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zoku勇者 ドラクエⅨ編14 悲しきリブドール・1

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「何言っとる!寝ぼけた事言うな!マキナ様の新たなお友達に
なるのはこのオラだア!!」

「押すな押すな!」

「邪魔だ邪魔!」

「……な、何だこりゃ……」

「一体何が起きてるんだろう……」

「凄いわねえ……」

トリオが騒然としていると、列の最後尾にいた男が突然
怒鳴り掛かって来た。

「こらっ!お前ら順番は守れっ!……この俺でさえ早くマキナさんに
会いたいのを我慢してんだっ!!」

この連中は、誰も彼も皆、贈り物、プレゼントの様な物を抱えていた。
恐らく……、マキナに渡して気を引かせ、マキナとフレンドになるのを
狙っている連中ばかりなのであろうが。

「へいへい、分かりましたよ、しゃーねえ、後ろに並ぶか……」

仕方ないのでちゃんと並ぼうとすると、また最後尾にいた男が
文句を付けて来た。

「こらお前ら!マキナさんに手ぶらで会いに行くつもりかっ!?
失礼だろうが!何かプレゼントを用意してこいっ!!」

「……うるっせー糞親父だなあ~……」

「そう言われても……」

「出直した方がいいのかしら……」

「「あなたなんかキライッ!出て行ってーっ!もう来ないでーーっ!!」」

「お、お……?」

どうしたモンかと、トリオが困っていると屋敷の中から甲高い黄色い
声が聞こえたかと思うと、1人の男が慌てて屋敷から外へと逃げて
行くのが見えた。

「はは、どうやらマキナさんに気に入られなかったみたいだな、
ざまあみろ!おい、お前ら見たろ?マキナさんはとても高貴なお方、
安っぽいプレゼントなんかでは決して満足しないからな!ま、
そういう事だ、諦めな!マキナさんのハートを射止めるのはこの
俺だあーっ!」

「……嫌味な奴だなあ……」

順番が来て、男は屋敷へと駆け込んでいった。その様子をジャミルは
舌打ちをしながら眺めていた。が、直ぐに又屋敷からマキナの罵声らしき
大声が聞こえ、先程の男が転がる様にし泡食って逃げて行った。

「中々手強いみたいねえ……」

「やっぱり今日は出直した方がいいのかも知れないね……、
手ぶらだし……」

「いや、そんなに気ィ遣う事もねえだろ!それに物で釣って
コビ売って気に入って貰おうなんて陰険なやり方俺は嫌いだ!!
本当のダチって言うのはそうやって作るモンじゃねえだろ……」

「ジャミル……」

確かにそうかも知れないが……、アルベルトとアイシャは困ってしまう。
その間にも屋敷内にはぞろぞろと人が入って行った。男性陣だけでなく、
女の子の姿も……。

「そうね、お話しするだけ話してみましょ、ね、アルも……、
もしも此処で船を貰えなければ他の場所に行けばいいのよ……」

「ジャミル、アイシャ、分かったよ、行こう……」

「よしよし、行こうぜ!」

アルベルトも漸く納得。もう少し列が減るのを待ち、漸くトリオも
屋敷内へと。アイシャは何故か、前を歩いているジャミルの横に
来ると、顔をじっと見ている。

「何だよ、俺の顔に何かついてるか?」

「ううん、……やっぱりジャミルはジャミルで……良かったなって……」

「ハア?」

「なんでもなーいっ!ふふっ!」

アイシャはそう言うと再びジャミルの後ろに回る。その顔は嬉しそうだった。

「……変な奴……」

やがてトリオはマキナが待っている応接間らしき場に通される。中に入ると、
先程の先客が2人程いた。

「マキナさん、こんにちは!」

「ごきげんよう、今日は何をして遊びましょう?」

「今日はマキナさんの為にとびっきりのケーキを作って持って来たよ!
是非食べて欲しいな!ほら、イチゴがいっぱい乗っかった真っ白い
ケーキだよ!」

「有り難う、……ケキ?……ケキー……、嬉しいわ、綺麗ね、早速花瓶に
入れて飾っておくわね」

「それは食べる物だから……、……ま、まあいいや、取りあえず気に入って
くれたみたいだし、良かった……」

マキナは折角のケーキをぎゅうぎゅう花瓶へと押し込める。やはり
変わり者と言うのは本当らしかった。しかし、この男性はどうやら
お友達として合格したらしく、ご機嫌で家に帰って行く。そして、
二人目は女の子。

「何よ!女の子は食べ物なんかよりお洒落よ!マキナさん、
あたしのプレゼントもどうぞ!マキナさん、いつも同じ
リボンだから、新しいのプレゼント!」

女の子がマキナに差し出したのは、青いリボン。しかし、それを見た
マキナの顔がみるみる硬直し始めて……。

「いらない……」

「え、ええ……?」

「このリボンは大切なお友達とお揃いなの!他のなんか絶対いらない!
もう絶好よ!……あなた嫌いっ!!……帰ってーーっ!!」

マキナは大声を張り上げる。女の子は慌てて応接間から逃げて行って
しまう。どうやら、彼女は失敗してしまったらしい。実に応対が……
相当難しい相手である事は間違いなかった。

「酷い……、あんな言い方……」

「アイシャ、気の毒だけど、人の事心配してる場合じゃねえぞ……」

「そうだね、次は僕らだもの……」

「……ねえ、あなた達も新しいお友達かしら?」

トリオが話をしている声が聞こえたのか、マキナが声を掛ける。
ジャミルは慌てる。

「へ?そ、その……、船を……譲って欲しいんだけど……、駄目なら
いいよ、へ、へへ……、俺ら何もねえし、手ぶらだし、ゴマすって
貢いで気を引く気もこれっぽっちもねえから……」

どうせ駄目だと半分ヤケだった。しかし次の瞬間のマキナの言葉は
意外とあっさりしていたのである。

「いいわよ、船くらいあげるわ」

「え?……ホ、ホントなのか!?」

「ええ、その代わり私のお友達になって下さる?」

「マキナさん!」

「有り難うございます!」

貢ぎ物なんかしなくても友達にさえなってくれる事を約束して
くれれば船はくれるとマキナは言う。あのおっさんの言った通り、
案外心は広いのかも知れなかった。トリオの方も段々マキナに
対して警戒心が緩み始めた。……だが……。

(……こ、この感じは……、町の人達と違う……、まさか……、マキナを……)

「あなた……、誰なの……?」

「へ?へ……?」

マキナのジャミルを見る目が突然変り豹変し始めた。……まるで誰かに怯える様に……。

マキナはエライ剣幕でジャミルに詰め寄り怒り出す。ジャミルの方も
今回初めてマキナと会った筈なので、思い当たる事が無く……。だが、
アイシャもアルベルトもちゃんとジャミルを庇いフォローしてくれた。
普段ケンカばっかりしてるとは言え、やはり持つべきは友。

「マキナさんっ!幾ら何でも酷いわ!!ジャミルが一体何をしたって
言うの!?」

「そうですよ!……ジャミルがあなたに怒られる筋合いは無い筈です!!」

「アイシャ、アル……」

「出て行ってーーっ!!もうあなた達に船なんかあげないっ!!
マキナを……、マキナを連れて行こうとしてるんでしょ!!
そんな事させないっ!!早く帰ってーーっ!!」

「ハア!?マキナはオメーだろうがよっ!訳分かんねー事言うなーーっ!!」

「うるさいのーーっ!!もう帰ってーーっ!!あなた達なんかもう
絶好よーーっ!!」

……マキナvs3バカトリオのやり取りの大声は屋敷中に