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zoku勇者 ドラクエⅨ編12 カラコタ編・2

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皆が唸っている処へシュウ達がやって来る。昨夜はモンも一緒に
子供達と寝ていた。特にすっかり元気になったペケのモンの
懐き様は凄まじい物があったのだが。

「ぽ~、ぽ~……、たた、たた……、ぽん、ぽん、ぽん……」

モンと一緒に……、キャンディーの棒を持ったペケが出現。

「……おい、コラ、モン……」

「ペケはモンの一番弟子だモン!太鼓の極意を教えたんだモン!
……ターゲット、ロックオンモン!!ちんぽこモォ~ン!!」

「きゃーきゃー!おんおん!」

「……ちょっ、な、何で君までオイラの処に来るのおおーーっ!!
うわああーーっ!!」

「……」

モンはペケと一緒にダウドを追い掛け回す。取りあえず……、小さな
お子ちゃま達はダウドに任せておいて……、此方は此方で話を進めようと
思った。ジャミルは、シュウ達が良ければだが、いい方向になるまで、暫く
一緒に旅に連れて行ってもいいかなと、思っていた。だが……。

「……はあ、小さなお子様……、ですか……?」

「どうしても見つけたいんだ、大切な息子夫婦の忘れ形見なのだよ、
私はその子を探して遠路はるばる此処まで来たのだ、あの子と
引き離されてもう丸一年になる……、何か知っている事があれば
教えて欲しいのだが……」

「そうですねえ……、小さなお子さんと言えば……、そういえば……、確か……」

「きゃう!?」

「お、おお……?」

ロビーを走り回っていたペケは早朝から宿を訪れ、店主と話していた
お客さんとぶつかってしまう。直ぐに事態に気づいたエルナは慌てて
客の処へ……。

「ペケ、駄目だよう、おじさん、ごめんなさい……、ペケもごめんなさいして……」

「なさ……」

「モンちゃんも駄目よっ!……こら、めっ!!……ペケ君に変な事
教えちゃってっ!!」

「モォ~ン……」

「い、いや……、私は別に気にはしていないよ……、……」

アイシャもモンを慌てて回収に掛かる。ペケがぶつかったのは、
中折れ帽子を被った小柄でスーツ姿の服装の初老の老人だった。
しかし、老人は何故かペケの方をじっと見つめているのである……
小さくちょこちょこ謝るペケの姿に……。

「……き、君は……、も、もう少し傍で顔を良く見せてくれないかな……?」

「おかお……?ペケの?」

「ペケっ!ア、アイシャお姉さん!あの人、ペケを誘拐しようと
してるよう!」

「……た、大変だわっ!!みんなーーっ!来てーーっ!

「……ど、どうしたんだっ!!」

事態に気づいたジャミル達も慌ててすっ飛んで来る。特にシュウは
率先して怪しい老人の前に立つと、ペケを庇おうとするのだった……。

「今度は誘拐かよっ!……何があったって俺はペケを絶対に守るっ!
エルナだって……!」

「モンも許さないモンっ!!……シャアーーっ!!」

「兄者……」

「君、落ち着いて話を聞いてくれないか……?其処の大きいお兄さんの
君達も……、話をどうか聞いて欲しい、私は誘拐犯などではないよ……」

老人は帽子を一旦外すとハンカチで汗を拭く……。どうやら本当に
話を聞いて欲しいらしく、深刻そうな顔をしている。それにいち早く
了解したのはアルベルト……。

「この人は悪い人じゃないよ、話を聞くだけでも聞こう……、シュウ達も
落ち着くんだ……」

「……アルっ!お前っ!!」

「この人、行方不明になってしまった大切な小さなお子様をずっと
探して旅をしているらしいんですよ、気の毒でしょ?私からもどうか
お願いしますよ……」

店主もカウンターから身を乗り出し、ジャミル達に老人の話を
聞く様に勧める。……小さな子供……、と、聞き、ジャミルは
きょとんしているペケの方を見つめた……。

「う~?」

「分かった、俺らも一応話を聞こう……、シュウ、いいな?」

「……チッ!冗談じゃねえ!俺はゴメンだ!!暫く外にいる!!けど、
もしもペケに何か遭ってみろ、……ジャミル、俺はテメエらを絶対
許さねえぞ!!」

「シュウ君!……」

アイシャは外に出ようとしたシュウを止めようとしたが、逆にアルベルトに
止められる……。

「あの子も……、悪態はついてるけど、一応は分かってくれている、
後は僕らであのご老人から話を聞こう……」

「アル、分かったわ……」

「た、助かったぁぁ~、ほっ……」

「ダウドもお疲れ様……」

ダウドに声を掛けるアルベルト。宿屋内は狭くて質素な場所であったが、
店主は話がしやすい様、気を遣ってロビーを貸し切りにしてくれた。
……モンも何とか大人しくさせ、ジャミル達は老人の話を聞く事に……。
この現れた老人との出会いが、ペケの未来を取り戻す事になり、エルナにも
希望の人生を与える事になるのだが……。それはシュウとの悲しい
別れでもあった……。

「……爺さん、それじゃ……、ペケが……、あんたの探している
行方不明の孫かも知れないんだな?本当なんだな……、……嘘言うなよ?」

「ああ、これを見て欲しい……」

老人はジャミル達に一枚の写真を見せた。其処には……、両親に大事そうに
抱き抱えられている生まれたばかりの幼い赤子、そして、今此処にいる
老人本人が写っていた。だが、父親の方は子供が生まれた直後、不慮の
事故で他界。母親も心臓の持病が有り、旦那を失った事でショックを
受けたのか、病気が発症し、幼い我が子を心配しながらも、一年後に
亡くなったとの事。……それから数ヶ月あまりの出来事だった。老人が
悲しみに包まれたまま、続けて悲惨な出来事が起きる。……幼い赤ん坊が
突如消えてしまったのだった……。

「この手紙も……、孫が消えてしまった直後、……屋敷の郵便受けに
残されていたのだ……」

老人は更に手紙も見せた。其処には汚い字で脅迫状の様な文が
書き殴ってあった。「お前の孫を誘拐した、……返して欲しくば……、
10000000ゴールド用意しろ、それまでお前の孫は俺が
大事に預かっておいてやるよ、金を用意して俺の所まで来い、
但し、俺は子供を愛する流浪の旅人だ、何処にいるか教えねえよ?
ま、会いたかったら自分で探しに来いよ、……果たしてチビ君が
大きくなるまでに無事に会う事が出来るかな?あばよ!」と。

「バ、バカ……?」

ダウドが目を点にする……。エルナが言うには、この汚い文字は
見た事があり、豚男の文字に間違いは無いと。明らかにこの手紙は
あの豚男が書いたもんである。だが、金が欲しい割にはこんな回り
諄い事をして……、まるでゲームを楽しむかの様な。4人はあの豚が
何を考えていたのかさっぱり分からないのであった。しかも、孫を
豚男に渡したのは、屋敷で働いていた専属メイドさんだったと言う
事実。そのメイドは実は豚男の知り合いの営み屋の遊び相手だった
らしい。メイドは恐ろしくなったのか、真実を直ぐに老人に打ち明け、
謝罪。自分は自ら警察に連行されていった。その後、警察がどんなに
八方尽くしても、誘拐犯は見つからず。メイドに問い詰めても、申し訳
ありません、あの人の居場所は分からないんです、の、一点張りであり、
老人も途方に暮れていた。……それから更に一年が立ったのである。