ヒロアカ世界でありそうな事~人気調査3~
校長と担任が学園へ諸々の手続きをしに来訪した後、明智学園を後にしようとしている荒井一家を見送りに来ていた。荒井翔太が未来で行う犯罪行為が脳裏に焼き付いている教師達はもう奴の顔を見なくても済むと清々とした顔をしている。そもそも...荒井が非道な組織の一員として吐き気のする様な所業を行うのは学園を卒業してから10年以上経った頃の事なので自分達には責任が無いと思っているのは明白である。そんな場所に1人の少年が近付いて来た。
「荒井翔太...」
「お前は......四世?」
「四世君!?」
「どうしたんだ!?」
調だった...どうやら、何処かで荒井一家を見かけたのだろう...来た様である。
「お前...学園を去るみたいだな?」
「......」
「最後にお前自身も見てみるか?不公平だろ?身に覚えの無い事で皆から白い目で見られてよ?」
「四世君!?何を!?」
「俺......コイツみたいな人間を信用していません...今は皆から非難されて凹んでいるみたいだけど...すぐに忘れて似た様な事をするかも知れないと思っています」
「「「......」」」
「だから...自分が“人間”だと思っている内に!脳髄に自分が踏み躙った子供達の姿と“読者(みんな)”の声を叩き込んでやります!!」
自分の正体を“人の皮を被った悪魔”だと暴いたクラスメイトの言葉に様々な感情が脳裏に襲って来た荒井は何時の間にか叫んでいた!!
「やれよ!そんなに言うなら見せろよ!!俺が“悪魔”だって見せてみろよ!!」
「「翔太!?」」
荒井翔太の絶叫に調は動じずに言葉を続ける。
「いいんだな?お前は自分に関わりの無い人間が何人も死んでも何も感じない様な人間だ!僕もお前がどうなっても責任なんて取らない!!」
「あぁ!構わないよ!!俺はもう普通には生きられないんだ!!どうなっても構うモンか!!」
荒井の了承を得た調は懐からボイスレコーダーを取り出した。
「聞きましたね?やります!!」
「四世君!」「校長先生!!」
「速見先生!?」
「やれっ!後の事は任せろ!!」
速見先生に後押しをされた調は荒井翔太の顔面を右手で掴んだ!!掴まれた荒井の視界が真っ暗になると暗闇に画面が現れて彼が登場する物語が流れ始めた......そして、
「あああぁぁぁあああ!!これが俺か!?俺はこんな大人に!?こんな人間になるのか!?嫌だ!嫌だぁ!!!!!!」
恐怖と罪悪感で泣き叫ぶ荒井翔太の眼前に無数の眼と口が現れていた...眼は“人の皮を被った悪魔”に対する怒りと嫌悪で滲んでおり、口にも憤怒が浮かべているのが解かる。そんな眼と口が奴の周囲180°に出現していた!そして、口が開いて“人の皮を被った悪魔”に向かって声を発した。
『お前の所為で何人も死んだ』『お前達の所為だ』『クズ野郎』『ゲス野郎』『偽善者』『人殺し』『お前達は“人の皮を被った悪魔”だ』『全てはお前の所為だ』『腐れ外道』『女の敵』『詐欺師』『クズモブ野郎』『救いようが無い』『卑怯者』『卑劣漢』『疫病神』『死神』『てめぇらだけで死ね』『小悪党』『差別主義者』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね』『死ね!』『死ね!!』『死ね!!!』『死ね!!!!』『死ね!!!!!』『死にやがれ!!!!!』
「あああぁぁぁあああ!!あああぁぁぁあああ!!うぎゃぁぁぁあああ!!」
「翔太!しっかりしろ!!」
「お願い!」
調から脳へとダイレクトに“伝達”された“読者”達の感情が籠った言葉を注ぎ込まれた荒井は大声で泣き叫び始めた!!両親は流石に心配しているが......調や教師達は能面の様な表情で眺めている...荒井翔太という男が平行世界で非道な犯罪組織の一員として行った事に比べたらこんな事は罰ですら無いと感じているのである。そして、荒井は自分の足を誰かが掴んでいるのを感じて足元へと目線を向けると無数の子供達が...自分が顔の無い子供達の死体の上に立っているのに気付いてしまった。
「あぁ...これが...俺の...本性...これが俺が選ぶ...」
“人の皮を被った悪魔”となる素質を持って生まれて来た少年はそう呟くと......泣きながら意識を失ったのだった。それから、騒ぎ出した荒井夫婦に調が息子の本性を見せて黙らせると夫婦は青い顔をして学園を後にしたのだった。その数年後......荒井翔太という青年が行方不明になったというニュースが流れたのは別の話である。それから数年後......
「っていう事があったんですよ......『高木友男』先輩?」
調は大学の飲み会で2学年上の男子大学生に向かって.荒井翔太という“人の皮を被った悪魔”となる予定だった同級生の話をしていた。周囲の面々は既に調の“個性”を知っており、興味津々という感じで聞いていた。対する高木友男はまるで睨み付けるかのような顔で自分を見ている後輩に少し不快感を抱いている。
「で?その話が本当ならよぉ...何が言いたいんだ?」
「僕の視た“記憶”の中には荒井と仲が良い同僚で一緒に子供達を弄んで殺していた...“お前達”曰く“処分”していた共犯者がいたんですよ」
「お前達?」
「高木友男......あんたは北海道の出身みたいですね...どうりで見付からなかった筈だ」
周囲の学生達も騒めき出した。
「えっ!?何々!?」
「もしかしてだけど......高木君も...その『荒井翔太』って人と同じ“物語”に登場する組織の?」
「うわぁ~...だったら、ドン引きだわ!!」
調は席から立ち上がると言葉を続ける。
「高木先輩...あんた、俺や荒井よりも年上ですよね?だったら、あんたを未来予知系の“個性”を持った人に見て貰ったら荒井だけじゃ判らなかった事が判るかも知れない」
「えっ......マジで高木クン!さっきの話で出て来た“悪魔”の仲間なの!?」
「うわぁ...粗暴な奴だと思ってたけど...っんな奴だったとはな」
「何だよ!?さっきから!その言い方は!?生意気だろ!後輩の癖して!!」
調は荒井同様にストレス解消で自分よりも圧倒的に弱い立場の子供達を嬲り殺しにする外道になる予定の男に対して屹然とした態度で言葉を続ける。
「悪いですが...“悪魔”を敬うつもりは無いよ!!」
「てめぇ!?」
作品名:ヒロアカ世界でありそうな事~人気調査3~ 作家名:ブロンズ・ハーミット