zoku勇者 ドラクエⅨ編1 性悪天使降臨
降り立ち、天使達を神の国へと導くと語り継がれている。
「近頃やけに慌しいな……、気が変わった、ジャミル、私も天使界へ
同行させて貰うぞ!」
「アンタ、下界にいるんじゃなかったのかよ……」
「最近これだけ箱舟が頻繁に通過すると言う事は、もう果実が実る日も
近いかも知れぬという事だ、急ごうぞ、ウォルロ村の守護天使ジャミルよ!」
「……へいへい……」
気が変りやすいおっさんだなあと思いつつも、ジャミルはイザヤールと共に
夜空に向かって再び翼を広げるのであった。
天使界に戻ったジャミルとイザヤール。イザヤールは自分は別の用事が
あるからと、オムイに直に長老の間に報告に行くようにとジャミルに言い、
何処かへ行ってしまう。
「報告……、ね……」
ジャミルが項垂れていると、別の天使達がジャミルの側へとやって来た。
「お帰りなさい、ジャミル、地上に戻ったのならまずはオムイ様に報告よ」
「聞いたよー、地上に行って来たんだって?いいなあ、早くオレも
守護天使に昇格して担当地区を持ちたいよー」
「あのさ、聞いていい?確認の為なんだけど、俺ってさあ、本当に天使なん?」
「……?」
「……」
ジャミルが天使達に訪ねると、2人の天使達は顔を見合わせ声を揃え
ゲラゲラ笑いだす。
「あなたも時々おかしな事言うのね、見なさい、彼方此方にある
この天使の像を、この像は私達、天使の姿を現しているのよ、
あなたの頭部のその光の輪、白い翼、立派な天使の証じゃない、
翼は空を飛ぶ力を、光輪は聖なる力を私達に与えて下さるのよ」
「ははは、……人間にはオレ達の姿は絶対に見えないって言われてるけどね、
本当かな?でも、人間達の中にはオレ達の存在を信じている者もいるんだ、
不思議だな」
「ま、どうでもいいや、処で、長老の間って何処だい???」
「……ちょ、本当に大丈夫?其処の階段を上がった所の先だけど……、
しっかりしなさいよ……」
「どもども……、へへ……」
ジャミルは頭をかきかき、言われた通り、すぐ側にある階段を
のこのこ上って行った。その様子を見ていた天使達は又も顔を
見合わせるのであった。……天使界の各階の天使達はジャミルに
色んな話をしてくれる。
神は何も無い星空に世界樹を守る為この世界天使界を創った。
天使達に天使界を任せ神達は天界へと戻る。世界樹が育ち、
その実をつけた時、天使達も天界へと戻る事が出来る……。
天使界には魔物もおらず、悪人もいない。だが、地上には
魔物がいる。最近の地上は異様に魔物達の数が増えている、
……等。天使界にある武器や防具は天使達が地上を守る為に
使用する物で、普段から手入れが施されている。
「ねえねえ、ジャミルも天使に生まれて良かったと思うでしょ?
人間はちょっとした事ですぐに死んでしまうわ、病気になったり、
ケガをしたり、精神力もとても弱いのよ、それに寿命も短命よ、
短いわ、人間なんかに生まれていたら本当に大変よ」
「う~、そうなのなあ~、う~ん?」
だからって天使がいいとか、良く分からんと考えていると、手前の
部屋から何やら声がした。そっとドアを開けてみると、光るつるつる
禿げ頭……、イザヤールと、後一人、紫色の髪の女性の天使が何やら
話をしている。ジャミルは気配を消すと話を聞こうと、そーっと、
イザヤールの後ろに忍び寄って言った。
「私も驚いたわ、あの悪戯っ子が、もう守護天使に昇格するなんて……、
でもアナタ、よく許したものね?」
「いいや、ラフェット、私は決して許した訳ではないぞ、まだ早いと
反対はしたのだ、……それをオムイ様がだな……」
「ふふ、やっぱりね、そんな事だろうと……、くく……」
「笑い事ではない!……あいつはまだ未熟だ!……しかも手に負えぬ
どうしようもない馬鹿でアホだ、……もしも人間界で何かあったら
どうするのだ!君はエルギオスの悲劇を忘れた訳ではあるまい!?」
(おい、一言余分なんだよ……、このハゲ……、ん?エルギオス……?)
「エルギオスの悲劇……、勿論忘れてはいないわ、でも、その話を
此処でする事はタブーではないの?」
「……、……!?」
「やあ……」
イザヤールは漸く背後のジャミルに気づく。……そして呆れる。
「……ウォルロ村の守護天使ジャミルよ!いつから其処にいたのだ!」
「さっきから、ずっとだよ……」
「……お前はまだオムイ様に報告をしていないだろう!早く行け!
この部屋のすぐ隣の部屋だ!」
「へーへー」
「私からも祝福させて頂戴、ジャミル、守護天使昇格おめでとう、
この頑固者が弟子を取って認めるなんて事、相当凄い事なのよ……、
ふふ、奇跡に近いわ、よほどアナタの才能を見込んだのね」
「だから違うと……、いいから早く行け!ウォルロ村の
守護天使ジャミルよ!」
……その言い方やめれやとジャミルは思いつつ、2人のいる場を離れ、
取りあえず、ジャミルは言われた通り、長老の間へと向かった。
イザヤールとラフェット。この2人はライバル同士であり、普段は
口喧嘩も絶えないらしいが。
「守護天使ジャミルだな?入れ、オムイ様がお待ちだ、オムイ様は
神に代り、天使界を治める尊いお方、くれぐれも粗相の無い様にな……」
護衛天使の脇を通り、長老の間に入ると、小太りで長髭の小柄な老人が
ジャミルを待っていた。この老人が天使界の長、オムイである。彼は
天使界の長として、気が狂う程の遠い遠い長い年月を生きているのである。
その命数は数千年、一万年とも……。
「よくぞ参った、守護天使ジャミルよ、守護天使としての地上での
初のお役目ご苦労じゃったのう、とは言え、今まではイザヤールが
お役目で同行していたが……、どうじゃ?お主ももう守護天使として
昇格した身、これからは一人でもやっていけそうかの?」
「ま、やって出来ねえ事もねえよ……」
「ほほう、ジャミルは中々の自信家じゃのう、結構結構、若いモンは
こうでなくては、……そんなジャミルに次のお役目を与えるとしよう、
地上でお主は人間達の感謝の結晶、星のオーラを手に入れた筈じゃな?
……次にやるべき事は分かっておろう、天使界の頂きにある世界樹に
そのオーラを捧げるのじゃ、世界樹はやがて育ち、その実をつける、さあ、
行くがよい……」
……うえ、休む暇なしスか……、と、ジャミルは一服したいのを
堪えながら、しぶしぶと今度は世界樹の元へと向かうパシリ天使
なのであった……。この階の大きな扉から外へ。……世界樹の有る上へ、
上へと……、只管登って行く……。
天使界の頂に有ると言う世界樹。其処に集めた星のオーラを捧げる事が
ジャミルのお役目らしい。嫌になる程の長い階段を登り終えた先にある
頂上の世界樹へオーラを捧げ、無事お役目を果たしたのだった。
そして、彼は今報告の為、再び長のオムイの部屋を訪れている。
「ご苦労じゃったのう、ジャミルよ、して、世界樹の様子は
どうであったかな?」
「ああ、オーラを捧げた途端、眩しい程ピカピカに輝いてたよ、
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編1 性悪天使降臨 作家名:流れ者



