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「あの村に来ていた桃の拠点だが、ここからどのくらいだ?」


集落をあとにして、徒歩で移動しながら等々力が訊ねると、鳥飼が軽く首を傾げた。


「上からそれらしい街なら見えたぜ。飛ばせば五分もしないだろうけど、たぶんそれなりに監視体制はとられてる。歩くとなると小一時間ってとこか」


街中で鬼の血は使えない。
そこかしこに設置された防犯カメラに映れば、国の管理システムを通じて桃太郎機関に直接知らせられてしまうのだ。
桃太郎を釣ろうと思えばそれはそれで使える仕組みではあるが、こちらの体力や一般市民への被害を考慮すれば、やはり避けるべきだ。
必然的に移動は徒歩、もしくは公共機関となる。


「歩いても明るいうちに街には着くでしょう。どこか泊まれる場所を探して、少し休みますか?」


蛭沼の提案に等々力は腕を組む。

今回の件で桃側の隊長と副隊長は戦死したが、取り逃した桃太郎はいない。つまり桃太郎機関にはまだ報告がいっていない。彼らの支部は守りが薄いままである可能性は高いということだ。
が、どれだけの戦力が残っているかは未知数。
通常ひとつの支部に隊長は一人だが、規模によっては例外もある。

放置していれば、欠けたものを補うために次の隊長格が配属されるだろう。
難なく勝利を収めることができたものの、極力連戦は避けたいところ。そして可能ならば建物内の構造も把握しておきたい。


「うん、少し休もう。幸い資金には困らない」


蛭沼に頷き返し、軍服のズボンのポケットから革張りの財布を引っ張り出して、等々力はにっと笑った。
先程倒した桃太郎から頂戴した、大事な軍資金である。

すると囲があっと声を上げて、同じくポケットに手を突っ込む。


「大将、俺も」

「え、うちも」

「俺もあるで」

「まじかよ!俺もー!」


次々と自身のポケットから他人の財布を出す隊員たちに、鳥飼は呆れて盛大な溜め息をついた。


「お前ら……まだ手持ちは十分あるだろうが。ったく…、蛭沼さんを見習えよ…」


その言葉に蛭沼は優しく微笑み、ポケットからすっと焦茶の財布を出した。


「申し訳ない、鳥飼くん。私も」

「蛭沼さん!?」


奪ってきた財布の中で、一番上等そうなものを見せる蛭沼。
結局、地上にいた者は全員桃太郎たちから財布を抜き取っていた。
等々力は更にふたつポケットから財布を出して、鳥飼と乙原にそれぞれ手渡しながら愉快そうに笑う。


「みんなしっかりしているな!」

「ちゃっかりしてんだよ!」


鳥飼が財布を受け取りながらも噛み付くように訂正すると、横から不破が唇を尖らせて不満げに言った。


「ええやん。桃は国からがっぽり給料出てるんやから」

「死んだあとも遺族年金とかすごそうだよね」


囲も薄く笑って辛辣な台詞を吐く中、百目鬼が頭の後ろで両手を組んで声を上げる。


「なあ行こうぜ。腹減ったー」

「よし!着いたら肉を食いに行こう!」

「それは大賛成だけど、こっちだよ大将」

「なに!」


先頭を行こうとした等々力の背に乙原の声がかかる。
足を止めて振り返ると、鳥飼と目があった。


「……」

「……」


数秒のあいだ無言で見つめ合い、不自然な空気が流れかけたとき、鳥飼が気まずそうに視線を逸らしつつ右手を出した。


「…ん」

「恩に着るぞ!」


待っていたとばかりにぱっと相好を崩して、等々力は有り難く相手の手をとる。
他の隊員たちは既に歩き出しており、そんな二人のやり取りは誰の目にもとまらなかった。


+++

(鳥飼視点)


街まで歩き、食事を済ませ、ビジネスホテルの部屋をおさえた頃にはすっかり陽は傾いていた。
相部屋となった鳥飼は等々力とす交代でシャワーを済ませ、隣の部屋をとった蛭沼と乙原のもとへと足を運ぶ。


「どうだ、何かわかったか?」


それぞれのベッドに腰掛けている二人に等々力が声をかけると、蛭沼が自身の手のひらを見せて微笑んだ。
ちょうどひと仕事終えてきた蛭たちが続々と戻ってきているところだ。


「討伐に出た隊長たちがいないのを良いことに、残っている隊員たちは随分気が緩んでいるようです」

「呑気なもんだな。何人くらい残っていそうです?」


鳥飼が嗤い、戦力を訊ねる。


「十人から十五人といったところかと」

「外から見た限りだと三階建てくらいだったけど、構造はわかる?」


続いて乙原も頬杖をついて口をひらくと、蛭沼は頷いて淡々と答えた。


「地下はないと見て良いでしょう。三階までですね」


作品名:スタートライン 作家名:緋鴉