アザーラ話 (まえがき長い)
恐竜が絶滅するほどの隕石飛来時は、大量の地面が蒸発し、微粒子が巻き上げられ万年日光が届かないという。それはリアルでは紀元前6600万年に起こったが、この時、もしも日光を殆んど必要とせず、骨もほとんど必要としない特殊な生物(骨無し人間や恐竜人等)が既にいたとして、そこから100万年経つ頃がラヴォスが飛来してくるタイミングになる
クロノトリガーの原始時代には恐竜人が多く登場していても恐竜はほとんど登場しない。ラヴォス衝突よりも100万年前にて私達の地球と同じタイミングで巨大隕石で衝突して絶滅したと解釈するのが妥当でありながら、しかしプテラやティラノは数は少ないものの恐竜人や人間の領域で存在する。彼らが100万年間恐竜の保護をし続け、恐竜の絶滅を阻止していたというリアリティある設定があるはずが、その一端でさえ物語では紹介されない。クロノファンでさえ知らない人が多いと思う。
巧妙に隠れ過ぎている設定に関して、それが後付け設定だとしてもリアル世界との調和がとれてる。
作者はこれを意図的に作ったのか単なる偶然なのか。意図的だとしたら、どうしてそこまで調和を隠さなければいけないのか、表にだせなかったのか、
元々クロノトリガーは魔王を倒すまでが本筋のシナリオだった。魔王城に突撃したらそれでエンディングであり、魔王がラヴォスを異世界から召喚するのを阻止するストーリーで終了するはずだった。なぜか横やりが入り、ラヴォスが天からふってきた設定が加わった。理由はボリュームが少ない等の単純ものだが、本当にそうなのか? 宇宙人の介入とかありえませんかね?
クロノトリガーの世界観はリアルな地球の設定をベースにしてもリアリティありきに解釈できるような創造の幅がある。フィクションだが、リアリティを持たせる演出が可能であり、二次創作クロノはその潜在力が爆発的に強い作品だと思う。そういったことを、あれここら考えながらクロノ世界に向き合うと、クロノへの楽しみが増えるかもしれない。この物語もそういった楽しみ方を推奨します。
本文
「ラヴォスにテレパシーで干渉してはいけない。繋げれば私も思考を破壊され論理的でなくなるだろう。」
この問題について深く説明するには私の未来視の力も説明しなければならない。私の未来視は未来の誰かの意識へ接続することでその者の得ている視覚や嗅覚、記憶、思考等の感覚を受信できる力。つまり未来の私へと接続すれば未来の私が知っている事を知れる。
未来の私は壊れていた。思考は穏やかでなく支離滅裂でありラヴォスの飛来からも逃げず民もろともを巻き込んで心中すらしていた。テレポートもテレパシーも使えるのに死ぬ事を選んでいる。なぜ未来の私は上手にラヴォスに抗えなかったのか。調べていくと赤く輝く星を見つけた前後に原因がありそうだった。
未来の私も今の私も星を探索するのが好きだった。夜空を見上げて星を見つけたとき、その方角に向けて接続するとその星に生きている人々の生活や文化を楽しめる事がある。それは私の趣味であるが、未来の私は赤く輝く星(ラヴォス)へと繋げてから急激に思考が壊れていったのだろう。そう思い、私はラヴォスへの接続を諦めた。その決断以降からだろう。私が壊れる未来は見えなくなった。
◎猿人の未来は興味深い。
遥か未来には時を飛べる技術(タイムトラベル)があるのだが、猿人は過去の世界に未来の技術を持ち込み、文明の進歩速度を加速するような事をする。そのやり方は極端で例えばラヴォスが生み出した赤い石が資源になるらしく、それを採掘する為に機械が地殻に大きな穴を空けたりするのだが、海や大地の形を大きく変化させている。 そのせいで歴史が変わり、元々あった国が消えたり、あるいは新たに増えたりもした。例えば栄華を誇っていたアメリカという国や、あるいは100以上の様々な言語があったはずの国々がそもそも生まれない状態になったりする。最終的には全ての言語も国も一つに統合されたような世界(ガルディア)が作られた。猿人が作り出す歴史の変化を観ているととても興味深くある。
◎私の能力「テレパシー」について
テレパシーは言語の壁を変えてコミュニケーションができる技であるが、未来人にそういった力を扱える者が全くいないのが不思議であった。私の時代でもテレパシー力には種族によって差があったとはいえ、全ての種族が少なからずの受信能力は備えていた。あの猿人種であってもテレパシーは受信できた。なぜなのだろう。テレパシーがあるからこそ、多くの種族を束ねることに成功する。国を大きくできる者にはテレパシーが扱えることが必須条件になるはずだが、未来にて大きな国を持つ者達に、その力がなかった。未来人は能力(テレパシー)が退化しているのだろうか…
ラヴォスの衝突後、半年もしない内に恐竜人の7割が絶滅する。多くは私と同じく爬虫類系の恐竜人種。皆、変温動物であり、気温の変化に対して鈍感であり、寒さで動けなくなって死んでいく身体が寒さに慣れる事すら追いつかないの程の危険な寒さ。 あまりの異常な速度で世界が凍りついていく。大量の木々を燃やして暖をとっても耐えられない。やはりラヴォスがもたらしている影響なのか…。
私にできる事は何もないだろう。
親はどうして私を生んだのだろう? こうなる未来をはじめから判っていたはずなのに…。
私の種族は他とは異なる。強い者が生まれるとき、弱い者から順に力を失っていく。私が生まれるときなんて、一族全てがその力を失ってしまった。そのせいか私は無限の未来を観ることのできる奇跡のような力を得た訳だが、それでも尚、ラヴォスの飛来から始まる氷河期に対して絶滅を免れる方法が見つからない。
唯一の方法は魔力が宿る猿人に頼ることだが、感情的な面でも外交的な面でも困難が付きまとうだろう。食糧が圧倒的に不足するこの世界において上手く立ち回っても、恐竜人の0.5%しか生き残れない。猿人に多くを譲歩、弾圧されたりを受け入れて2%が生き残れる程度。
先人達がもっと彼らに対して寛容な扱い方をしていたならば…とはいえ先人らが寛容な世界を作っていたとしてもネガティブである状況ら変わらないと思う。
どうせなら生んでくれなければ良かった。絶滅する未来は判りきっていたはずなのに…
けれど弱音を吐くことはできない。私が諦めるということは絶対にありはしない。
私はこれまでどれだけ多くの努力をしたきたか…。
全ては絶滅を回避する為の努力だった。
産まれて直ぐに理解した未来の地獄絵図についてを
それを知りながら産んだ親を恨んだ。
何も知らない無能な者達が日々を生きている姿を見て嫉妬した。
でも、それでも私は誰よりも愛して貰えた。
それが忘れられないから、一族と全種族を代表して、全員を助けると誓ったんだ。
あの猿人達だってそう。家族がいて愛する人がある。勿論、例外もある。恐竜人に差別されてきた歴史と家族を失った哀しみを未だに抱えている者達が多くいる。
私よりも不幸な者は探せばいくらでもいるだから。
私が我慢しなければ
けれど
明日が怖い。
目覚めて何も変わらない未来を見てがっかりする。そんな自分をもう観たくない。
作品名:アザーラ話 (まえがき長い) 作家名:西中



 

 
    