zoku勇者 ドラクエⅨ編2 解雇された天使~束の間の休日
あ、ジャミルは気にしないでゆっくり食べてていいからね!」
「頂きまーすモン!シャアーーっ!!」
「……」
リッカは後片付けに台所へ。……そして、一人で静かに
祈りを捧げるのであった。
「今、私達に出来るのはルイーダさんの無事を祈る事だけ、
……守護天使ジャミル様、……どうかルイーダさんを
お救い下さい……」
「……キサゴナ遺跡かあ、何とか動いてみるか……」
「おいしー!パンケーキってすっごく美味しいんだモン!」
「……」
次の日。ジャミルは早朝早く再び村長の家へ。
キサゴナ遺跡へ向かうのに、何とかニードにも力を
貸して貰えないか、頼もうと思っていた。
「何だね?私は今立て込んでおるのだよ、暫くは
バカ息子も謹慎だ……」
「悪ィな、ジャミル、オレ、昨日から頭ん中が
パニックでふにゃふにゃだよ、……当分家からも
出らんなくなっちまった、あーあ……」
ニードは昨日からまだ村長の説教が終わって
いないらしく、疲れ果てていた。村長も未だ
不機嫌極まりないらしく、ジャミルの顔を
見ただけで眉間に皺を寄せた。……これでは
とてもニードに応援を頼むのは無理っぽい。
仕方なしに今回は一人でいくしかなかった。
「……駄目だったモン?」
「ああ、仕方ねえよ……、ま、何とかなるさ!」
「おじやってやっぱり怖いモン……」
「……」
「そうだったのか、じゃあ、今回はジャミル一人で
行くのか、気を付けてな……」
ジャミルは再び村の正門の所へ。門の所には相変わらず
ニードの子分がいたが、これから一人でキサゴナ遺跡へと
向おうとしているジャミルを心から心配してくれていた。
「これ、使ってくれよ……」
「薬草……、いいのか?」
「ああ、アンタはニードさんを守ってくれたからな、へへ、
こんな事しか出来ねえけど、頑張れよ!」
「ありがとな!助かるよ!」
「……馬鹿でほっとくと何しですか分かんなくて、本当、
疲れる人だけど、オレ、あの人の事、大好きなんだよ……」
「俺も、最初の時は嫌なタワシ頭野郎だって思ってたけどさ、
結構いい奴だよな……、バカだけどよ……」
……自分の事を棚に上げ、ジャミルはそう言って笑いながら
子分から薬草を受け取る。子分も嬉しそうであった。
「さ、行くか!キナクサ遺跡へ!」
「おいおい、キサゴナだよ、……本当に大丈夫か?」
「ジャミル、モンも付いてくモン、一人じゃないモン!」
「おう、そうだった、お前もいたんだな、よしっ、
行くぞーっ!」
「モンーっ!」
……頼もしい?相棒と共に、ジャミルは子分に見送られながら、
キサゴナ遺跡へ向かう。
「……ところでジャミル、キサゴナ遺跡って何処だか
場所分るモン?」
「え……、っと、それはっ!」
勢いよく村を出てきたは良いが、肝心の遺跡の場所が
分からないんである。モンに突っ込まれジャミルは焦る。
「……此処から多分東の方だと思うモン」
「そ、そうか!おま、詳しいな!よし、イクゾおーっ!」
「ジャミル、そっち東じゃないモン!どっち行くモン!
……そっちは西モンーーっ!」
モンに突っ込まれ捲りながらも、ドジジャミルはどうにか
目的の場所、キサゴナ遺跡へ。遺跡はウォルロ村から東南の
方角にあった。道中どうにかズッキーニャ辺りは遭遇すると
勝手に逃走してくれる様になり、この辺の敵では安心して
戦えるぐらいの適応のLVになっていた。
「はあ~、此処か……、よ、よしっ!」
「ダンジョンチャレンジ頑張るモン!」
モンはいるが、今回はニードもいない、この世界では初めての
ジャミル一人での冒険となる。新しい場所なので、当然新規
モンスターも出て来るのが当たり前。気を引き締めて目の前の
遺跡の扉を開いた。
「……六角形の形のダンジョンなのか?変わってらい……、お?」
入り口から真っ直ぐ進むと、更に目の前には石碑。しかし、
その先の道は壁があって進めず。
「……これ以上の魔物による犠牲を出さない様、この先の道を
封じるって書いてあるな……、困ったな……」
「ジャミル、うしろうしろ、誰かいるモン!」
「ん……?」
立ち往生し困っていると、モンが騒いでいる。振り向くと
半透明の人間が後ろに立っていた。初老の商人風の男であった。
明らかにもうこの世の人物ではないと言う事が分る。
「お前にも見えるのか?あのおっさん……」
「見えるモン!あっ!」
初老の男はふらふらと別方向の道の方に移動しふっと消える。
……まるでこっちだと案内しているかの様だった。
「此処でボケッとしてても仕方ねえ、おっさんが消えた
あっちの方行ってみっか」
「モン」
ジャミルは男が消えた左の方の道へ。……突き当りの
行き止まりの部屋の奥に戦士の像が設置してある。
「……その像の……背中に……」
「え?あ、ああっ!?」
再び先程の幽霊の男が現れ、言葉を一言残し、また
ふっと消える。
「ん~、成程、ここんとこ背中の部分にボタンが……」
ジャミルはボタンをぽちっと押してみる。……すると辺りに
凄まじい音が響き渡る。何処かで何か扉が開く様な音が
響き渡った。
「さっきの処モン!」
「よしっ!」
急いで先程の石碑があった場所へと戻ると、道を塞いでいた
石碑が動き……奥の部屋へと進める様になっていた。
「これで先に進めるな……、けど、ルイーダって奴は一体
どうやってこの先に進んだんだ?」
先へと進むと二つの階段が。取りあえず右の方の階段を
下りてみる。この階からモンスターの姿もちらほらと
見え始める。新規でまず最初にお目見えしたのは笑い袋。
「ケケケケケ!バカケケケー!」
「……笑ってんじゃねえよ、よし、ここでの最初の腕試しっ!
モン、下がってな!」
「モン!」
……笑うから笑い袋なのだが。ジャミルはモンを後ろに
下がらせ、銅の剣を構える。が、笑い袋が、魔法使い系の
一つ目モンスター、ピエロの様なタラコ唇の見習い悪魔を
召喚、ジャミルに向かってメラを放出してきた。ジャミルは
構えていた剣で慌ててメラをガードする。
「危なねえなあ、このやろ!ちっ、……魔法使う方が厄介だな……、
しかも、このピエロ……、見てると何か思い出すし!腹立つ!」
どっかの糞ピエロ:やあ、呼んだかなあ~?リクエストあれば
何処でも出るよーっ!
「ジャミル、モンもお手伝いモン!……おならプーモン!
昨日食べたパンケーキのにおい!」
モンが加勢してくれ、笑い袋に向かって一発噛ます。
言葉だけだといい香りの様だが、嗅がされたニオイに
笑い袋はひっくり返る。しかし、とんでもない技を
学習してしまった天才モーモンちゃんであった。
「……俺知らねえし!とにかくっ、ええーいっ!取りあえず
アンタはお黙りっ!」
銅の剣を振り回し、見習い悪魔に会心の一撃!どうにか
モンスター共を大人しくさせた……。
「ふ~、疲れんなあ、どうせボスがいるんだろうし、
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編2 解雇された天使~束の間の休日 作家名:流れ者