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zoku勇者 ドラクエⅨ編2 解雇された天使~束の間の休日

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「わかんねーぞ!もしかしたらあるかもしんねーじゃねえか!
糞ジャミ公!」
 
2人は罵り合いながら村への帰り道を急ぐ。何だかんだ言って、
似たモン同志のコンビは徐々に友情を深めつつ……、あった。
そして、再び村の門前。子分は早くも戻って来た2人を見て、
呆れるやら何やらだったが、ニードはジャミルにキズの手当てを
して貰った事を伝えると、子分は心底喜び、ジャミルに何度も頭を下げた。
だが、又明日も懲りずに出掛ける事も伝えておくと、再び呆れた。
 
「じゃあな、ジャミル、又明日、門の所でな、待ってるからよ」
 
「ああ、寝小便すんなよ!」
 
「……するかっ!」
 
ジャミルもリッカの家へと戻るが、リッカは全身汚れて真っ黒の
ジャミルを見て大騒ぎであった。
 
「すぐにお風呂沸かすから入って!早く早く!もう~っ、
ニードと一体何して来たの!?」
 
「ん~、内緒!……芋掘り!」
 
「……はあ~?」
 
リッカは呆れるが、ジャミルの何だか嬉しそうな顔を見て、
本当に2人が仲良くなったのを確信し此方も何だか安心
するのであった。そして、翌日再び早朝。ジャミルは約束通り、
村の正門前へ。だが、肝心のニードが何時まで立っても
現れないのである……。
 
「来ねえなあ~、何やってんだ、アイツ……」
 
「もしかしたら、親父さんにバレてとっ捕まったのかもなあ……」
 
「……」
 
ニードの子分の言葉が気になり、ジャミルは村長の家へ。と、
家の前で何やら可愛い女の子とニードが会話しているのが見えた。
 
「お兄ちゃん、お願いよ……、お願い聞いてくれなきゃ、
お父さんに言うよ……」
 
「ちょっ、お前……、無理いうなよ……、第一……」
 
「妹……?妹なんていたのか……、お前」
 
「あ、ジャミル……、わり、遅れちまって、ちょっと困った事に
なっちまってよ……」
 
「あなたがジャミルさんですか?お噂は兄から聞いております、
初めまして、こうして直に会うのは初めてですよね、私、
ニードの妹です」
 
……兄貴とは似ても似つかない程、丁寧な対応の妹である。
妹はジャミルに向かってちょんと頭を下げた。
 
「……峠の道の件、こいつにばれちまってよ……、で、
条件付きで揺さぶられてさあ、言う事聞かないと親父に
ばらすって脅されてんだ……」
 
「……バカだなあ、ドジ!」
 
「うるせーよっ!……ううう~」
 
ニードは相当困っている。どうやら普段から妹にも
相当頭が上がらず立場の弱い兄貴らしい。
 
「で、その条件てのは何なんだ……」
 
「それ程難しい事は頼んだつもりはないんですけど……、
峠の道に向かうのならと思いまして、私もお使いを
頼もうと思ってるんです、此処から北東に向かった所に、
大きな蜘蛛の巣があるんですが、其処に有るまだらくも糸で
洋服を作ってみたいんです……、ちょっと採って来るだけ
ですもの、簡単でしょ?」
 
「……おい、簡単じゃねえぞ!あそこのクモは一体どれだけ
でけえと思ってやがるっ!」
 
「仕方ねえ、行くよ、いいぞ、採って来てやる、その代り
あんた、約束は守れよ、コイツの事、絶対に親父さんには
言わないでいてやってくれよ?」
 
「ジャミルっ!?」
 
「ええ、ええ!ちゃんと取って来てさえ頂ければ!私、ちゃんと
ジャミルさんとお兄ちゃんが帰って来るまで待ちます!」
 
「よし、大丈夫だ、交渉成立したぞ……」
 
「うえ~……、何でこうなるんだぁぁぁ……」
 
ニードは情けない声を出す。何とか妹は上手く巻いたものの、
余分なお使いが入り、又峠への道が遅くなってしまいそうである。
項垂れるニードを引っ張りながら、ジャミルは再び村の門を潜り、
外へと飛び出すのだった。
 
「行ってらっしゃい!……人には優しくよ、お兄ちゃん!」

2人は再び村の外へ。しかし、峠の道へと向かう前に、ちょっと
やる事が増えてしまった。まずは北東に有る巨大蜘蛛の巣に行き、
まだらくも糸を失敬してくるのである。
 
「あそこか?」
 
「ああ間違いねえよ、けど、悪い事は言わねえ、よそうぜ、
見ろ、あの巣の大きさを……、ハンパじゃねえだろ、うっかり
すると人間だって食っちまう程クモだって大きいんだぜ?
妹には何とか言って誤魔化……、あああ!」
 
確かに目の前には巨大な蜘蛛の巣。ニードが言う通り、
下手をすれば人間だって掛る程の大きさである。しかし
ジャミルは構わず蜘蛛の巣の上に乗る。……ジャミルが
乗ると、糸はギシギシ音を立て揺れる。まるで吊り橋の様に。
 
「バカっ!……も、戻ってこーい!ジャミ公ーーっ!!」
 
「お前は其処に居ていいよ、糸は俺が採って来るから、
……主がいねえのが幸いだな、よしっ!」
 
ジャミルはニードが叫んでいるのにも構わず、糸の上を器用に歩き、
更に中央部分へとたどり着いた。
 
「……ん?」
 
「モン~……」
 
中央付近で更に奇妙な生き物……、モンスターと遭遇。糸で
ぐるぐるに拘束され、唸っているモンスターである。外観は
まるで子牛の様なモンスター、モーモン。この付近にも出没する
モンスターで、ジャミル達も何回か遭遇していた。一見可愛らしいが、
人間など攻撃してくる時は恐ろしいモーションをするモンスターである。
実は人間を襲おうとしているのではなく、遊んで欲しいらしい説も
あるが本当かどうか謎。この拘束されているモーモンは更に一回り
体格が小さく、まだ子供であった。
 
「お前も捕まったのか、やれやれ……、待ってろ、うん、丁度いいや」
 
「モン~……」
 
「あああ、お、俺……、もう知らね……、ううう、守護天使様……、
どうかあの馬鹿ジャミルを、どうかどうかお守りくださいっ!」
 
ニードはハラハラしつつ、ジャミルが無事に戻って来るのを
待っている……。やがてジャミルは平気な顔をして戻って来た。
何だか変なお土産を抱えて。
 
「おおお、ジャミルっ、無事だったかあっ!……!?」
 
「おー、ただいま、ちゃんと糸も取って来たぜ、この通り……」
 
「……ぎゃああああーーっ!?」
 
「?」
 
ニードはジャミルが持って来たお土産……、を見て、
すっ飛びあがる。
 
「何だそりゃあーーっ!おま、おま、おまままま!
モンスターじゃねえかっ!は、は、は、早く捨てろ
おおおおーーーっ!!」
 
「モーモンて奴か?まだ子供だよ、うっかり巣に
掛かっちまったんだよ、それにこいつに糸が
巻き付いてたからついでに楽に採取できたのさ!」
 
「子供だって何だってモンスターはモンスターだぞっ!
早く何処かへ捨てろおおーーーっ!!」
 
「……だ、そうだ、ほれもういいぜ、早く帰んな、
もうドジ踏んでクモに捕まるなよ!」
 
「モンーーっ!……キシャアアアアーーーっ!!」
 
「ぎゃああああーーーーっ!!」
 
モーモンは子供とは言え、大口を開けると非常に凄い表情になり、
グロテスクな鋭い牙を見せた。これでも、お礼を言っているのである。
モーモンは尻尾ふりふり、そのまま何処かへ飛んで行った。
 
「はあ、良かったな、これで糸も取れたし……、おい?
ニード……?」
 
「……」