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zoku勇者 ドラクエⅨ編5 姫君と黒騎士・2

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「もう……遅すぎたのだ、……何もかも……」
 
レオコーンの絶望に溢れた悲しそうな声が玉座の間に響き渡る。
しかし、直後……。再び玉座の間の扉が開き……。
 
???:いいえ、遅くなどありません!
 
「……い、いいっ!?ひ、姫さんっ!!何で此処に!!
……それにっ!!」
 
「モンモン!」
 
「フィオーネ姫っ!モンちゃんまでっ!」
 
「……メリア……、姫……、まさか……、いや、そんな筈は……」
 
ジャミル達4人は唖然とする……。何と、玉座の間に乗り込んで
来たのは、モンを連れたフィオーネであった……。しかし、モンは
あのまんま化粧を落とさずである。……フィオーネは純白のドレスを
身に纏い、首にはある物を下げていた。
 
「その首飾りは……、まさか本当に……、あなたはメリア姫
なのですか……?しかし、あなたはもう……」
 
フィオーネ……、メリア姫はドレスの裾を摘みお辞儀をし、
一歩進んでレオコーンの前に出る。そしてレオコーンの手をそっと握る。
 
「約束したではありませんか、ずっとずっとあなたの事を待って
いると……、さあ、黒薔薇の騎士よ、私と踊って下さいますね?
かつて果たせなかった婚礼の踊りを……」
 
「……メリア姫……、この私を許して下さるのですか……?」
 
メリア姫はレオコーンの顔を見て静かに微笑んだ。
 
「……お、おおおっ!?」
 
「きゃあー!?」
 
レオコーンの身体が光だし、顔を覆っていた黒い兜が消える。
そして素顔のイケメン顔が現れたのであった……。2人は手と
手を取り合い、婚礼の踊りを踊る。……かつて果たせなかった
約束と願いが今漸く果たされようとしていた。ジャミル達は
幸せそうに踊る2人をじっと静かに見守っていた……。特に
アイシャはもううっとりさんである。
 
やがて踊りは幕を閉じ、黒騎士レオコーンとメリア姫に
別れの時が訪れる……。
 
「有難う、異国の姫よ……、貴方がメリア姫でない事はもう
分かっていた、しかしあなたがいなければ……、私はあの魔物の
意のままに絶望を抱え今も彷徨っていた事でしょう……」
 
「やはりあなたは黒薔薇の騎士様だったのですね……、初めて
お会いした時からずっと……、あなたには運命の様な物を
感じておりました……」
 
「……メリア姫の記憶を受け継ぐあなたならばその様に
思われるのも不思議では無い事なのかも知れません……」
 
「……私が……、メリア姫の……、あ、ああ……」
 
レオコーンの身体が再び光り出す。本当に時間が来た様であった。
レオコーンは素顔のままで最後にもう一度、ジャミル達4人の
方を見つめた。
 
「ジャミル、そなたのお蔭で私は本当の真実を取り戻す事が出来た、
もう何も思い残す事はない、……有難う……」
 
「……いや、俺らは別に何も……、その、ちゃんと……、今度は
生まれ変われ……よ……」
 
「さようなら、レオコーンさん……」
 
「……キャラメルとんがりコーンさん、ばいばいモン……」
 
「ま、またモンは……、全く……、では、お別れですね、
さようなら……」
 
「……あううう~!さ、さようならあ~!!元気でねえ~!!」
 
「……」
 
4人とモン、そしてもうメリア姫で無く、フィオーネに見守られ、
レオコーンは空へと昇って行き、昇天したのであった……。
消えていく黒騎士……、レオコーンの姿を最後まで見届けた
フィオーネの目から涙が零れる。
 
「さようなら、……愛しい黒薔薇の騎士様……」
 
「えーと、……姫さん、大丈夫かい?」
 
「は、はい……」
 
ジャミルがフィオーネに声を掛けると、フィオーネは目頭を
指で擦り、改めてジャミルと向き合い返事を返す。
 
「あなたに全てをお任せした筈なのに……、あの方の事
ばかりを考えていたらいても立ってもいられなくなり、
此処まで来てしまいました……」
 
……しかし、モンスターの群れ掻い潜って……、意外とパワフルな
姫さんなんだなあ……、と、ジャミルは突っ込まずいられなかった。
この件は、のちに護衛も付いて一緒に来た事も知るのであるが、
それにしても逞し過ぎだろうと思ってみたり。
 
「あの方と踊っている間、不思議な声が聞こえたのです、
優しい女の人の声で、……よく来てくれましたね、フィオーネ、
……ありがとう……、と」
 
「声か、……成程な……」
 
「それでは私は一足お先にお城に戻りますわ、この事を皆様に
お伝えしないと、ジャミル様、貴方へのお礼も改めてお城にて
させて頂きますわ、必ずお城まで来て下さいね、モンさんも此処まで
一緒に来て下さって有難う、とても楽しい旅でしたわ!」
 
「え……?あ、姫さんっ!!」
 
ジャミルが叫ぶが、フィオーネはダッシュで玉座の間を飛び出す。
4人も急いで後を追い、部屋から出るが、既にもうフィオーネの
姿は消えていた……。
 
「マ、マジでなんつー姫さんだよ……」
 
「モン、心配ないモン、お姫様は此処までは護衛の兵士さん達と
一緒に来たんだモン」
 
「な、なんだ、……なら……」
 
「でも、地下はモンと2人っきりだったんだモン、モンがお姫様
守ったんだモン!」
 
「まあ、モンちゃん偉いのね!凄いわ、ふふ!」
 
アイシャが嬉しそうにモンを抱き上げる。彼女は心からのモンの
成長を喜んでいた。しかし。
 
「モンの顔見たら地下のモンスター皆逃げてったんだモン!
……シャアーーっ!!」
 
「……」
 
モンは化け物化粧顔のまま、怒って大口を開けた。モンの顔は
フィオーネの手による更なるパワーアップメイクの所為で化け物
以上のカオス顔になっていた。……そしてジャミル達もモンスターが
逃走した理由を理解したのである。どうやらモンの顔は聖水代りに
なったらしい……。
 
「取りあえず……、帰ったらまずはそのお化粧ちゃんと落とすのよ、
モンちゃん……、でも、大分厚化粧みたいだし、……ちゃんと
落ちるのかしら……」
 
「モモンのモンプー!」
 
帰りはフィオーネが来る途中で開いてくれたらしい近道を通り、
無事城の外へと難なく出る事が出来た。こうしてルディアノの
冒険も終り、4人もセントシュタイン城へと帰国したのだった。

セントシュタイン城へと戻った4人組。先に城へと帰国していた
フィオーネから黒騎士の一件を聞いていた栗饅頭国王はこれまでと
態度を一変させ上機嫌だった。お主達は実にあっぱれな旅人じゃ!と、
言う事で4人は国王に相当気に入られたらしい。……儂も少しは
反省している。らしいが。あまりそんな風には見えなかった。とにかく、
機嫌の良くなった国王から東の宝物庫の宝を持って行って良いと言って
くれたばかりか、これまで通れなかった北東の関所も通れる様に
してくれたらしい。其所にはまた大きな町があり、何か大きな事件が
起きている様であり、行って見るが良いとの事。

「さようなら、皆さん、本当に有り難うございました、またいつでも
お城に遊びに来て下さいね、お待ちしていますわ」

「ああ、姫さんも元気でな」

「あの、フィオーネ姫、元気出してね、また、素敵な恋が見つかりますように、
私、心からお祈りしてます!」