zoku勇者 ドラクエⅨ編5 姫君と黒騎士・2
「レオコーンさん、私達もやっと助太刀出来そうね!」
「……そう言う事です!」
(特にお役に立てないし、アタシ事サンディちゃんは、今回も
寝てますので~!ごエンリョなく頑張ってネ~!)
4人はレオコーンの横に並び、武器を構え、変な容姿の女を睨み
戦闘態勢に入った。……明らかにこの怪しい女が敵なのは目に
見えている。女は現れた4人組を見るとくすりと笑う。……そして
再びレオコーンの方を見た。
「これはまた、随分と可愛らしい援護隊だこと、貴方を追って
この坊や達もわざわざこんな所まで来たのね、泣けるじゃないの……、
くくく……」
「うるせー黙れっ!オメーは一体何モンなんだっ!」
「ジャミル、こやつこそ、お前達が聞いたわらべ歌の中に
登場する魔女……、そう、妖女イシュダルだ……、私が
魔女討伐を命じられた魔女……」
「……私はルディアノを滅ぼすべく、闇より遣わされし者……、
だった……」
「そうか!……こいつがっ!」
「くくく……、勇ましいボウヤね、でも、お姉さんの相手をするには
まだ数1000年は早いわね、出直していらっしゃい……」
「……う、うるせー、何がお姉さんか!この変態ババアっ!!」
ジャミルは改めて笑っているイシュダルを見る。真紅の瞳、
紫色の翼、足は無く代わりに木の根の様な物が生えている。
そしていかにもな、誘う様なポロリの露出丸出しの胸……。
ジャミルは何となく、ちょっと対応に困っている……、様にも見えた。
「……嫌らしいわね!ちょっと胸が大きいからって何よっ!」
「なんか嫉妬してるよお、アイシャ……」
「ダウド!うるさいのっ!!」
「ジャミル、私は今、全てを思い出した……、イシュダル、……私は
貴様を討つべく、このルディアノ城を飛び出し、……そして……」
「私に敗れ、永遠の口づけを交わした、……貴方と私は
数百年もの間、闇の世界で2人っきり……、貴方は私の下部……、
そうでしょ、レオコーン……、ルディアノを滅ぼすなんて
どうでもよくなってしまったもの、……あなたの素敵さに
一目ぼれだったのよ、……分るかしら?」
「黙れっ!……貴様の所為でっ!……メリアはっ!!」
「でも、結果的にルディアノを滅ぼしたのは私ではないのに、
恨みを買うのも御免よ、いい加減にして貰いたいものね……」
「……うおおおおーーーっ!!」
「……よせっ!レオコーンっ!!」
ジャミルが叫ぶが、レオコーンは怒りで我を忘れイシュダルに
槍を向け突っ掛って行く。だが、イシュダルはまるで分かって
いるかの様に微動だにせず平然と反撃した。イシュダルは
レオコーンに向け、怪しい術を放つと彼を思い切り壁の方へ
叩き飛ばした。
「……ぅぐわああーーーっ!!」
「レオコーンっ!大丈夫かっ!?」
4人は倒れたレオコーンに慌てて駆け寄るが、レオコーンは
ダメージを負っており、かなり苦しそうである……。
「アホッ!だから何で一人で突っ走るんだってのっ!」
「う、ううう、すま……ぬ……」
「ふう、切れるとそうなるのは君も同じだろ……」
「……何だっ!アルっ!?」
「ダウドっ、ホイミよっ!レオコーンさんに!」
「で、でも……、かなり苦しそうだし、オイラのホイミじゃ
治療出来そうにないよお、もしかしたらべホマなら何とか
なるかも知れないけど……、今じゃとっても無理だよお……」
「でも、でも、このままじゃ……、レオコーンさんを助けてあげないと……」
アイシャは床に倒れたままもがき苦しんでいるレオコーンを必死に
介護しようとする。……レオコーンは苦しみに飲まれつつも、何とか
顔を上げ、自分を心配してくれている4人の方を見上げ口を開いた。
「……どうやら……、再び呪いを掛けられたようだ……、あいつを
倒さなければ……、我に掛けられたこの呪いは永遠に解ける事は無い……、
だろう……」
「呪いだと……!?」
「ククク、馬鹿な男、あの大地震の所為で私の呪いは
解けてしまったけれど、こいつにもう一度掛けてやったのよ、
……2人きりの世界に誘うあの呪いをね!」
「ど、どこまで卑劣で傲慢なおばさんなのよっ!もう絶対に
許さないわーーっ!!」
「ま、またっ!オメーはっ!……アイシャーーっ!」
「……駄目だっ!アイシャっ!」
「わあああーーっ!?」
アイシャもプッツン切れ、イシュダルに向かって突っ掛って行く。
咄嗟にアイシャを止めようとジャミルよりも早くアルベルトも
即座に飛び出した。……そして、何故か今回は錯乱しているのか、
ダウドまでもが……。
「馬鹿なクソガキ共め!……死にな!」
「……きゃあーーっ!!」
「うわあああーーっ!!」
イシュダルは突っ込んで来た3人を見ながら不敵に笑った。
するとイシュダルの身体から紫色の鞭の様な光が飛びだしたと
同時に、アイシャ達を拘束し、身動きをとれなくしてしまうのだった。
「……皆っ!畜生っ!」
「ジャミル、……ごめんなさい……」
「……ジャミル、僕らの事は大丈夫だから……、あいつを……」
「苦しいよお~……、何でこうなるのさあ~……」
「……先に邪魔なこいつらから片づけてあげるわ、レオコーン、
その後でね、楽しみましょうね、2人だけの永遠の世界を……」
「……おのれ、イシュダル……、う、ううう……」
イシュダルは笑いながら拘束されている3人に近づく。しかし、
咄嗟に仲間達を庇い立ち塞がる者が一人、……ジャミルである。
「やめろ!……糞ババア、……これ以上仲間に手ェ出してみろ、
……許さねえぞ!」
「おや、アンタにはまだ掛けていなかったね、……まさかアンタ、
レオコーンとこいつらを助けようってんじゃないだろうね?
この男に掛けた呪いの威力を見ていなかったのかい?
……だとしたら相当のバカだね!アンタもさ!いいわよ、
それじゃお望み通りアンタにも掛けてあげる!とびっきりの呪いをね!」
「……」
(……わわわ!や、やっぱジャミルって凄いバーカ!?
命シラズ親不知っ!?も~どーなってもアタシしんないん
だかんネっ!)
ジャミルは自分にも呪いを掛けようと、じりじり迫ってくる
イシュダルをキッと強く睨み返した……。
「……」
「な、何故っ!?このガキ……、何故に私の呪いが効かないっ!?
……呪いを弾き返しただと……?お前は何者だっ!……通常の
人間ならば必ず私の呪いに掛かる筈、も、もしやお前はっ!?」
「黙れ、うるせんだよ、俺が何だかとか、んな事どうでもいいっての!」
「あはっ!何だか急に動ける様になっちゃったわっ!」
「助かったよ、ジャミルっ!」
「……全くっ、冗談じゃないよおー!」
イシュダルの呪縛に掛かっていた3人もジャミルがイシュダルの呪いを
弾き返したと同時に途端に動ける様になったらしい。自由になった
3人は急いでジャミルの元へと駆けつけた。
「……お、おのれ!……糞ガキ共!」
「よし、これで形勢逆転だな!やれやれ……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編5 姫君と黒騎士・2 作家名:流れ者