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高山 南寿
高山 南寿
novelistID. 71100
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もうひとつの、ぼくは明日……

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愛美は授業やバイトのないときは友紀ちゃんのマンションの部屋に引きこもった。
机の上の写真立てには、歴史街道の町家の前で撮った二人の笑顔がある。その横で、パソコンを開いて、ルーズリーフにする記録を入れていた。記録しては抜け殻のようになった。綺麗な瞳には憂いがまとわりついている。
いつも、ベッドに寝転んで高寿との思い出をなぞっていた。思い出したことはまたパソコンに入れて何度も修正した。できた文章を見て、よく泣いた。高寿に会いたい、でも君は今、この世界にいない。君はいない。
叶えられることのない思いが、部屋にあふれていた。

愛美は友紀ちゃんに高寿と別れたと伝えた。
でも、どうして別れたのか言えなかった。
だから、友紀はどうしてと怒っていた。
――愛美は別れた理由なんか言えるわけないと思った。
この話ができる人なんかいない。
何を言っても無理だから何にも言ってない。
友紀ちゃんは高寿のこと、きっと悪く思ってるだろう。
友紀は時間があれば、愛美を外に連れ出してくれた。
愛美の気持ちは変わらなかったが、その気持ちは、なるべく表には出さないようになっていった。