zoku勇者 ドラクエⅨ編12 カラコタ編・2
「……いーやーだあああっ!!」
バトルを免除させて貰えると思っていたらしきダウド。しかし、世の中
そんなに甘くはないのだった……。
「よし、……あんなの楽勝だな!皆、さっさと倒しちまおうぜ!!」
「了解!」
「あ~うう~……」
ジャミルの言葉に返事を返す仲間達。だが。
「そんなにあっさりと倒して貰っちゃ面白くないのねー、やるのね、子分A!」
「なのねー、ぽちっと!」
今度は子分AがCDデッキを持って来てボタンを押す、……すると、
ボス戦のバトルBGMが掛かり、辺りに響き渡るが、……何故か音の
テンポが2倍速で異様に速かった……。
「……な、何企んで……うおっ!?」
「きゃあっ!?」
「うわわわわっ!!」
4人は慌て出す。高速バトルBGMのテンポに合わせ、肥満体
キラーマシンの動きが機敏と化し、動きは素早くなり、4人に
詰め寄り襲い掛かって来た!
「……アルっ!!アイシャっ!!」
キラーデブマシンは2連続拳攻撃でまずはアルベルトとアイシャを
パンチで吹っ飛ばした。……デブ体型からは想像のつかない程に
なってしまっている……。しかも、怪力の為、エライ事態にも
なっていた。……このターンでアイシャはHPを初回から半分も
削られてしまっていた……。……カラコタ橋の向こう岸へと
吹っ飛ばされた2人は……。
「あーっ、もうっ!2人とも大丈夫かーい!?い、今、ベホイミ
掛けるからねー!!」
「そうはさせないのねー!やれ、子分共!!」
「ぼくらがいる事も忘れちゃ駄目なのねー!」
「ねえー!」
「や、やべっ!ダウドっ、逃げろっ!!」
「……そ、そんな事言っ……うわーーっ!!」
敵は当然肥満体キラーデブマシンだけではない。油断しすぎていた。
子分Bはダウドの身体を掴むとジャンプし、逆さまに急降下で落下、
モズ落としを掛ける……。結果、頭を打ったダウドはあっさり気絶……。
回復担当がノックダウン、リタイアしてしまう事態にも……。
「ふにゃあ~……」
「……ダウドぉぉぉーっ!……こ、このアホーーっ!!」
「どうなのねー!今日のぼくらはひと味違うのねえー!」
「よし、後はクソ猿、おめーだけなのねー!」
「覚悟しろなのねー!今までの仕返し、た~っぷりぷり、うんこもぷりっ!
……させて貰うのねえー!!」
「……チッ!」
ジャミルは基地害兄弟に取り囲まれてしまう。その間に、デブキラーマシンは
倒れているアルベルトとアイシャの元へ……。
「……あの機械から変な電波が流れてんだな、あれを何とか出来りゃ……、
くっ、でも、こいつらが邪魔だなあっ!!」
「だ、駄目……、動けないわ……、ジャミル……、早くジャミルを
助けに……、でも、身体が痛くて……どうすればいいのよ……」
「……アイシャ、諦めちゃ駄目だ、でも、このままじゃ……」
「何やってんだ!……しっかりしろよ!!弱えーなあっ!!」
「……お前っ!?……言う事聞かなかったなっ!?」
「うるせー!エルナ達にはモンが付いていてくれる!だから
任せて来た!お前らの方が心配なんだよっ!弱えーんだから
さあ!!」
「こいつっ……!!」
エルナ達と逃走してくれた……、と、思いきや、又シュウが現場に
戻って来たのである。ジャミルは怒鳴ろうとしたが、が、シュウは
決死のダッシュで、苦戦しているジャミルの横を横切り、呆然と
している基地害兄弟を無視し、……橋を通過しようと只管走って行く。
「はっ……、あ、あいつ!……機械を壊す気なのね!!てめーら何
ぼーっとしてんのね!!」
「アニキもアホなのね!あの機械を止められたら豚がスローに
戻ってしまうのね!」
……基地兄弟が橋の袂に設置したCDデッキ。やはり其処から
流れている高速BGMがデブキラーマシンに暗示を掛け、動きを
活発に、機敏にしているのである。……ならばそれを止めて
しまえばいいのだから。
「……だああーーっ!!」
シュウは怒りを込め、橋から川へとCDデッキを蹴り倒す。
……CDデッキは川へと墜落。途端、デブキラーマシンは
途端にスローモーションになり、ロボットダンス状態に……。
「……へ、へへ、どうだよっ!スッキリしたぜ!!」
シュウは得意げに鼻を擦る。確かに彼の機転のお陰で助かった事は
事実。そして、ジャミルはもう一つ気づいた事があった。最初に
見た時よりもシュウの顔は活き活きと、明るく輝いており、少年らしさを
取り戻していた……。
「こ、この野郎!お前らもさっさと川に落ちて機械を探して
くるのねえーっ!!」
「何を言うのね!?アニキがさっさと落ちて探してくればいいのね!!」
「冗談じゃねえのねえーーっ!!もうあんな機械とっくに
壊れてんのねえーー!!」
……また始まったなとジャミルは呆れる。そして、これはチャンスでもあった。
「なら平等に……仲良くさっさとお前らトリオで探して来いっ!!」
ジャミルの跳び蹴り、3基地にヒット。蹴られたバカトリオは
またまた橋から転落。結果、……揃って又川を流されて行った。
そして後はいつもの通り。
「……覚えてろォォーー!なのねええーー!!」
「ぼくらこれからも何回だって出てやるのねえーー!!」
「……とほほのほお~、なのねえ~……」
「……もう出て来んでええわいっ!!って、無理か……」
ジャミルは夜の川を流されていく3基地を見つめながらウンザリ。
しかし、まだ終わっていない。残るはデブキラーマシンだけである。
ジャミルはアイシャとアルベルトを助けに向かおうとするが、あっちでも
とんでもな、……嫌、またトンでもない事が起きていた。
「ぶふっ、ふびびひいいーーっ!!」
「何がどうなって……?」
「こ、今度は豚さんになっちゃったわっ!?」
「……おーい、お前ら平気かぁーーっ!?」
「ジャミルっ、私達はもう大丈夫よ、だけど……」
「キラーマシンが……、突然豚になっちゃって……」
「……い、いいいいっ!?」
ジャミルも、後から付いてきていたシュウも騒然……。豚男は完全に
豚になってしまっていたのだった。完全に豚になった豚男は……、
ブヒブヒ鳴きながらカラコタ橋を橋って何処かへ逃げて行った。時折、
鋭い目でジャミル達の方を振り返りながら……。それは、畜生、覚えてろ、
何れ又出てやるからな……、と、言う様な恨みがましい目であった……。
あれから、ジャミル達はシュウ達を連れて町の宿屋に一泊していた。しかし、
恐ろしい豚男の魔の手からシュウ達は漸く解放されたが……、何も持たず
広い砂漠に放り出された様な物なので、彼らはこれからどうしていいか
分からず困惑していた。特にエルナはまだ9歳。ペケは3歳。4人は
子供達がまだ寝ている隙に、ロビーで話し合いをしていた。サンディも
どうにか機械から抜け出た様で疲れて眠ってしまっている。少々処か、
相当機嫌が悪い様だったが……。カクテルジュースの件も含め、後処理は
大変そうである。
「オイラ達と一緒に連れて行く訳にいかないし、困ったねえ……」
「う~ん……」
「……」
「よう……」
「あっ、シュウ君達……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編12 カラコタ編・2 作家名:流れ者



