zoku勇者 ドラクエⅨ編15 悲しきリブドール・2
「ああ、大丈夫みたいだな!」
ジャミル達は動いてくれたからくり職人の爺さんを筆頭に本来なら
まだアイシャもいる筈の屋敷へと足を運ぶ。これでマキナとも
ちゃんと話し合えると思っていた……。だが……。屋敷でジャミル達は
大変な真相とマキナとアイシャの危機を漸く知る事になるのである……。
「……」
「ジャミル、どうしたの、早くお屋敷に入ろうよ……」
「ん?あ、ああ、悪い……」
屋敷の門を目の前にして何故かジャミルの足が噤んだ。……何か大変な事が
待ち構えて入る様な……、朝から突然起きている頭痛といい、再び屋敷に
訪れた途端、急に嫌な不安がジャミルを襲う……。だが、それでも
立ち止まってはいられず。ジャミルとアルベルトはからくり職人の
爺さんの後に続き、屋敷の中へと……。
「御免下さい、お嬢さん、マキナさんや!からくり工房の爺ですぞ、
……お邪魔しますよ、マキナさーん!!」
爺さんが玄関先で大声を張り上げるが、返事があらず。誰も出て
来ないのである。屋敷には確かにアイシャがいる筈。呼べば元気な
彼女が一番最初に反応して出迎えてくれる筈。だが、屋敷内には
爺さんの声が響き渡るのみで、何も反応が無かった……。
「お嬢さんは確か、この応接間の奥の部屋じゃったかの、だが、両方とも
扉が開けっぱなしになっておるのう……」
「……」
ジャミルの頭痛が益々酷さを増す。応接間をくぐり、先頭の爺さんは奥の
マキナの部屋へと……。応接間のテーブルの上に手紙が置いてあるのを
ジャミルは見つけてしまうのである。角カブト男が書いた手紙を
ジョーカー男が去り際に置いて行った物。頭痛と嫌な予感は益々酷くなる。
ジャミルは気持ちを落ち着けテーブルの上の手紙を取る。数秒後、それは
手紙では無く、脅迫状だと言う事実が直ぐに判明する……。
(こんなの俺らしくねえだろ、……落ち着け、落ち着けよ、俺……)
「……」
「ジャミル、一体どうしたの、その手紙に何が……」
「アル……、最悪だ、見て見ろこれ……」
「え、ええ!?」
ジャミルは顔面蒼白で手紙をアルベルトにも渡す。其処にマキナの部屋に
入った爺さんも応接間の方に戻って来た……。
「一体どうした事か……、応接間、お部屋の扉は開けっぱなし、お屋敷の
門も開いたままじゃ、儂の作った人形もお嬢さんも姿が見えぬ、これは本当に
一体どうした事か……」
「……爺さん……」
「ぼ、坊や達、一体どうしたんじゃ……?」
「これ、見てくれ……、マキナ穣さんとウチのアイシャが……、
Wで誘拐されちまった……」
「……な、何とっ!?」
※ マキナお嬢さんとついでにメイドのお嬢ちゃんは預かった。返して
欲しくば、とにかく大量の身代金を用意しろ、金額は幾らでもいい、
金額によって高額なら高額な程、お嬢さん達をすぐ返してやる、
だが、早く行動しないと……、二人の命はないと思え……。
マキナお嬢さんは天然だ、本当に事が済みやすかったよ。じゃあな、
北の洞窟で待ってるぜ……。
「……何て事だ……、アイシャが……」
「……畜生っ!ふざけやがってっ!!」
ジャミルは悔しげに応接間の椅子を蹴り飛ばした。賊共の卑怯な手口に
相当頭にもきていた……。
「……た、たたたた!大変じゃあーーっ!!マキナお嬢さんが
誘拐されてしもうたーーっ!!……ああああーーっ!!は、早く、
み、みんなに知らせなくてはーーっ!!」
爺さんは発狂しながら脅迫状を持って外に飛び出していった。
屋敷内に残されたジャミルとアルベルトは又起きたアイシャ
誘拐のショックにより、暫くその場に固まり騒然としていた……。
「ちょっとっ!アンタら何ぼーっとしてんのっ!アイシャが
連れていかれちゃったんだよ!?これってチョー大変じゃん!!」
「……サンディ、分かってんだよ、けど……」
妖精モードのサンディも思わず飛び出す。だが、奴らは身代金を
要求している。雑魚盗賊なんざシメるのは容易ではあるが、慎重に
行動しなければ、いきなり手ぶらで行ったらそれこそ二人に何を
するか分からない危険な状況も充分考えられた……。
「……まいったなあ、確かマキナの親はもういない筈だし……」
「僕らの今の手持ちゴールド合せても……、恐らく満足しないだろうね……」
何とかこのまま洞窟へ強行突破するか……、それとも金を持って
安全に責めるか……、だがジャミル達には大金を用意する余裕など
到底無い……。と、なると、危険だがやはり前者で強行突破する
しか方法は無かった。
「……ん?」
「ジャミル、どうしたの……」
「アンタ、何してんのよっ!!」
ジャミルは何かを感じ、正面を向く。……奥のマキナの部屋から……、
気配を感じ取ったのである。
「向こうから……、誰か俺を呼んでる様な気がするんだ……」
「え、ええ……?」
ジャミルはふらふらとマキナの寝室に入る。アルベルト達も心配して
後を追うが……。
「……」
「マ、マキナ……?何で……」
「あっ!?あの子っ!!」
部屋の中に……、マキナそっくりのあの幽霊の少女が現れた。悲しそうに
ジャミルの方をじっと見ている……。少女はジャミル達を導く様に裏庭へと
続くらしき扉の前に立つと姿をすっと消した。少女の姿が見えているのは
ジャミルとサンディのみであり、アルベルトには当然の如く見えていない……。
「な、何があったんだい?」
「アル、とにかくこの先へ行ってみようや……」
「う、うん……、それと気になったんだけど、このクマのぬいぐるみ……、
足の裏に縫い取りの文字が刻んであるんだ……」
ジャミルはアルベルトから古びたクマのぬいぐるみを受け取り確認。
刻まれた文字にはこう書かれていた。……愛しい娘マキナへ……、
と……。
「両親の形見の品かもな……」
「うん……」
「ちょっとーッ!ジャミ公、アルベルトっ、早く早く来てみーっ!!」
先に扉をくぐったサンディが大声で二人を呼んでいる。……ジャミルと
アルベルトは頷き合うと、扉の奥へ……。
「此処は……」
「お墓があるね……」
裏庭にひっそりと……物悲しげに佇む3つの墓……。その内の一番
小さな墓の一つに又何か文字が刻んであった。
大好きなおともだち、此処に眠る……
「……」
「どういうコト……?それにさっきの幽霊のお嬢さん、ヘンテコお嬢様に
にてなくね?……ま、まさかっ!ヘンテコお嬢様の身に何か遭ったトカっ!?」
「……やめろっつーのっ!!」
ジャミルは思わずサンディを一喝。もしもマキナの身に何か起きたと
言うなら、一緒に連れて行かれたアイシャも……。そんな事、考えたくも
なかった……。
「ジャミル、落ち着いて!どうしたの!?」
「アル……」
……あの子は……私のたった一人のおともだち……
「わ、で、でたっ!!ヘンテコお嬢さんの幽霊っ!!」
「あんたは……」
「……私の名はマキナ、この墓の下で眠る者です……、そして
さらわれてしまったあの子は私のお人形のマウリヤ……、私の
たった一人のおともだち……、不思議な光る果実の力で命を
宿した……、私の大切なお人形……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編15 悲しきリブドール・2 作家名:流れ者



