zokuダチ。セッション23(完) いつもの日常編
最初は皆喜び、いつでもジュース等が飲めると大喜びであった。
しかし、やはり時間が立つと不平不満が出てくるのである。
……自販機が立ち、更に数日後……
「おい、ジャガイモ小僧、何してんだよ……」
「ジャミルおにいさん、この自動販売機、ヘプシがないゾ……」
「たいーっ!たいやいやい!(明図赤ん坊用ミルクもないーっ!)」
「入ってるメーカーが違うんだからしょうがねえだろ、我慢しとけ……」
「つまんないゾ……」
「やいやいやい!」
不満そうに野原兄妹はマンションに戻って行った。
「俺に文句言われても困るんだっての……」
「だけどさ、駅前の自販機、あそこ、タイドー自販機だけどさ、
コキャコーラのも混ざってるじゃん……」
「ダウド……、おめえもうるせえ奴だなあ~!」
「不満もでますよお~、だって、コーヒーばっかなんだもん、
此処、しかも無糖の……、ブツブツ、はあ、早く新しい製品追加して
ほしいよお~……、よいしょ……」
ダウドは今の処、此処で唯一入っている甘い系統のつぶつぶ
オレンジを買うと、マンションに引っ込んで行った。
「だから、俺に言うなっての……」
「ねえ、ジャミルっ!あたしさあ、午前中の紅茶が飲みたいん
だけどさ、ずっと品切れのまんまなんだよね、ねえ、
いつ入れてくれんの!?」
いつ来たのか、エレンまで文句を言い始めた。
「……どいつもこいつもっ!!ああああーーっ!!」
そして、更に数日、市役所……
「バリエーションが少ないと?」
「そうだよ、無糖コーヒーばっかなんだと……」
「それは私の仕事では有りません、苦情、ご意見はメーカー業者に
言って下さい……」
ジャミルは仕方なしに市役所を出た。しかし、メーカーに訴えろと
言った処でどう言ったら、何処に文句を言えばいいのかまるで
分からないのであった。
「ま、時期がくりゃその内いいのも入るだろ……」
暑い夏。文句を言っていても毎日猛暑続きで、やはり皆、身体は
正直に水分を求める。大分、自販機の飲み物も品切れに近くなった頃、
業者が来て新しいのを入れていった。
「……此処はいつもあまり冷えていないのね、私、今は喉が渇いてるから、
なるべく冷えたのが飲みたいのだけれど……」
「サラ、節電もあるからな、仕方ないな……」
「……うわ、新製品、ちょっとっ、汁粉も入ってるじゃない!
なーんかデブリそう!」
「夏専用、アイス汁粉だよ、大丈夫さ、エレン、もう手遅れ……、
ぎゃあああーーっ!!」
「ちょっと、お姉ちゃんやめてっ!ユリアンを機械にぶつけちゃ
駄目だったら!……自販機が壊れちゃうわっ!!」
「サラ……、君はユリアンよりも自販機の心配を……」
……自販機の前でプロレスを始めるエレンと緑バカ、そしてそれを
制するサラとトーマス……。
「なーんだかんだ言って、結局は楽しんでんじゃねえか、
どいつもこいつも……」
陰でこっそり様子を覗いながら、さっき買ったアイスココアを
ジャミルがぐびぐび飲んだ。
「それにしても、しかしこれ、甘えなあ~、うえ……」
実はスポーツ飲料水を買おうとしたら、ドジなジャミルはうっかり
ボタンを押し間違え、最高に甘いアイスココアを買って
しまったのである。
「ふう、それにしても幾ら何でも暑すぎだわ、どうせなら
各部屋一台ずつ、管理人に自腹でクーラー設置して貰う
覚悟も必要よ……」
「だよなあ……、男には覚悟する時があるんだ……」
「……また、お姉ちゃんたら、でも……、本当に暑いよね……」
「世界異常気象だからな……、この星も一体何時まで持つのか……」
「……無茶言うんじゃねえっつーの!シノンのアホ4人組めっ!
俺だってクーラーが欲しいんだよっ!」
そして、此処の自販機にはちょっとしたお楽しみがあった。
それは何処にでもある機能、同じ数字が揃ったらもう一つおまけで
当たる奴である。しかし、ここの自販機は何故か当たりやすいと
言う事で、好評であった。
「ジャミルーっ!オイラ、当たったよおー!」
……当たったからと言ってわざわざダウドがジャミルの部屋に
報告に来た……。
「……あっそ、ま、車にでも当たらねえ様、気を付けろよ……」
「なーんだよお、随分と張り合いないねえ……」
「だってよ、一万円相当の景品なら嬉しいけどさ、多可が
100円相当のジュースじゃねえか、わざわざ当てなくったって、
小銭入れりゃすぐ買えんだろ、んなモン……」
「はあ~、夢無いなあ、こーゆー事は現実的で規模の小さい
人だねえ~、当たった瞬間が嬉しいんじゃないかあ~、……だから
ち○こも小さいんだよ……」
「そうだよ、どうせ俺の○んこは小せ……」
……ダダダダダダ……
「誰だっ!まーた廊下で暴れてるんはっ!ジャミルとダウドだねっ!
てめえらも一緒にこっち来いっ!こいつらと一緒に仕置きしてやるっ!!」
暴れるなと言っておきながら、シフもジャミルとダウドを追い掛けて
廊下を走って行った。
「なあ、リウ、ジェイル、この間に逃げちまおうぜ……」
「駄目だったらっ!……あ、あの人、何処逃げたって追い掛けて
くるんだからさあ~、……何せマリカの凶悪大型版なんだから……」
「南無三だ……」
又懲りずに廊下でボール遊びをしていた悪ガキシトロトリオが
シフに見つかり、とっ捕まっていたのであった。
学習しないと言うか、何回捕まっても懲りない奴らである。
単にシフを怒らせて構うのが面白いのかもしれなかった。
その後も、マンション内では、飲み物がもう一本当たったと言う
住人の喜びの報告で溢れかえっていた。人間というのは、囁かでも
やはり当たった瞬間は嬉しいんである。
「むう~、俺だけ幾ら買っても未だ数字が揃わねえ……」
どうやら少しはジャミルも気にし始めた様子……。
ジャミルは小銭を握りしめ、外に出て行こうとする
いつもの悪い癖が出、……段々ムキになってきている……。
「あ、ジャミル、今から出掛けるんだ?夜だけど、今夜も熱帯夜で
暑そうだよ、気を付けて……」
「アル……、缶持ってる処みると、オメーも買って来たな……」
「うん、僕も数字揃ったみたいでさ、困るよね、こんな処で
運使い果たしちゃったらさ……」
アルベルトがもう一缶、当たったミネラルウォーターを見せた。
口では困ると、そう言ってるが、やはり表情は嬉しそうであった。
「……キーーーー!!」
「ジャミル……!?また、一体どうしたんだろう……」
心配するアルベルトを余所にジャミルが外に飛び出して行った……。
「べ、別に、アタリなんかどうでもいいんだからね!?おりゃあ只、
風呂上りに飲む飲みモン買いに来ただけなんだよっ!!」
ブツブツ言いながら、アイスコーヒーのボタンを押す。
しかし、目線はしっかりと、数字のドラムを気にしている……。
「7、7、7、……8……!!」
……自販機を蹴り倒しそうになったが、其処に夜遅く仕事から帰宅した
野原ひろし氏が通り掛かった。
「こ、こんちわ……」
「よお、ジュース買いに来たのかい!?ははっ、ここの自販機、
作品名:zokuダチ。セッション23(完) いつもの日常編 作家名:流れ者