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zoku勇者 ドラクエⅨ編11 カラコタ編・1

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「だ、だからっ!……あんな処に行くくらいなら……、野宿の方が
マシだっ!!」

「はあー!?こ、このっ、アホベルトっ!テメエ、いい加減にしろ!!」

「いい加減にするのはジャミルの方だろっ!いつもいつもっ!!」

「わわわ!ケンカ駄目だよおーー!!」

「そうよ、どうしたのよ、アルっ!落ち着いてっ!!」

遂に衝突しだしたジャミルとアルベルト。このチームはこんな沙汰に
なるのはしょっちゅうだったが、今日はまた、厄介で深刻な方向に
なりそうだった。ジャミルは遂にアルベルトに掴み掛かる事態に
なる寸前に……。

「ねえ、アンタら……、ケンカしてる場合じゃないっしょ、いいの……?」

「何がだっ!!」

「何がっ!!」

「うっわ!何その態度っ!スッゲームカツクッ!もーいいわヨっ!
人が親切に注意してあげようと思えばっ!アッタマくるっ!
……デブ座布団いなくなってるヨっ!!もーアタシしんねーかんネっ!!
いーダ!」

「は……?」

「……」

ジャミルとアルベルトは一旦ケンカの手を止め、お互いの顔を見る……。
そして、我にかえるのだった……。

「……馬鹿モンーーーっ!!」

「ど、どうしようっ!わ、私達が目を離した隙に!サンディ、有り難う!
教えてくれて!ごめんね、機嫌直して!ね、サンディ、お願い!!」

(やっ!アタシ当分アンタらとは口聞きませんっ!!話し掛けないでッ!)

「サンディ……」

アイシャが宥めるが、サンディは姿を消したまま声だけ出した。
モンも消えてしまうしで、ジャミル達4人は本当に最悪の事態
突入となった……。

「オイラの背中に張り付いてたのに……、いつの間に……、ごめんね、
皆……、オイラ気が回らなくて……」

「ダウドの所為じゃないわよ、私達皆の責任よ!」

「アイシャ……、ありがとう……」

落ち込みだしたダウドをアイシャがフォローする。最もアイシャはすぐ
いなくなるフラフラ逃走者の先駆けの常習犯であるが……。

「畜生!やっぱあの集落にとっとと行くべきだったんだっ!俺は
下まで行ってモンを探す、お前らは先行っててもいいぞ!」

「私も行くわよ!モンちゃんが心配だもの!」

「うん、お腹すいたって行ってたし、フラフラ下まで食べ物を探しに
行っちゃったのかもね、モンをほおっておけないよ、オイラも行くよ!」

「仕方が無い、こうなった以上……、モンを探しに行かなきゃ!
でも、最初からもっと早く橋を通過してればこんな事には
ならなかったかも知れないのに!!」

「んだとお!?この腹黒っ!まだ言うかっ!!」

「ジャミル……、アル……、こんな時に二人ともいい加減にしてっ!!」

また始まりそうになった二人に対し、アイシャも声を荒げる。しかし
その声は震える涙声に……。泣き出す寸前のアイシャを見て、ジャミルと
アルベルトは漸く押し黙る。しかし、暫く二人は口を聞かなくなって
しまったのだった……。

一方のモンはと言うと、4人が揉めている隙にやはり下の集落へと
勝手に移動してしまっていた。……川の方から焼いた魚の匂いがし、
釣られてしまい、ついフラフラと……。だが、町の者は集落の中を
モンスターが一匹でふよふよ移動しているにも関わらず誰も全く気が
ついていなかったのが幸い。これまでもモンはジャミル達と常に一緒に
行動はしていたが、それは何かと時折知らない人に突っ込まれそうになる
度、喋る最新式のぬいぐるみで全て誤魔化せていた。モンもモンスターだが、
人間を敵とする他の凶悪モンスターと違い、元々根がフレンドリーな
性格の為。川の側にある今にも崩れそうな汚いボロ小屋の外に焚き火で
焼いている魚を見つけた。だが、火を扱っているに関わらず、周囲には
誰もいなかった。

「モン……、焼いたお魚……、もう我慢できないモン……」

モンは涎を垂らしながら焼きたての魚に食いついて全部平らげてしまう。
……そして事態に気づくのである。

「……モン~……」

食堂などで皆と一緒に食事をしている際、まだ子供にも関わらず大食漢の
モンは隣のテーブルのお客さんの食事を横から搔っ攫い、食ってしまう事も
度々あり、その度4人は客に頭を下げ、モンはアイシャに「「めっっ!」」を
される。……ジャミルもダウドがちょっと油断している間にダウドが最後に
楽しみに食べようと思っていたタンドリーチキンに手を出し、ダウドを
メソらせてしまい、アルベルトにスリッパで叩かれた事があった。……雅に
このモンスターにして、この相棒だった。

「……どうしよう……、モン、又やっちゃったモン……、!?」

静かだった周囲に急に声が聞こえ始めた。小屋のドアが開き、中から
子供がぞろぞろ出て来た。モンは慌てて宙を飛び、小屋の後ろに隠れた。

「……魚、そろそろ焼けたかな……、あ、ああっ!?」

「おちゃか……」

小屋の中から出て来た2人の子供。片方は横ポニテのヘアのまだ幼い
あどけない表情の少女。だが、その身なりは貧しく、何ヶ月も洗って
いない様な髪、ボロボロの破けた黒い服に穴の開いたスカート、素足。
真っ黒に汚れた顔。……スカートから見える膝部分は赤くなって腫れており、
キズだらけだった。少女はモンが食べてしまい、串だけになってしまった
魚の残骸を見てひくひくベソを掻きだした。

「……どうしよう……、ワチがうっかり寝ちゃってて、お魚のばん
さぼっちゃったから……、誰かにお魚食べられちゃったよう~!
うわあ~ん!!」

「ああ~ん!う、う~!おちゃかー!」

少女と一緒に出て来た、更に幼い短髪の男児。まだちゃんとお喋り出来ない
年齢の様だった。……少女が泣き出したのを見て釣られて泣き出したのである。

「モ、モン……」

隠れているモンは困って謝りに行こうかと思った。其処にもう1人の
少年が姿を現す。此方は2人よりも遥かに年齢が大きく、見た感じ
14歳ぐらいの細身の少年だった。

「……お前ら……何してんだ……」

「ああっ!あーにーじゃああ!!」

「あうー!」

少女は兄者と呼ぶ少年に飛び付く。顔を覆う賊用のターバンから
片っぽだけ延びた前髪、後ろ手に縛った長髪。隠れた前髪から
覗かせる片方のその瞳はまるで冷め切った様な氷の目。

「ごめんなさい!……おっさんの魚、ワチがうっかり寝ちゃってる
間に……、誰かに食べられちゃったのーーっ!!」

「やれやれ、又やったのかよ……、糞が……、マジでお前は……」

「「おいっ!!」」

「ひ、ひいいっ!?」

「……」

少年が言葉を言い終える前に現れた一升瓶を抱えた小太りの髭面の男。
子供達と違って此方はいかにもな肥えた体型であり、ズボンのチャックは
開きっぱなし、捲れたシャツからタプタプの段々腹が揺れており、実に
惨めな醜い姿である。……少女は現れた大男に怯え始めた。

「俺の夕飯のお魚ちゃーん、どうしたー?ん~?もう焼けた頃だろ?
んん~!?……んじゃ!なんじゃこれはーーっ!!おい、ゴルアアーーっ!?」

荒くれデブ男は魚の残骸を見て子供達の失態に気づき、少女目掛けて
一升瓶を振り下ろそうとした。だが、その手をぐっと掴み、少年が阻止した。