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zoku勇者 ドラクエⅨ編7 ……いつもあなたと・2

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「ふふ、ルーくんてば、本当はね、ルーくん、凄く臆病なんですよ、
かっこつけてるけど、……そんな処が……、私は最高に大好き……」

エリザは宙に浮かんだまま、汗をふきふき困っているルーフィンを
見つめた。……ジャミルはそんなエリザの様子を見て、何だか気分が
複雑になってくる。

「ジャミルさん、さ、次のお家へルーくんをお邪魔させて下さいな」

「ん?あ、ああ……」

2人は今度は彼方此方の家を訪ねて回る事にした。まず最初に入った
家では、老人が喉を押さえ、苦しそうに呻いて咳き込んでいた。

「ううう、……苦しい……、げっほ!げっほ!」

「ばかな!病魔の呪いはもう解けている筈なのに!何故まだ病人がっ!」

「……違うよー!このおじいちゃんは食べてたお餅を喉に
詰まらせちゃったんだよ、ジャミルさん、ルーくんに真実を
教えてあげてー!」

「み、水を~……」

「……ほんとだ、……先生……、この爺さん病気じゃねえよ……、
餅が喉に詰まっちまったんだよ!」

「な、なんとっ!そうでしたか、それはよ……、良くないですっ!」

ジャミルは慌てて台所を借りると老人へと水を急いで飲ませた。
お陰で老人は事なきを得たが、もう少しジャミル達の訪問が遅ければ、
今頃……、ち-んで、昇天していたであろう。

「ふいい~、助かりましたわい、いやあ~、先生達のお陰でわしゃ
助かりましたわ、まだまだ長生きはせんといかんちゅー事ですなあ!」

「いえ、私は何も……、おじいちゃん、お餅を口に入れる時は
小さくちぎって食べるんですよ、あとは良く噛んで……」

「ほいほい、ありがとさんです!」

「先生、良かったな、さ、次の家へ回ろうか」

「そうですね……、本当に何事もなくて何よりです……」

ジャミル達は更に次の家へ。今度の家では一家の大黒柱なので
あろう、ご主人がルーフィンの姿を見ると喜びの表情で急いで
駆け寄って来た。

「先生っ!……この度は、大切な妻と娘を助けて頂いて本当に
有り難うございました!!」

「い、いえ……、そんなに頭を下げないで下さいよ、頼みますから
……、それにしても……、奥さんと娘さん、2人までも病気に……、
大変でしたね……」

「はい、とても辛かったです、あのままでは僕自身も疲労で倒れて
しまう処でした、だから……、先生は僕自身の命の恩人でもあるん
ですよ!ささ、先生、良かったら、妻と子供の顔を見ていって下さい、
今はとても状態が落ち着いていますよ」

「先生、折角だから行ってみようや」

「そうですね……」

ジャミルとルーフィンはご主人に案内され2階の寝室へお邪魔させて
貰う。寝室には奥さんと子供さんがベッドで静かに就寝中。その顔は
病魔という苦しみから解放され、本当に穏やかな表情で2人とも
すやすやと眠っていたのだった。

「くう、くう……」

「こんな小さな子供までが病魔に……、僕は一体この町の……、
いや、この世界の何を見て今まで生きてきたんだろう……、誰が
病気に掛かっていたのかも分らないで……」

「先生……」

「ルーくん、おちこまないで……、ルーくんがいなかったらみんな
助からなかったよ……」

エリザはそっとルーフィンを静かに励ます。しかし、その声は
ルーフィンには届いていない。ルーフィンは暫く無言になり俯いて
いたが、顔を上げ、頷くとジャミルの方を見た。

「ジャミルさん、もう充分です、……僕の研究室に戻りましょう……」

それから、2人は研究所へと戻る。ルーフィンの顔はまるで闇から
解放された様にすっかり明るさを取り戻していた。

「ジャミルさん、今日は本当に有り難うございました……、お陰で
エリザの伝えたかった事が分かった様な気がします、今までの僕は、
研究に没頭するばかりで、自分の事しか考えていない、独りよがり
だったんですね、だから……、エリザの体調がおかしいのにも
気づいてあげられなかった、全く情けない話です、でも、今日町を
回ってみて、僕はいかに色んな人と接しているんだなって、そして
支えられているんだなって、初めて感じました、……これからは
この気持ちを忘れず、ベクセリアの人々と共に生きて行けたら……、
そう思うんです……」

「だな、やっぱ人は一人じゃ生きていけねえんだよ……、な……」

ジャミルはやっぱりルーフィンは変わったなあ……、と、しみじみ思った。
だが、彼を変える事になったその切欠は愛する妻の死であったと言う事は、
とても切ないのである。

「それに……、みんなに感謝されるのも悪くない気分ですしね……」

ルーフィンは一瞬にやりと笑った様な気がジャミルには見えたが……。
やっぱり本質は変わってねえのかもなあと、ちょっと安心してみた。
ルーフィンはジャミルに頭を下げ、研究室へと入っていった。……そして、
ルーフィンの姿が見えなくなった後。

「エリザさん……?」

「よかった、ルーくん……、ルーくんを助けてくれて、本当に有り難う、
ジャミルさん、私……、もう死んでいるのにお陰で自分の夢を叶える事が
出来ちゃいました、ルーくんの凄いところをみんなに知ってもらうこと、
ルーくんにこの町を好きになってもらうこと、それが私の夢でしたから……」

エリザがそう呟いた直後、エリザの身体が光り出す。……彼女の昇天の
時間が近づいて来ていた。

「わわわ!もう時間みたいです!」

「エリザさん、このままでいいのか?もう少し何か伝えたい言葉があれば、
俺が先生に!」

「ううん、私はもう何も……、でも、ルーくんがいつも、いつまでも……、
幸せでいてくれればそれでいいんです、ルーくん、ありがと、あなたが
時々でもいいから私を思い出してくれたら……、私はいつでもあなたと
一緒だよ……」

エリザの身体の輝きは一層増す。……そして、等々ジャミルの目にも
彼女の姿が見えなくなった……。

……さようなら……、どうかお元気で……

「さよなら……」

ジャミルはエリザが消えていった空をいつまでも眺めていた。
……いつの間にか空は暗くなり、満点の星が幾つも輝いていた。

「ジャミルさん……、何ですか、あなたまだお戻りに
なられなかったんですか?」

「?い、いや、それはこの……」

ルーフィンがのそのそと研究室から出て来る。エリザが消えてから、
相当時間が立つにも関わらず、ジャミルはその場で空を見つめたまま、
ぼーっと地面に座っていた事に漸く気づいたアホであった。

(アンタってば、ホンッとバカ!口開けたまんまでさあ~、マジうけるぅ~!)

「……うるせーぞ!黙れこの性悪ガングロ!」

「はあ?あなたと言う方は本当に変わった人だ、丁度いい、まだ
お戻りにならないのでしたら……、少しお付き合いしませんか?」

「へ?へ……」

ジャミルはルーフィンに誘われるまま、彼の後に付いていった。
場所は、研究室のすぐ真上にある、ルーフィンと、……エリザの
住んでいた家。

「どうぞ、其処のソファーに腰掛けて暫く待っていて下さい……」

リビングに通され、言われるままソファーに腰掛けて暫く待つ。
もうこの家にエリザはいない。そう言えば、初めて此処に来た時、