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高山 南寿
高山 南寿
novelistID. 71100
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もうひとつの、ぼくは明日……

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南山は手のひらを見せて、それを左右に振ってる。
「ごめんね。絵で食べてる人にただなんて」
「じぁ、ごはんおごってもらおうかな」
「ええよ、言うて」
「回らないお寿司とか」
南山の目が愛美の表情を探っている。
「それ逆におごって」
「え、しがない絵かきなんです」
「ぺぇぺぇの図書館員です」
「じゃ、回転するお寿司でお願いします」
南山は破顔した。
「よろしい」
愛美は南山と話していて、なんかウキウキしていた。二人とも笑顔になっていた。
「えーと、どんな感じの絵がいいのかな」
「これがここ数年の作品なん」
愛美はスマホに画像を出して見せた。
「へえ、結構おもしろいね」
南山は絵に見入った。
「表紙描いてもらう冊子は、市内の中学、高校に配るやつやねん」
「そう、どんな感じがいいかな? 女子高生がベンチで本見てるとかが、いいかな」
「そういうの、いいんちゃうかな」
愛美は南山を笑顔で見ていた。


山田池公園

山田池公園、四月の初旬を過ぎて若葉が青々としている。夕方の遊歩道は散歩している人も多い。駐車場、車の中でスプリングコートを着た愛美が座っている。
愛美はここまできたものの、車の外にでるのを躊躇していた。こんなことになるなんて。
「行こうよ。時間がもったいない」
ドアの横に立っている南山は、少し笑いしながら言った。
「こんな服装やっぱり無理や、あっ、笑ってるやん」
「表紙の絵、作るって決めたんだから、がんばろう。ぜんぜんおかしくないから」
南山がそう言ったので、愛美はしぶしぶ車を降りた。南山と山田池公園の中に入った。
二人で池が見えるベンチまできた。池がいい感じの背景になりそうだ。
「ここで始めよう」
南山はスケッチブックを出して、自分のジャケットの襟を掴んでひらひらさせた。
愛美はコートを脱げと言ってると理解して、仕方なく脱いだ。赤にストライプのネクタイ、白いブラウス、膝あたりの丈のチェックのスカートに紺のブレザー。女子高生の制服姿だった。
「いやや、恥ずかしい」
愛美は足踏みした。
「大丈夫、似合ってるよ」
「わかったわもう、早くスケッチして」
「女子高生が公園で本を読んでるって感じでお願いね」
南山は愛美に本を渡した。
愛美はベンチに座って本を掲げた。
南山はスケッチし始めた。真剣な顔をしていた。
愛美は人が通り過ぎるたびに、下を向いたり、池のほうに向いたりして顔を隠そうとした。
「あっ、やってるやってる。似合ってるやん」
大野がそこにやってきた。
「大野さん来たん。私恥ずかしいんやけど、もうどうしてくれんの」
「大丈夫、変じゃないで。図書館のためや、がんばって」
大野はご機嫌な様子だ。
愛美は渋い表情だったが、何か思いついたように笑顔になった。
「あっ、そうや。南山くん、ちょっと待ってて、大野さんちょっと来て」
そう言うと愛美は大野の腕をつかんで連れていった。
そしてしばらくして大野といっしょに帰ってきた。
「勘弁して、私は無理、無理」
帰ってきた大野は冬服のセーラー服を着ていた。
「えーやん、友紀ちゃんのセーラー服、似合うやん」
愛美はニコニコしていた。
「いいですね。じゃ、二人とも座って本を読むポーズしてください」
大野も仕方なく、愛美と一緒にベンチに座った。
見物する人が足を止めるので、愛美は南山に言った。
「写真を撮って、そこからイラスト起こしたりせえへんの?」
そういってから愛美は、はっとした。写真撮るのは高寿のほうやったと思った。
「人が集まって恥ずかしいから、そうしようか。写真残っちゃうけど」
南山は、なるほどと思ったようだ。
「いやいや、イラスト終わったら絶対消して」
愛美は南山の前に出た。
「絶対! 消してください」
大野も真剣な表情だた。
「えっ、消すの?」
いじわるそうに南山が言うと、愛美は、肩をたたこうとした。南山はひょいとよけて、逃げた。
「消して!」
愛美は小走りに追っかけた。
「まだ撮ってないって」
南山は走りながら言った。
「いややん、なにこれ!」
はしゃいでるとしか思えない二人に、大野はつい独り言がでた。
しかし、南山が大野の背中に隠れたから、大野も追いかけっこに巻き込まれた。


デート

愛美は、前に南山と会った駅前のカフェで待っていた。大きな窓から今日も西日が差し込んでいた。
南山から、昨日、イラストができたと連絡があった。急いでくれたんだと喜んだ。選考委員会にかけないと決められないが、このペースなら配布には十分、間に合いそうだ。
南山くんがきた。ああ、なんだろこの気持ち。愛美は自然と笑顔になった。
「やあ」といって南山が向かいに座った。
「こんにちは」
愛美はそう言うとスタッフに声をかけて注文をした。愛美はアイスティ、南山はカフェラテを頼んだ。
「急いでくれてありがとう」
「暇だったから、えーと気に入ってもらえるかな」
南山は手提げの黒いバッグからスケッチブックを出して、絵を見せた。
絵は、池の畔のベンチで二人の女子高生が背中合わせに座って本を読んでいる様子だった。
「感じええ。これやったら選考委員会いけんのちゃうかな」
「そう、よかった」
「でも、これ顔ちっちゃい。私ってわからない。別に私じゃなくてもよかったんちゃうん」
愛美は絵を眺めて言った。
「ポーズのモデルだから。顔、わかったほうがよかった?」
「ごめん、わからないほうがええわ。あっ、写真消した?」
「選考委員会だっけ? 合格するまで消せないかな」
「そやな。でも終わったら消してや」
「もちろん」
南山は笑顔で答えた。
「えー、なんかあやしい」
「大丈夫、消すから。もったいないけど」
「えー、なんかいやらしい感じ出てる」
愛美はちょっと笑った。
「そうだ、前祝いにお寿司おごってよ」
「うん、そしたら予約してからいこ」
愛美はスマホで予約をした。
二人は、近くの回転寿司に来た。入口横の待合は人が多かったが、予約していたのであまり待つことなく座れた。
愛美は友紀に今日は晩御飯いらないと言って、ついでにカンパもしてもらっていた。大野からも。
「ビールもいい?」
南山が笑顔できいてくる。
「まかして、友紀ちゃんと大野さんからご厚志もらってるし」
愛美は笑顔で答えた。
「ちゃっかりしてるね。それで全部まかなえるんじゃない?」
「ばれたか」
愛美は顔をほころばせた。
「福寿さんも飲む?」
「少しだけ飲む。チューハイにする」
南山は、けっこう食べて飲んでる。
愛美はそんな南山を笑顔で見続けていた。
「よう食べるね。ほんまにお金に困ってる?」
「いや、今実家にいるから大丈夫。でも日本に帰ってきてから仕事してなくて、ちょっと肩身狭いかな」
南山は、そう言いながら、ビールのジョッキを空けた。
「あっ、日本で仕事するん?」
愛美は、それを聞きたかった。
「今ちょっと休んでる状態。パリなら少し絵の仕事もあるし、絵の修復もしてる」
「絵の修復?」
愛美は首を傾げた。
「まだまだ修行中なんだけど、絵の修復の方が、メインの収入かな」
「えーそうなんや。パリに戻るの?」
「実は大きな教会まるごとの仕事があるから手伝ってほしいと連絡があって、それにパリに部屋借りたままだしどうしようかと思ってる」