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zoku勇者 ドラクエⅨ編10 祈りの少女と主神様

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ひっくり返っていた……。

「しょうがないなあ~、でも出来るだけ早くちゃっちゃと済ませてヨネっ!
ホラ、おデブ座布団っ!行くヨっ!ちゃんと持ちなさいっ!く、このおっさん
アンタに負けず重いっての!!」

「……クサコゲ焼きまんぢゅーうるさいモン!シャアーーっ!!」

「うるさいのはアンタでしょっ!誰がコゲ焼きまんぢゅーなのヨっ!!」

モンはサンディの毒舌に大口を開けながらも一緒にクズ村長を引っ張って
安全な場所まで連れて行く。普段ケンカばっかしているモンとサンディだが、
何だカンダで段々絆深まりいいコンビへと定着しそうであった。

「よし、あいつらも何とか避難してくれたし、後は……!」

ジャミルは自分達の目の前に立ちはだかる巨大な鯨……、主を見据える。

「オリガが捕まってる事も考えると、バトルを長引かせるのは危険だ!
何とか短期決戦に持ち込むぞ!……絶対オリガを助けるんだ!!」

「了解っ!!」

ジャミルの言葉に仲間達も頷いた。そして4人は改めて主の方を見る。だが、
もしも今此処で主が海の中に逃げてしまったら事実上オリガを救出する事は
不可能になってしまう。……それを防ぐ為にも何としても全力で主に
立ち向かわなければ。

「きゃあ!?」

「だ、大丈夫か!?」

「平気よっ!!」

主は巨大な身体をアイシャ目掛け突進しぶつけて来た。だがアイシャは
根性で踏ん張り攻撃魔法の呪文の詠唱を始めた。イオを主へと放つ。主は
爆発に巻き込まれダメージを負い錯乱している。

「今度はオイラがジャミルの守備力上げてあげる!スカラ!」

「よしっ!ダウド、良くやったっ!」

「私も負けないわよっ!えーいっ!!」

その間にと、アイシャも再びイオを連呼。ありったけの魔法力を放出し
主へとぶつけ捲った。

「ジャミル、丁度僕のテンションゲージも上がってる、またあいつが津波を
起こさない内に此処は連携して一気に決めよう!」

「アル、分かった!……行くぞっ!」

「はい!ピオリムよっ!!ダッシュダッシュ!!」

「だあああーーっ!!」

其処にアイシャが更に補助魔法を掛けてくれ、ジャミルとアルベルトの
素早さは一気に上昇。津波さえ食らわなければ、思っていたよりも主は
それ程強敵ではなかったのである。

「当たれーーっ!会心必中――っ!!」

「オリガを返せーーっ!!」

アルベルトのテンションゲージ技とジャミルの会心の一撃!主神にヒットし、
止めを刺す。主は大きな音を立て、砂浜に倒れる……。そして、倒れた主の
口の中から解放されたオリガが無事に姿を現した。

「あ、あたし……、何ともない……?」

「オリガ!大丈夫かっ!?」

「ああ、旅人さん達!!皆さんもお怪我はありませんか!?」

オリガはジャミル達の姿を見つけると急いで駆け出す。こうして無事に
オリガは救出出来たのだが……。モンとサンディもいつの間にか皆の所に
戻って来ていた。……クズ村長はそのまま放置されているらしい。

「……」

「キャっ!?」

「ぬ、主がっ!まだ完全には駄目だったのかよっ!?」

倒れていた筈の主が……、ゆっくりと身体を起こし、再び立ち上がったの
である。4人はもう一度オリガを守ろうとするが、しかし、それよりも
早くオリガが両手を広げ主の前に立ち塞がるとジャミル達を庇った……。

「オリガっ!止めろ!あぶねえっ!!」

「主様、お願いです!この人達に手を出すのは止めて下さい!!」

「……オリガ、その者達は……村長の手下ではないのか……?」

「主様……?こ、この声……、よく知ってる……、私の大好きな……、でも、
でも、そんな筈ない……」

「ひいっ!しゃ、喋ったあああーーっ!!」

パニクるダウド……。何と。等々主神が口を開いた。しかし、
その声を聴いたオリガは……。何やら思い出す事があり、呆然と
するのだった……。やがて、主の頭上に何者かが姿を現す。
その人物は……。

「……おとう……さん……?」

「……ええええーーっ!?」

ジャミル達は一斉に声を揃える。主の中から出現した人物は……、
嵐の海で遭難し、無念の中で命を落としたオリガの父親の
幽霊だったのである……。

「お父さん……」

「オリガ、……私の大切な娘よ……」

「えええーーっ!って、僕らには普通姿が見えない筈なんだけど……、
今回は見えるよ……」

「不思議ね……、もしかしたら主様の力を通して奇跡が……?」

「……ひええーーっ!?お、オイラにも見えてまーすっ!」

ダウドは縮こまる。主の頭上に浮かんでいるオリガの父親の幽霊。強く
逞しく優しい、オリガの大好きだった父。でも、今は……。オリガは
久しぶりに逢えた大好きな父親の姿に涙を零す。オリガの父親は今度は
ジャミルの方を向くとジャミルと話を始めるのだった。

「……旅人よ、そなたには申し訳ない事をした、私は怒りで我を忘れて
どうかしていたのだ、そなた達はオリガを守ろうとしてくれたのだな、
オリガ……、お前にも辛い思いをさせてしまって済まない、許しておくれ……」

「いや、俺は別に……、ただ……」

「お父さん、……お父さん……」

オリガは許されるのならやっと逢えた大好きな温かい父の胸に今すぐに
飛び込みたかった。大きな腕でもう一度抱いて欲しい。だがもう、オリガの
父親は実体を持たない身。言葉を出したくてもちゃんと浮かんで来ず、
目の前に浮かぶ幽霊となった父の姿を見て泣く事しか出来なかった。

「私はあの嵐の晩、確かに海で命を落とした、だが、海に投げ出され
意識を失う寸前、私の目の前に光る黄金の果実が降って来たのだ、
薄れゆく意識の中、その果実を手にした瞬間、大切なお前の事を想った、
まだ幼いお前を残し……、このまま死にたくないと……、そして私は
死んだ筈だった、……だが次に目が覚めた時私はこの姿だった……、
主の姿でこうして蘇っていたのだよ……」

「お父さん……、そんな、そんな……」

ジャミルも仲間達も衝撃で黙りこくる。……浜に現れていた主神は
オリガの父親だった事実に。

「……私はお前の為を想い、お前が生きていく為にこれまで浜に魚を
届けていた、だが、村人はお前の力に頼り切りになり、お前の力を
悪用しようとする様になった……、黙って見ていたが、もう此処までだ、
我慢が出来ん、オリガ、あんな村は捨てて私と共に行こう……」

「お父さん……!?」

「オリガの親父さん!ちょっと待っ……!!……」

「ジャミル……?どうしたのよ……、どうして何も言わないの!
なら、私が!」

「アイシャ、よせっ!」

ジャミルは主……、オリガの父親を止めようとするが言葉を止めた。
漸く逢えた父と娘の再会を邪魔したくなかった……。それに、どうする
のかは彼女が決める事、自分達が出しゃばる立場ではないと思ったのである。

「私がこれからも何時までも安全な場所でお前を守る、この姿に
なっていても私は私、お前の父親だ、何も変わっていない、……また
一緒に暮らそう……」

オリガの父親はオリガに手を差し伸べる。だが……。

「お父さん……、駄目……、それは出来ないよ……、そんなの良くない……」

「オリガ……?」