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zokuダチ。セッション23(完) いつもの日常編

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アルベルトがしんのすけにスコップを渡した。

「おおー、オラも穴掘っていいの?やるー!」

「たいやいや!」

しんのすけも漸く、興味を持ち始め、アルベルトの側で穴を掘りはじめ、
ひまわりもちょこんと座り興味深そうに兄が穴を掘るのを見守る。

「処で、今日はチビさんは来られないんですのう、残念じゃが……」

「うん、今日は配達の量が倍あるって言ってたからな、あいつも
又来たがってたし、そのうち連れてくるよ!」

「おお、是非!」

ジャミルがそう言うと、パイプを銜えながら庭師も嬉しそうに笑った。

「キシャシャシャ!」

「……ん……?」

奇妙な、急に聞こえてきた別の笑い声に顔をあげると、
……ジャミルの側にいたのは、あの人食い植物花のマリアーヌ……。

「……え、えええーーっ!?」

「わあっ、おもしろいお花さん!こんにちはー!わたし、こむぎだよー!」

突如修験したマリアーヌ。動物大好きいろはも、これには少々
びっくりするが、天然こむぎは恐れずマリアーヌに平気で近寄って行くと
いつも自分がいろはにして貰っている様にいい子いい子。

「よしよし!おて!」

「♪シャシャ!」

「爺さん、あのさ、こいつ……」

「おお、マリアーヌですが、最近、ますます元気になりましてのう、
何と、自分で歩行する様になったとです!」

「いろはさん、脅かして済みませんの、大丈夫ですよ、見た目はあれで、
確かに悪戯も好きですが、悪い子ではありませんのでの、安心して下さい」

「シャアアア……ッ!!」

「そうなの、マリアーヌは此処で追われてた私達を匿ってくれたの」

「……は、はあ……、そう言われてみると、何だか可愛いですよね……」

このお方も。無邪気で少し天然な面があるアイシャはマリアーヌに
平気で触れ、ナデナデした。こむぎとアイシャに撫でられて、
喜んでいるのか、マリアーヌは一昔前に流行ったフラワーロックの様に、
左右に揺れて踊る。いろはも段々慣れて来てマリアーヌに触れる。
ダウドは早速庭園の隅で丸くなり、脅えていた……。

「みんなー!夕食の準備が出来たよ、親父も今帰ったから!すぐに屋敷に
顔を出してねー!その前に風呂も用意してあるから、その真っ黒い
顔じゃ……、プ……」

ケイが庭園に姿を見せる。もうすっかりナンダ・カンダ家の娘として
定着したケイ。完全ではないが、言葉も依然よりはキツさと刺々しさが
無くなってきた様である。

「おお、お嬢様、旦那様もお戻りになられましたかな、では皆さま、
屋敷の方に向かって下され……、お腹もそろそろ空いてくる頃でしょうて」

「もう、ケイちゃんたら、親父なんて言っちゃ駄目よ、領主さまは
ケイちゃんのお父様なんだから……」

「ははっ、どうもまだ何か慣れなくってさー、こそばゆくって……」

アイシャの言葉にケイが悪戯っぽく舌を出して笑みを見せた。

そして、一行は風呂で園芸作業の汚れを落とした後、領主の待つ食堂へ。
ブウ子に背中を折られ、大怪我をさせられた領主であったがもう完全に
全快しており皆の前に元気な姿を見せた。

「うわ、すんげえ……、コレ、マジで食っていいんだよな……」

目の前のテーブルに並んだ、前回の倍の数々のご馳走を目の前にし、
ジャミルが感嘆の声を洩らした、ローストビーフにステーキ……、
七面鳥……、と、これでもかと言う程、皆の食欲を誘う……。
今日はこむぎも人間モードのままそのまま皆と一緒に席に着いて
夕食を頂く事に。

「まずはワインで乾杯しよう、さあ、じいも座っておくれ……」

まだ未成年のアイシャ達にも気を配り、アルコール分は控えめのワイン。

「はい、では……」

「乾杯……!」

領主の合図で、皆が一斉にワインに口を付けた。

「……っかああ~っ!んめえええーーっ!」

「何か酔っ払いのおじさんがいるよーっ!アルベルト!
いろはといっしょに前にテレビのドラマで見たよっ!」

目線でジャミルを追いつつ、こむぎがアルベルトに話し掛けた。

「うん、ジャミルは普通のアルコール無しのシャンパンでも
悪酔いする時があるって、ダウドから聞いた……」

「……るせえ!誰がおじさんだっ、おらあまだ成人式だっつーの!
……ヒク……」

「ははは、相変わらず面白い子だよ、ジャミル君は……」

「ですのう、旦那様、元気が一番ですよ……」

「……おいしー、おいしいよおおおおー!!」

「ちょ、ダウド、君もまさか酔ってたりしないよね?」

涙を流しながらオーバーにステーキを頬張るダウドを見て、
心配そうなアルベルト。

「ホント、美味しい、チビちゃんがいないのが残念だわ~……、
喜んだだろうなあ……」

「うーん、あたしもチビと遊びたかったなあーっ!アイシャ、
今度は絶対に連れて来てよ!楽しみにしてるからさ!」

喋りながらケイがアイシャのグラスにワインのお代りを注ぐ。

「ええ!次は絶対!チビちゃんも喜ぶわ!」

「んーっ、本当に最高級のお肉ですなあ~!!いやああ~ん、
……オラ……、幸せすぎで……、もう……、あはああ~ん……」

「……ボ」

幼児のしんのすけとボーちゃんには勿論添えの飲み物は
ジュースである。それでも例えジュースでも、舐めてはいけない、
劇選した果物で作った最高級品。

「さあ、小さなお嬢様にはミルクですよ……」

「……にへえええ~……」

「アンっ!アンっ!クウウ~♡」

ひまわりもメイドさんに抱っこされ、これも最高級の赤ん坊用ミルクを
哺乳瓶で飲ませて貰い……、実に幸せそうな表情をしている……。
シロも大盛りの最高級ドッグフードを幸せそうに食べている。

「おいしいっ!おいしいよー!こむぎ、おなかがパンクしちゃいそう!」

「こむぎ、ちょっと落ち着いて!喉につまっちゃうよっ!」

アルベルトは、がっつくこむぎ、……そして、同じく遠慮せず、
ステーキをもりもり食っているジャミ公とを見比べ、溜息をついた。

「はは、本当に遠慮はいらないよ、お腹が満足するまで好きなだけ
食べて行っておくれ」

「……ジャミルったら、領主さま、本当にすみません……」

「……キシャシャ……」

そんな、皆の幸せそうな表情を窓の外から眺め、奇妙な笑い声を
発する謎の影が……。そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ、
本日のお開きの時間となる…

「うう~……、もう食えね、……食い過ぎた……、うえっ……」

すっかり丸くなってしまった腹を抑えながらジャミルが呻いた。

「……ジャミルさん、大丈夫ですか?でも、これから歩いて帰りますから、
歩けばお腹もへこんで、運動にもなりますよ!」

眠ってしまったひまわりを背負いながら、ジャミルの方を見て、
いろはが笑った。

「いろは、くるしいよう……」

同じく、食べ過ぎで動けなくなったこむぎ、子犬に戻り、
此方もいろはにしっかりと抱き着いていた。

「だから言ったでしょ、自業自得だよっ、それにしても、こむぎも
随分重くなったんだねえ……」

「全く……、調節って言う事をしないんだから、ジャミルはさ、
恥ずかしいよ……」

「本当だよお……、アルの言う通りだよお!」