zoku勇者 ドラクエⅨ編4 姫君と黒騎士・1
違いない!……それゆえワシはお主の様に自由に行動出来る
人材が欲しかったのじゃ……」
んじゃあ俺、早い話が、暇人て事か……?と、ジャミルは
複雑な心境になった。
「お父様!彼らは無関係な旅人ですよ!巻き込むなんて……」
「お前は黙っていなさい!……これ以上あやつの好きな様には
させぬぞ……」
「……酷い……、あんまりですわ……、私の気持ちなど分ろうとも
しないでっ……!」
「!?あ、ああっ!ジャミル、お姫様が行っちゃうよお!」
「……姫様っ!」
「モンーっ!」
ダウドとアイシャが走って行ってしまったフィオーネを心配するが……、
国王は大丈夫だ、心配あらぬとばかりに首を振った。
「お主達にも心配を掛けてすまぬな、フィオーネは責任感の強い娘だ、
この件に責任を感じておるのやも知れぬ、それではジャミルよ、これから
シュタイン湖に赴き黒騎士の所在を確かめて来てくれ、もしも奴が其処で
待っておったらお主の腕の見せ所じゃ!徹底的に叩きのめしてまいれっ!」
「……」
「ああ、姫、かわいそうなフィオーネ……、あんな黒騎士などに脅されて……」
4人は国王からシュタイン湖の場所を聞くと城を出る。……背中に
王妃のおいおい泣く声を耳に受けながら……。
(ねーねー、ジャミルっ!)
「何だよ……」
城を出てのそのそ歩いていく4人。ジャミルの耳元にこっそりと
発光体のサンディが囁く。
(ここの人達、なーんか黒騎士に困ってたっぽくネ?これは人助けの
チャンスだって!これだけの人達からカンシャされて星のオーラが
貰えれば神サマもきっとアタシ達を見つけてくれるハズ!なんか希望が
見えてきたんですケド!んじゃあ、さっそくアタシ達もイッチョ黒騎士
退治にいっちゃいマスかっ!?)
「今日は行かねえよ、明日だ、……日も暮れて来たし、皆と話も
あるしな……、それに堪ったゴールドで新しい武器と防具も調達
しねえと、色々準備があんだよ……」
(んーっ!……イケズッ!)
国王に頼まれた以上、シュタイン湖に行かなくてはならないのは
山々だが、ジャミルも皆も……、走り去る際のフィオーネの涙を
見てしまった為、複雑であった……。黒騎士の姫を狙う本当の真意も
目的も彼の詳細もジャミル達は分らない為、果たして国王の判断
だけで悪者と決めつけて本当にいいのかと……。
「んーっ!んまー!」
「おいしーい!」
「最高だね!」
「おいひーよおー!」
「♪モンモンー!」
取りあえず宿屋に戻った4人とモンはロビーテーブルにて
リッカ特製の夕ご飯を頂く。今日は特製のナポリタンにサラダ付き。
「もう~、みんなオーバーだよ、でもいつも美味しそうに食べてくれて
私、本当に嬉しいな、これからも頑張るから宜しくね、えへへ……」
そして夕食も食べ終え、4人は貸して貰っている部屋へと移動する。
「はあ~、ついさっき目玉焼き食べたと思ったらもう夕ご飯だもんね、
ホント、この話って時間立つの早いよお~……」
「モンモン~、……流石にモンももう食べられないモン~……」
お腹をさすりながらダウドがぶつぶつと……。アイシャに沢山
ナポリタンのお零れを貰ったモンは口の周りがケチャップで汚れ、
アイシャが拭いてやったものの、汚れが落ちず、某ハンバーガー屋の
ピエロの様な凄い顔になっていた。
「黒騎士さん……、私達はまだ会った事ないけど……、きっと
悪い人じゃないわ……」
「ん?オメー、んな事わかんのかよ……」
此方も……、急に目を輝かせてアイシャがブツブツ言い出した……。
「私には分るわっ!……そうよっ、だって、あの時のフィオーネ姫の涙……、
そうよっ、フィオーネ姫は絶対黒騎士さんに恋してるのよっ!」
……このアイシャの発言が……、次回、またまたジャミルとアイシャの
ケンカの原因へと……。
「……ひ、ひひひひっ!」
「ちょ!ジャミルったらっ、何でそこで笑うのようっ!失礼ねっ!」
「い、いや……、やっぱお気楽な少女趣味の思考だなって思ってさ、
……くくく!」
アイシャは顔を真っ赤にしてジャミルに怒るがジャミルは
只管笑い転げている。……あーあ、始まったかとアルベルトと
ダウドは諦めた様に騒動が始まるのを覚悟した。
「もーっ!いいわよっ!うっかりジャミルの前でなんか言うんじゃ
なかったわっ!バカっ!野蛮っ!スットコドッコイっ!変態原始人!
アウストラロピテクスっ!いーだっ!」
「……おいっ!んだよ、最後のはよ!コラ待てっ!この暴走ジャジャ馬っ!」
アイシャは激怒したままモンを連れ自分が寝泊まりする
部屋の方へと逃走。……今回は何日ぐらいで収まるんだろう
ねえと、アルベルトとダウド……。
「ったくっ!あの野郎っ!!」
「……あのさ、誰がどう見たってジャミルが悪いよ……、君、本当に
デリカシーの無さと不器用な処……、相変わらずだね……」
「だよお~……」
(アンタの観察記録、つけとくネ、……ふむふむ、乙女心のわかんネー
困った古代人の変態アウストラロピテクスと……)
「……うるせーうるせーっ!あーっ!どいつもこいつもっ!
……知るかっ!アホっ!」
「あの……、ジャミル?」
「……」
ダウドが声を掛けるが、ジャミルはベッドに突っ伏し、毛布に顔を
埋めた状態のままそのまま寝てしまった。
「ほっといてあげよう、アイシャとケンカして機嫌が悪いんだから……、
まあ、いつものパターンだからさ……」
「そうだねえ……、ま、これがなきゃジャミルじゃないしね……」
やがて夜も更け、アルベルトとダウドも眠りについた頃。……お約束。
不貞腐れて先に寝てしまったジャミルは夜中に目を覚ます……。
「……冗談じゃねえっつーの……、うるせーガングロも気配がしねえな……、
奴も休んだか、やれやれ……」
変な時間に目を覚ましたジャミルは一人、ロビーへと降りてみる。
……当然の事ながら、リッカも従業員達も就寝中である。
「しっかし、アホだなあ、俺って……、……ま、自覚があるんだから
エライっしょ……」
と、一人でブツブツ言いながら誰もいない夜中のテーブル席へと
腰を降ろした。
「……?」
と、ジャミルは誰もいない筈のロビーで何となく人の気配を感じ、
周囲をちらっと見渡してみる。すると。
「やあ……」
「!?」
「君には私の姿が見えるのか……、私の姿が見えると言う事は、
君は……、いや、そんな事はどうでもいい事だ……、だが、これも
何か運命の導きなのであろうな……」
「あんた……、何モン?……天使界の奴か?それにしちゃ、現地に
いた頃もお目に掛った事ねえけど……」
カウンターに突如出現した、天使の輪と翼を持つ謎の人物……。
飄々とした態度でジャミルに接してくる。口調は男の様であるが、
ナイスバディで胸が大きく、美しい外観から女性である事は間違いない。
「私の名はラヴィエル、閉ざされた運命の扉をこの手で開く者だ、
君に私の力を貸そう、私はこの手で天使だけが通れる異次元の扉を
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編4 姫君と黒騎士・1 作家名:流れ者