zoku勇者 ドラクエⅨ編13 思い出の記憶の中で
やはり若さの特権だった。だが、其処で見た風景は……。
「うわあ……」
「此処が……山頂なのかしら……?」
「でも、この風景……、僕ら何処かで見た事なかったかな?」
「うん、俺も何となく……、けど……」
アルベルトの言葉にジャミルも首を傾げる。確かに一度、何処かで見た
景色なのだが……、何となく思い出せない様な、不思議な感じに陥って
いた。山頂にひっそりと佇んでいた町。町の中の桜の木。大きなご神体の木。
しかし、その姿は……、町の人々も、全てが石であり、町の時間は止っていた。
「……キャラメルとんがりコーン……、おほほほほぉ~……、モン……」
「ねえ、ジャミル、流石に……一度モンを脳外科医に見せた方がいいんじゃ
ないかな……」
「ははは……」
……真剣な顔をしているアルベルトにそんな金あるかいと笑っておくしか
ないジャミ公。
「モンちゃん、それって……、レオコーン、黒騎士さんの事でしょ?」
「モン!この町、何だかキャラメルとんがりコーンさんを思い出すんだモン!」
「そうね、私もそうなの、不思議ね……」
「モン~……」
呟くアイシャ。まだジャミル達4人は思い出せていないが、この町は
セントシュタインの姫君、フィオーネの元乳母、ソナが住んでいる町、
エラフィタにうり二つだったのだった。……モンはあの時、レオコーンが
町に突っ込んで来た時はその場にいなかった筈であるが、何か懐かしい物を
感じたのか、暫く目を瞑り、うっとりしていた。直後。
……ぷ~う……
「う、うわ……」
「……屁はいいっつんだよっ!屁はっ!!」
「……駄目だよお、此処、殆どの建物が石化してるから……、中には
入れそうにないよ」
「僕の方もそれなりに周辺を見て回ってみたんだけど……」
ダウドもアルベルトも肩を落とす。ダウドの言う通り、建物は全て
石化している為、どの家にも入れそうになかった。
「まいったなあ……、何処かにラボオ爺さんの家がある筈なんだ、
絶対何処かに……」
「モンが頭突きしてみるモン!……モギャーー!!」
「ま、またお前はっ!……こらーーっ!!」
ジャミルが止める前に、モンは試しにそこら辺に建っていた家のドアに
体当たりし、……コブを作って倒れた。
「モン~……」
「大変だっ!モ、モンが……また頭がおかしくなってしまうっ!!」
……腹黒、オメー心配する処が違うだろと思うジャミル。けど、本当に
近頃のモンは一体何なんだろうなと思ってみる。
「……お、お調子モン……、まさか……」
「何してるの、皆!モ、モンちゃんっ!大丈夫っ!?」
「まーた何かやらかしたの?デブ座布団っ!」
アイシャとサンディ、別の方を女の子同士で見て回っていた二人が
戻って来た。……アイシャはコブを作って伸びているモンを急いで
抱き上げると介抱する。
「こうこうこうでさ、こうなんだよ……」
「そうだったの、もう~、モンちゃんたら……、あ、あのね、一軒だけ
入れそうなお家を見つけたのよ!!」
「マジか!?やったなっ!!」
「ええ、こっちの方よ!」
ジャミル達はアイシャの後に付いていく。確かに北東の方に家が有る。
其処だけは中に入れるらしかった。……どうか其処にラボオがいて
くれる事を信じ、4人は急ぎ足になった。
「やっぱりココってなんか見覚えあんのよネ~、町の真ん中にあった
でっかい木とかさ……」
サンディもそう言っているが、彼女も完全には思い出せないらしく。
とにかく、やっと此処まで辿り着いたからにはラボオを探すしか
なかった。処が、漸く入れた一軒家にはラボオの姿は無く……。
「……ぷるぷる、ぷるぷる……」
「スライム……?」
家の中にいたのはスライムだった。スライムは不思議そうな表情で
4人を見つめた。
「君たち、だあれ……?なにしにきたの……?」
「俺達はラボオ爺さんを探してこの山を登ってきたのさ、此処は爺さんの
家で間違いはないかい?」
「う、うわああーーっ!?」
「んだよっ、ダウドっ!うるせーなっ!!」
部屋で何か見つけてしまったらしく、ダウドは腰を抜かしそうになる……。
「……あ、あれーーっ!ひ、人がーーっ!!あの人達も石にーーっ!!」
「これは……」
ダウドの悲鳴にアルベルトも目を見張る。石像になっていたのは
恋人達なのか、二人の男女。二人で仲良くお皿を並べ食事の準備を
しているのだろうか。しかし、その表情は何処か虚ろで酷く寂しげに
見えた。
「何だか……、とても悲しくなってくるのはどうしてなのかしら……」
アイシャは気絶しているモンを胸に抱き、コブを優しくなでながら
静かに呟いた。
「ラボオじいさんはね、ずっと一人でここで彫刻を彫ってたんだ、何年も
何十年もかけてね、でも、町がやっと完成したらじいさんは死んじゃったんだ……」
「!や、やっぱ……手遅れだったのかよ……」
「遅かったんだねえ……」
スライムの言葉にジャミルもダウドも絶望的に……。時遅く、もうラボオは
この世にいないらしかった。
「二人とも、最後までこの子の話を聞こう……」
アルベルトは続けて話を聞きたいとスライムにお願いする。するとスライムは
再び話をしてくれた。
「ラボオじいさん、最後にカラコタで買ったきれいな果実を食べたんだ、
一生に一度の贅沢だって、その時に言っていたよ、この町は自分の全て、
だから、どうやったらいつまでもこの町を残せるかって……、でも……」
と、スライムが俯いた瞬間、家が途端に揺れ出す。……謎の地震が
起こったのである。
「……ひゃああーーっ!!地震嫌だよおーーっ!!」
「落ち着けってんだよっ!バカダウドっ!!」
ジャミルは外に飛び出そうとするダウドを慌てて引き止めた。
「あ、あいつだよっ!また来たんだ!……あれから外でひんぱんに
怖い音がする様になったんだよ!!」
……ブーッ……
「わ、わりィなあ……」
「怖いよ、怖いよ、怖い音がするよー……、何だか嫌なにおいもするよー……」
ジャミルは一瞬慌てる。ドサクサに紛れて屁が出た。やはり、紛れもない
モンの飼い主であった。スライムは怯え、部屋の隅で丸くなる。一緒に
丸くなろうとしたダウドをジャミルは更に強く引っ張って止めるのであった。
「スライムさん、あ、あいつって、……誰なの!?」
「お外に出てみれば分かるよ、ぷるぷるぷるぷる……、き、君たちはここに
来ちゃいけなかったんだ……」
アイシャは怯えているスライムに声を掛けるが、スライムは縮こまってしまい、
それ以上何も言わなくなってしまった。
「皆……!」
「ああ!」
「行こう!」
「嫌だす!」
アイシャの言葉に頷く2人。だが、ダウドだけは往生際が悪かった。
「サンディ、モンちゃんとスライムさんをお願いね!此処で待ってて!」
「おまかせオッケー!それにしてもデブ座布団!……何でこんなに
重いのヨー!ねー、ジャミ公!コイツ、そろそろバレエ教室にでも
通わせたらどー!?美容の為にさあー!……アタシこういう美しく
ない醜いの見てると苛々すんのヨね!!」
「……な、何言って……、……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編13 思い出の記憶の中で 作家名:流れ者



