クロノトリガーのリアリティを改めて問うてみるエッセイ
ガルディアの森に生息する魔物は何度やっつけてもマップを切り替えるだけで復活してくる。つまり、その魔物達は努力家であり、日々鍛錬を惜しまないのだろう。クロノ達に戦いを挑んで、やばくなったら死んだ振りの魔法をかけて逃げている。HPがいつも低いのでレベルアップはしていない。ギブアップが早く経験値が少なくて成長しないのかも…。
草むらに無限のように手に入るシェルターがあるけれど、もしかしたら魔物達からの贈り物なのかもしれない。いつも模擬戦闘の訓練に付き合ってくれてるから、お礼のように、いつも草むらに置いてあげている。そうでなければ無限に手に入るシェルターについて、どんなリアリティある裏話があるというのだ?まさか単なるバグとか製作陣のプログラムミスなのか? そんなことを名作クロノトリガーがやってしまうというのは当時のスタッフ達への冒涜になるだろう。
時間の関係するフラグ(伏線)のようなものなら、草むら空間だけがタイムリープまたはループしているのだろうが、確かにそのような現象は物語の各所にあったような気がする。
クロノトリガーは各時代の時間軸はまっすぐ未來に進んでいるのたが、最果て世界のバケツのゲートだけは例外で常にラヴォス日1999年の崩壊の日に行ける。ここだけ時間の流れの構造が固定、またはループ、また空間がタイムリープしている事になり、それのゲートが自然に生まれたのではないとしたら、それができるのは最果ての管理者である老人ハッシュだろう。ハッシュの正体が古代では時を研究する賢者だったのだから仕組みを作るのは可能かもしれない。(※ハッシュはあくまで容疑者、犯人は他にいるかもしれない)
時の卵(クロノトリガー)についても、主人公を救助する為とはいえ、唐突かつご都合主義過ぎるように用意されている。その使い方は未来の死の山(山化したラヴォス)の頂上で使用しなければならないという。一体どんな科学的理屈でそうしなければクロノを救助できないなか全く説明なしの押し付けお使いイベントだが、それもリアリティある根拠があるのだろう。
ラヴォスな山だからラヴォスの記憶からクロノが死んだ時間を特定し、その時間に移動できるシステム、及びゲートを発生させ元の時代に帰れるシステム等が詰め込まれた卵なのだろう。タイムフリーズした世界でクロノを助けるべく、動きまわるというのは時間の止められた側では瞬きの間にそれをやられている訳で、光を越える速さで動いているはず。とんでもない量のエネルギーがそこに発生していて 止めた時間を進ませたとたん、ビックバンのごとく、その世界を消し飛ばすかもしれない。それら諸問題を全部都合よく解決する為の技術が卵に詰まっているとし、これを作中に説明されたら当時のカートリッジでは全く足らない。根拠あるシーンは全部カットする必要に迫られた。
いずれにせよ時の賢者ハッシュには時を操っている疑惑が詰まっている。(強くてニューゲーム)というメタなシステムでさえ、ハッシュが用意できるイベントですらあるだろう。開発者らの単なる遊び心ではなく、ハッシュがクロノ達を観察して楽しむ為の都合でクロノ達の記憶だけ消してタイムリープさせている。その為の強くてニューゲームであって、それをプレイヤーがメタ視点から観測しているのでは?
もはや突っ込みどころ満載のゲームだろうクロノトリガーについて、リアリティを突き詰めるからこそ見える深まるリアリティ。名作と云われるだけのことはある。
◎カエルのリアリティについて
カエルはリーネ発見の情報を知らされることなく、捜索を続けていたのか? もしクロノ達とマノリア修道院で合流できなかったら、一人でヤクラと戦ってバットエンドなの?
カエルの場合、その特性を利用して修道院の壁に昇れるから、こっそり内部の情報を調査できる。修道院が怪しいと思えば騎士団を派遣する為に王宮へ戻るか、近くの兵士に言付け等をする。いずれよせ、クロノ達がいなければリーネ救出が間に合わなかった。
状況にもよるだろうがクロノが城から出た後にカエルが城に戻っていた場合もリーネ救出は可能だろう。見つかったはずの王妃が部屋にいたはずなのに再び行方不明になっている。最後に部屋から出たのは赤髪の不審者という情報。それを従者達から聞いたカエルは急いで赤髪(クロノ)の捜索を開始したに違いない。街中で赤髪を目撃するものの肝心のリーネは見当たらない。赤髪は王宮を一人で出たからその正体が魔族で魔法でリーネを隠したのかもしれない。吐き出してもらわなければならないが、 もし尋問しても吐き出さないとしたら、リーネ様を奪回できない。逃げた先で吐き出すとしたら…と考えながら、追いかけた先でマリノア修道院にたどりつく
背後から監視して、修道院に忍び込み壁を登り、天井から観察していたら、魔族(ミアンヌ)と交戦しはじめた。仲間内の揉めのごとかと思い静観していたが、どうやら違う様子。もしかしたらこの不審な赤髪男は魔族に囚われたリーネを追いかけてたった今ここにたどり着いただけなのかもしれない。その仲間(ルッカ)が背後から襲われそうになっている。もし二人が誘拐犯であって他の場所でリーネ様を既に引渡したのだとしても、どのみちに死なれれば不味いから助けよう。という流れでクロノ達と合流する。当初、カエルがノリのいいキャラを演じて魅せるのはクロノ達を油断させる演技で、共に戦う中で信頼を深めていったのかもしれない。
ここまでの筋書きでそれなりにリアリティがあることが明白ではある。本文冒頭のくだり、マールのオーラにリーネ誘拐事件の真相ミステリーが隠されているかのような書き出したけれど、そっちのは政治色が濃すぎる反面、内容がとても複雑になって書くのも読むのも手間がかかると思うが、気になる人は耐えるしかない。
まず解決されてない誘拐の矛盾の一つが、鉄球で人質を拘束していないこと鉄球を用意したのだから、使いどころはあったはず。リーネと大臣以外に鉄球を使ったとすれば誰に使ったか?
例えば修道院を占拠して修道者らに成り済ます為に利用した。成り済ます為の情報を聞き出す為の監禁尋問の際に鉄球を足枷にした。
一通り情報を聞き出して修道者を殺したとして、彼らの遺体がないのは食べられたか、埋められたかもしれない。いずれにせ殺すのであれば、鉄球を外してから殺すより、鉄球を着けたまま殺す方が確実であり、鉄球をリーネや大臣に装着するのが正解だろう。それでも尚、自由に歩ける状況にしているとはどういう状況だろう?
まさかトイレに行かせる為ではないだろう。そうであれば我々の世界観と似ているということ。
中世ヨーロッパなトイレ事情では、監禁した相手をトイレさせるには、トイレに監禁させるか携帯トイレ(おまる)しかない。清潔な魔族である場合、トイレに監禁して尋問したくないし、おまるにトイレさせて部屋が匂うのも我慢ならないので、トイレの自由は認められていたのかもしれない。
作品名:クロノトリガーのリアリティを改めて問うてみるエッセイ 作家名:ヘケラン西中



