逃したら私達、
二度と元の世界に戻れないかも知れないですよ!!ジャミルさんっ!」
いろはが顔をアップにし、シイタケ目でジャミルに迫りくる……。
「わ、分かってるから、ムキになんなよ……」
「まあ、あくまでも、伝説かも知れん……、という話なのだが、
幸い今日は天候にも恵まれておる、しかし君達は本当に運が良かったな……」
「ハア、強引と言うか……、運が良すぎです、……それで、領主様、
その場所というのは……」
アルベルトが訪ねると、領主が真剣な顔をし、静かに口を開いた。
「……この近くの……、ンコマウーン川だ……」
「!!!!」
「アイシャ、落ち着けって!……か、川の名前なんかどうでもいいだろ!
……それって……、最初に俺らが流されてきた川の事かな……」
「……」
「あははは!なんかすっごくおもしろいなまえの川だったんだねえ!
……んーコっ!」
「……こむぎっ!」
いろはは顔を赤くし、リアクションに困り、理解出来ておらず爆笑している
こむぎの口を慌てて塞いだ……。
「……それにしても……、凄く下品な嫌な名前の川だったのね、
そんな川から流れて来たのね、私達……、ボソ……」
「この近くにある川と言えばそれしかないであろうな……」
「よーし、そうと決まったらもうお帰りの支度しなくちゃだね!帰ったら
ユキとまゆ、悟と大福にもただいまあー!のごあいさつしなくちゃ!
みんなに会えるのひっさしぶりー!……いろは、わたし、先にお部屋に
戻って荷物まとめてるね!」
「こむぎ……?」
いろはの横を、齷齪とこむぎが通り過ぎて行ったが……。先程まで
笑い転げていた彼女の様子は明らかにおかしかった。その様子に
いろはが首を傾げた。
「こむぎ、どうしたんだろう……」
冒険編29 別れ
「でも、500年に一度って事は……、私達、元の世界に戻れたら
もう二度とこの世界には来れなくなるの?……そんなの嫌よ……」
「ぴい~、……チビもさよならは嫌だよお……」
「チビちゃん……」
アイシャはチビを抱きしめ、堪え切れず、思わず涙を流した。
「で、あろうな……、君達にもう二度と会えなくなってしまうのは
本当に悲しいが……、別れは仕方がない、生きている以上避けられない
事なのだ……、人は出会いと別れを繰り返して生きて行かなければ
ならんのだ……」
「……おっさん……」
窓の外を眺めながら葉巻を銜え、領主が静かに呟く。ジャミルには
死んだ奥さんの事を思い出して話をしている様にも見えたのであった。
『これでお別れじゃないですよね……?またいつかきっと会えますよね……』
(……ユウ、ごめんな、約束、守れそうにねえよ……、畜生……)
ユウと最後に交わした言葉を思い出し、ジャミルも心を痛める。
『はいっ!ずっとずっと友達ですっ!!あははっ!!』
「……ユウ……」
「お?こむぎちゃんだゾ、お話終わったー?」
「たいやー?」
「ボウボオ」
「♪アンっ!」
お子ちゃま達がジャミル達よりも先に領主の部屋から出て来た
こむぎを出迎えた。
「こむぎさん、どうでしたか?旦那様のお話は……」
「えーっと、そのお話なんだけどね、ジャミル達から聞いた方がいいよ、
こむぎじゃムズかしくって、それで、おじーちゃん、もう少しだけ
しんちゃん達と遊んであげてほしいの、わたし、部屋で荷物の整理したいから!」
「おお、勿論構わないですが、どうかなされましたか?少しお顔が
浮かない様ですが……」
「えーっと、そ、そんな事ないよっ!じゃあ、しんちゃん達を宜しくねっ!」
「……はあ……」
「こむぎちゃん、なんか変だったゾ、いろはちゃんとケンカでもしたの?」
作品名:zokuダチ。セッション22 冒険編終 作家名:流れ者