二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅨ編14 悲しきリブドール・1

INDEX|5ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

響き渡っていた。その大声は屋敷の掃除の手伝いに来ていた
お手伝いさんの耳にも……。先程、ジャミル達を応接間に案内
してくれたのもこのお手伝いさんだった。先代の領主である父親、
母親は既に他界、マキナは屋敷の執事、働いていた使用人を全て
屋敷から彼女が叩き出した為、屋敷内にはマキナしか住んでいない。
だが、様子を心配した近所の者が許可を得、時々こうしてお手伝いの
ボランティアで訪れてくれているのであるが。

「やれやれ、又始まったか……、しかし今回の客は凄いなあ、あの
お嬢さんと本気でケンカしておる、……本気で……、……ん?本気……?
あのマキナさんと……?」

「も、もう……、あなた達何なのよ……、初めてだわ、こんなうるさくて
嫌らしい人達……」

「嫌らしくて結構だよっ!もう船なんかいるかってのっ!行こうぜ、
アル、アイシャ、やっぱり船は別の処で譲って貰うか貸して貰おうや、
冗談じゃねえや!!」

「マキナさん、先程のご無礼は僕らも申し訳なかったです、ですが……、
あなたの方も他人に対してもう少し思いやりや気配りを持った方が
宜しいかと……」

「……何ですって……?わ、私に文句を言うの……?お説教までするの……?」

「その内、気がついたら本当に誰からも相手にされなくなっちまうって事さ、
……こんな事ばっかりやってるとよ……」

「も、もうっ!本当に許さないっ!!あなた達なんか本当に大嫌いっ!!
みんな、みんな……、早く此処から出ていってーーっ!!」

「……マキナさんっ!!」

アイシャが心配するが、マキナはエライ剣幕で部屋のドアを閉め、
そのまま鍵を掛けてしまい応接間に引き籠もってしまうのだった。

「アイシャ、ほっとけよ、あんなのもう手に負えねえよ、それより
宿屋に戻ろうぜ、……1人でモンの面倒見てくれてるダウドも
心配だしな……」

「これからの事も相談しないとだしね……」

「うん……、そうだね……」

ジャミルとアルベルトは応接間に背を向け歩き出す。しかしアイシャは……、
やはり女の子同士、何か思う事があるのか、マキナが引き籠もってしまった
応接間の方を心配そうに見つめていた……。

「マキナさん……」

そして、ジャミル達がいなくなった後、残されたマキナは独り応接間で……。

「何よ、みんな、みんな大嫌い……、やっぱり私のお友達は……、マキナ、
あなただけよ……」

(……マウリヤ……)

一人ぼっちのマキナを見守る様に、マキナの背後に幽霊の少女が現れる。
……その容姿はマキナとそっくり、うり二つだった……。

「マキナさん、いるかい?今日の分の掃除は終わったからお暇するよ……」

「……」

「やれやれ、何も言ってくれないか、仕方が無いが寂しいもんだな……、
じゃあ……」

お手伝いさんも応接間にいるマキナにそれだけ伝え、帰って行った。
そして、宿屋への帰り道を歩くトリオの前に……。

「おい、お前らーっ!!」

「な、何だよ……」

先程、屋敷でマキナと対面していた男と少女である。2人は揃って
腰に手を当て、物凄い勢いでジャミル達に掴み掛かって来た……。

「ちょっとっ!どうすんのよっ!マキナさんあんなに怒らせちゃってっ!!
責任取りなさいよっ!!」

2人とも……、帰ったと見せ掛け、こっそり隠れてトリオの様子を
覗っていたのだった。

「せ、折角、マキナさんと友達になれたって言うのにっ!お前らの
所為で台無しだっ!マキナさんが怒ってしまわれたじゃないかっ!!
どうしてくれるんだっ!!」

「知るかよ、第一お前ら、本心からマキナと仲良くなりたい訳じゃ
ねえだろ?ただ、ダチのフリしてマキナから色んなモン貰おうと
してただけだろがよ!!」

「うっ!……こ、こいつめっ!……う、うわあーーっ!?」

男はジャミルに殴り掛かってくるが、ジャミルはさっと素早く男の
股間を蹴り飛ばした。……少女の方は慌てて逃げて行ってしまった……。

「まだやるか?やるなら年中無休で相手になるけど?」

「……ちっ、畜生ーーっ!マジで何だよこいつっ!ううう、お、
覚えてろーーっ!!」

「はあ、どいつもこいつも……、こんなのばっかりなのかよ……」

ジャミルは再び歩き出した。……その後を無言でアルベルトと
アイシャが付いて行く……。

(ふう~っ!ホントマジ最悪だよネー!あのマキナって子!何なの!
何か1人でブチキレてるし!)

「ガングロ……」

発光体のサンディが飛び出す。サンディはまたマキナに対して態度を一心。
本当にコロコロ変わる……。

(でも、何としないと船貰えないしネ~!どうしよ?あの子が機嫌
直さないとねえ~……)

「……此処の船はもういいんだよ、別の場所を探すからよ……」

(え、えー!?そんな手間の掛かる事わざわざしなくていいじゃん!はあ、
誰かマキナと仲のいい子がいればさあ……)

……そんな奴、いる訳ねえだろとジャミルは思う。だが内心は……、
マキナにああ言った物の……、ジャミルも根は優しい性格の為、
一人ぼっちの孤独な我儘お嬢が心配で仕方がないのだった……。
無言で歩いている内に、やがてトリオはいつの間にか宿屋の前まで
戻って来ていた。

「おかえり~、どうだった~?」

「モンー!」

「オウ……」

宿屋に入ると直ぐにダウドとモンがロビーで出迎えてくれた。モンは
ダウドに相当遊んで貰ったらしくすっかり機嫌も戻っていたが、
ダウドはヘアスタイルの乱れ具合からして、又頭を相当叩かれた
らしかった……。

「ダウド……、ごめんよ、大変だったろ……?」

「ううん、アルも皆も心配してくれて有り難う、大丈夫だよ、
もう慣れてるからさあ、それよりそっちの話も聞かせてよお、
何か飲もうよ、オイラ皆が来るまで待ってたんだあ!」

ちなみに、此処の宿屋は。世界宿屋協会、宿王グランプリ、第2位、
世界が認めた最高級の宿屋……、らしい。

「じゃあ、俺、あまり甘くねえアイスコーヒー頼むかね」

「僕はアイスティーを……」

「私、オレンジジュース!」

ダウドはジャミル達の注文を聞くとカウンターまでセルフで飲み物を
オーダーしに行く。やがてメイドさんが来て、注文したそれぞれの
ドリンクをテーブルに置いて行った。……色々あって疲れていた
ジャミル達は席に届いた冷たいドリンクで喉を潤す。

「そっかあ、船の交渉はやっぱり駄目だったんだね……」

「悪かったなあ、散々待たせちまった割には何の成果も無くて……」

「しょうがないよお~、まあ、又別の港町を探すしかないよね……」

ダウドも注文したアイスココアをストローで美味しそうに啜った。
この件に関しては納得してくれた様だった。

「……に、してもあのマキナって奴腹立つなあ!偉そうにしやがってからに!!」

「ジャミル、もうその話は終わりにしよう、……モンもいるんだから……」

アルベルトも溜息をつきながらアイスティーに口を付ける。しかし、
口ではそう言っているが、アルベルトも心ではマキナに対しての
やるせなさで呆れ返っていた。

「ほう、君達も大変素晴らしいマキナお嬢様のお屋敷へ行かれたのかね?」

「ん?おっさん、誰……?」