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zoku勇者 ドラクエⅨ編7 ……いつもあなたと・2

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「よし、後はここをこんなカンジでいじってたっけ……、よしっ、動いたっ!」

サンディは更に操作パネルをガチャガチャいじる。……箱船は遂に空へ。
天使界へと向けて大きく動き出した……。

「おほっ!やるじゃんアタシ!は、こ、このくらいなら運転士として
あたりまえだっつの!よぉ~し、このまま天使界めざして出発しんこー!」

「はあ、お前ら大丈夫か……?」

念の為、ジャミルが仲間達を振り返ると……、やはり大変な事になっていた。

「怖くないっ!怖くないのよっ!怖くないんだったらっ!!」

「……いーやーだああああーーーっ!!……おろしてええーーっ!!」

「姉さん、ごめんなさい……、もうおねしょしません……、許して……、
うふ、うふふ、う~ふふふふ!!」

必死で目を瞑り、怖さを堪えているアイシャ。遊園地のアトラクションは
大好きそうな彼女も……、これは流石にきついらしい。何せ、無防備で
空に浮かび、移動している様な物なのだから。そして、喚いているダウド。
これはいつも通りで別に珍しくない。アルベルトは……、気絶。故郷の
サド姉に扱かれている悪夢を見ている様であった。

「……天使界、早く着いてくれるといいんだけどな……」

「モーン……」

……その頃、崩壊した天使界では……。

「神よ、聖なる世界樹よ……、どうか我らをお守り下され、このままでは
天使界は……」

長老オムイを始めとする天使達が無残に枯れた世界樹の前で必死に
祈りを捧げていた。

「……あ、あれは!」

天使達の頭上に天の箱船が現れる。箱船はそのまま天使達のいる
世界樹の前へと降りた。

「おおお、これは天の箱船……、神よ、我らの祈りを聞き届けて
下さったのですね……」

「長老、中から何やら声がします……」

「だ、誰か出て来る様ですよ!?」

「おおお、おおおっ!?」

突然現れた天の箱船、それは天使達の希望の光と救世主、天使達は
絶望の縁から解放されるかも知れない喜びで胸が溢れ始めていた。

「も、もういやらああーーっ!!オイラ実家に帰るーーっ!!」

「……お?」

「……ダウドおめえうるせんだよっ!静かにしてろっ!」

「……おおお?」

「ブギャー!モンそろそろお腹すいたんだモンーーっ!!」

「……?」

しかし、船の中からは……、とても救世主とは思えない……、数人は
中にいると思われる間抜けな騒ぎ声が聞こえてきた。

「お、おお……!?」

「ふい~、やっと着いたああ~、奴ら船が飛んでる間中、騒ぎっぱなし
だったからな、あー、頭いてえや……、帰りのルートも考えるとマジ
恐ろしいわ……」

「お主は……、ジャミル!ぶ、無事でおったのか!」

「あ、へへ、爺さ……、長老、久しぶりだね……」

箱船から姿を現した人物に長のオムイは驚きの声を上げ、見守っていた
天使達もジャミルの元へと駆け寄る。ちなみに、天使達に姿が見えて
いるのはジャミルと、モンのみで、アルベルト達は見えていない。
当人達も姿が透明になっており、ジャミルにも仲間の姿が見えなく
なっている。だが、かろうじて、何とか会話だけは出来る様だが……。

「やだやだやだーっ!何これ!もう何がどうなってるのよーっ!」

「これじゃどうしようもねえな……、なあ、お前ら、其処にいるんだろ?」

「ああ、いるけど……、此処じゃ僕ら全くジャミルの姿も何も
見えないんだよ、困ったなあ……」

「悪いけど、暫く其処から動かないでいてくれや、用が済んだら
また戻ってくるからさ」

「うん、その方が賢明かな、じゃあ、今回は僕達このまま此処で
待たせて貰うよ、何も見えないんじゃ動けないし、どうしようも
出来ないもの……」

「分ったわ、暫くお休みなのね……、大人しくしてるわ」

「……透明人間怖いよおお!」

「はあ……」

混乱する仲間達をなんとか宥め、ジャミルはもう一度オムイと
向き合った。オムイは不思議そうな表情で、見えない誰かと会話
しているジャミルを不思議そうに眺めてはいたが。しかし、生身の
人間が此処に訪れただけでも凄い事ではあるが。

「おんし……、何故箱船に……?して、お前の他にも何か声が
聞こえた様だが、乗っていたのはお主一人だけであろう?」

「あ、こ、こいつだよ、こいつ!」

「モン!」

ジャミルは急いでモンを抱き抱え人間界でダチになったんだよと説明する。

「モンですモン!おろしくモン!」

「……何じゃそれは……、ま、まあよい、しかし、お主のその姿は一体……、
天使の翼も……、頭の光輪も無くなっておるではないか……」

「話すと長くなるんだけどさ……」

「……なんと、人間界へ落ち、翼を無くしたお前を天の箱船が送り届けて
くれた……、じゃと……?して、他の天使達はどうしたのだ……?まさか、
おんし一人だけか……?」

「……」

「い、いや……、すまぬ、お主も疲れておるじゃろう、まずは身体を
休めなさい、話はそれからじゃ、そして地上で何が起きているのか私達に
教えておくれ、さあ、こっちにおいで……

「うん、長老、ありがとな……」

ジャミルとオムイ、天使達は去って行く。……此処では姿の
見えない仲間達は会話と足音だけをその場で只管聞いている
だけしか出来なかった。

「ジャミル……、行っちゃったみたいね……」

「仕方ないよ、僕らは此処で待つしか……」

「あう~、こんな不便なの嫌だよお~……、もう何なのさあ~……」

……ジャミルが人間界から無事に戻ったと言う知らせは天使界中に
伝わった。ジャミルは人間界に落ちた時に、頭の光輪、翼、そして、
天使の力も全て失ったこと、そして今、人間界で彼方此方に落ちている
異変のこと、……長老の間にて、全て長のオムイに話す。

「……そうか、あの時の邪悪な光は天使界だけでなく、人間界にも
影響を及ぼしておったとは……、おんしも覚えておろう?女神の
果実が実ったあの日を……」

「……」

「地上より放たれた邪悪な光が天使界を貫き、そして……、天の箱船も
バラバラになり、実った女神の果実全てが地上に落ちてしまった様なのじゃ、
ジャミル、お主と共にな……」

「……うん」

「あの後……、地上に落ちてしまった天使や邪悪な光の原因を探るため、
何人もの天使が地上に降り立ったが……、ジャミル、お前の他には誰も
戻ってこんのじゃよ……」

「お、俺だけ……?」

「うむ、行方不明の皆の事は気がかりじゃが、お主だけでも無事に
戻って来てくれて、本当に良かった……」

「……長老……」

オムイはジャミルの肩にそっと手を置く。……そしてジャミルを見つめ
静かに頷いた。

「お前はまたこれから世界樹の元に赴き、戻れた事を感謝し、祈りを
捧げなさい、もしかすれば、お主の失われた力、天使の翼、光輪……、
世界樹の力が蘇らせてくれるかも知れぬ……、さあ行きなさい、
守護天使ジャミルよ、お主に神と聖なる力の守りがあります様に……」

「……」

「モーンモン、あ、ジャミル出て来たモン!」

オムイに祈って貰った後、ジャミルは長の間を後にする。部屋の
外ではモンがジャミルを待ちながら天使の一人と一緒に遊んで戯れていた。