二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅨ編14 悲しきリブドール・1

INDEX|6ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

隣のテーブルで宇治金時を食べていたおっさんがジャミル達に話し掛けて来た。

「私はこの町の町長であるが、私が知っている情報を教えてやろう、
君達は黄金の果実の話を聞いた事があるかね?」

「……果実?って、えええーーっ!?」

「うむ!」

4人は思わず顔を大きくし、声を揃える……。まさかまた此処に来て
女神の果実の情報が聞けるとは夢にも思わなかった……。元々この町に
は船の件で訪れたのであるからして。

「その果実は万病に効くらしいぞ、町一番のお金持ち、マキナ様は、
他国から取り寄せた不思議な黄金の果実を口に入れた処、何と!
不治の病が治ってしまわれたそうだ!」

「……ジャミル……」

「ああ、まずいな……」

ジャミルとアルベルトは顔を見合わせる。船は諦めてもうこの町を
出る筈が……、マキナが女神の果実と絡んでいるかも知れない以上、
これでは簡単に、はい、さよならあ~!……する訳にいかなくなって
しまった。しかもジャミル達はマキナを相当怒らせている。

「まいったなあ~……」

ジャミルが困って高速で頭ポリポリ掻いていると、其処に……。

「あの……、お話が聞こえてしまった物ですから……」

「あんたら、マキナお嬢さんと会ったのかい……?」

「私達は……、マキナ様のお屋敷で以前に使用人として
働いていた者です……」

「かつては屋敷で執事として使用人達を纏めていたこの私が……、
一体何故、この様な酷い仕打ちを……、あんまりです……」

「!?」

4人の前に現れた人物。この宿で働いているコック、先程のメイドさん、
屋敷の元執事と言う男。どうやらマキナと面識の有る人物らしい……。
これは天の助けかも知れなかった。

「そうでしたか……、マキナお嬢様が心を閉ざしてしまわれたと……」

コックが頭を抱え、側で話を聞いていた執事とメイドさんも
悲しそうに俯く……。

「ねえ、ジャミル、アル……、本当は私、このまま逃げるなんて
嫌だったの、マキナさんを怒らせたのは私達にも原因がある訳だし……」

「アイシャ……」

アルベルトはアイシャの方を見る。素直なアイシャはマキナと何とか
仲直りして謝りたい……、ずっとそう思い、彼女も心を痛めていた。

「た、頼むよ、何か知ってる事があれば教えてくれないか?それに、あんたらも
どうして此処で働いてんだい?」

「そうですね……、色々話すと長くなるんですが……」

ジャミルが尋ねると、最初にメイドさんが口を開いて話をしてくれた。
……此処で働いている者は皆全てマキナの我儘により解雇され、屋敷を
追い出され今はこの宿屋のオーナーの下、世話になり、働かせて貰って
いるのだと言う。コックと執事はマキナが幼い頃から屋敷に勤めており、
病弱だった頃のマキナの姿も見ている。彼女の様子が変わったのは
その黄金の果実を口にしてからだと言う。

「マキナお嬢様は生まれつき、それは身体が弱くてな、殆どベッドから
起き上がれない状態だったのさ、でも、他国から取り寄せた不思議な
果実を口にしたら……、忽ち病気が治ってお元気になられたんだよ」

「そうだったのか……」

「旦那様も奥様も亡くなられて……、今はお嬢様一人ぼっちさ、
屋敷を追い出されても俺らお嬢様の事が心配なんだよ……、
様子も見に行けないしな、どうしたもんやら……」

「私は正直この宿で働くのは苦痛でございまして……、うう……」

「私、マキナ様の事が心配で……、身体はお元気になられましたが、
大きなお屋敷にいつも一人ぼっちで……、だから町の人達に
利用されてつけ込まれてしまうんです……」

「僕らも……、マキナさんを怒らせてしまって……、一体どうしたら
いいのか……」

「……」

「モン~?」

……ジャミルを始め、皆黙りこくってしまう……。モンは不思議そうに
そんな皆の様子を首を傾げてきょとんと眺めていた……。その直後、
再びメイドさんが口を開いた。

「そうだわ、確かこの町には……、昔お屋敷に勤めていて、お嬢様の
乳母をなさっていた方がいるとか……、私がお屋敷に来る前にもう
お姿はなかったのですが……、もしかしたらその方ならお嬢様も
心を開いて会って下さるかも……」

「ほ、本当かい!?」

「ジャミル、まずはその人を探しに行こう!」

「決まりだねえ、でも、まーた簡単には此処から出られなく
なっちゃったのかあ~、仕方ないよね……、……何かまた
この先なんか起きそうだなあ~……」

ジャミルとアルベルトの会話にダウドは半分諦めた様に、残りの
アイスココアに再び口を付けた。……何となく先の話をもう読んでいる……。

「頼むよ、俺らお嬢様の事が心から心配なんだ……」

「どうかお願いします……」

「出来ればかつて旦那様と奥様のいらっしゃった思い出のお屋敷に
戻りたいのです……」

コックもメイドさんも執事も……、必死で4人に頼み込む。屋敷を
追い出された酷い仕打ちを受けたにも関わらず、使用人さん達は
マキナの事をとても心配している……。

「何とか俺らもその乳母さんを探してみるよ、じゃあ、行くか……」

ジャミルが椅子から立ち上がり、アルベルトとダウドも頷く。だが。

「アイシャ……?」

「ん~、ジャミル……、あのね……、私……、お願いがあるの……」

「……ちょ、おま……」

「うん、あのね……、私も考えていた事があって……、うふふ、
聞いてくれるかなあ……」

アイシャはテーブルから身を乗り出すと、ジャミルの顔をじっと
見つめる。ジャミルは後ずさりし、冷や汗を掻く。……こういう時の
彼女は何かとんでもない事を思いつき、言い出すからである。
……果たして、アイシャのお願い事とは……。

「マキナさんの婆やさんを探すのは皆にお任せして……、その間に私は私で
出来る事をしたいの!」

「……ハア?」

「私、マキナさんと仲良くしたい、本当のお友達になりたいのっ!」

「……無茶言うなっ!出来る訳ねえだろうがよっ!!」

まーた彼女は突拍子もない事を言い出す。しかも瞳は輝いており、
やる気満々だった。……こう言う時の彼女は何を言っても聞かないので……、
アルベルトもダウドも困っている。ジャミルが2人の方を見ると……。
両者とも、君に……、ジャミルに任せるよお……、の表情……。

「やってみなくちゃ分からないわ!女の子同士、友情を深め合うのよっ!
マキナさんに本当の友達の意味を教えてあげたいの!!」

「こ、こいつ……、オメーいい加減にしとけっ!デコピンするぞっ!?」

「何よっ!やるならしなさいよっ!!私、絶対にマキナさんと
お友達になるんだからっ!!」

ジャミルのデコピンの脅しも聴かず……。暴走しだしたアイシャに
困り果てていると、アルベルトが……。

「ジャミル……、確かに女の子同士……、もしかしたら何か切欠が
生まれるかも知れない、特にアイシャは友達を作るのに関しては
心配ないし……、偽りの友情で無く、本当の友情が……」

「アル、ありがとうーっ!任せてーっ!」

「ま、またオメーも……、どうしてこう……」

アイシャに甘いんだよ……、と、思う。だが、アイシャの人懐こい